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2006年10月24日 (火)

UFO少年アブドラジャン

★★★☆

 ウズベキスタンは19世紀にロシア帝国に征服されたが、1991年のソ連崩壊によって独立している。古くは『シルクロード』の中継地として栄えてきた中央アジアであり、ウズベク人を中心とした多民族で構成されている。
 また地下資源が豊富で、金、銀、銅、石油、天然ガスと、まるで天然資源の宝庫のような国である。ロシアが狙ったのも当然かもしれないね。

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 さらに綿花は世界第2位であり、陶器類にもすぐれたものがあるようだ。余り知られていないが、ワイン造りは数千年前から行っており、フランスやイタリアより長い歴史を持っているのだ。
 ところが映画事情のほうは、全くお寒い状況である。どちらかというと、TVやビデオのほうが人気があり、映画館はガラガラのようである。
 従ってウズベキスタン製の映画となると、年間5~6本程度しか製作されていないようだ。
 そんな状況の中で作られた、この『UFO少年アブドラジャン』を日本で観られること自体、奇跡に近いものだといえよう。そういう貴重な作品なのだと思うと、なんだか正座して観なくてはならない感じだね。
 さてこの映画のオープニングは、「偉大な監督S・スピルバーグ様」で始まるのだが、この作品が明らかに『E・T』のオマージュであることを宣言しているかのようだ。
 物語は村の集会所で、村人たちが議長に表彰されているシーンから始まる。その表彰のあとで、モスクワから届いた重要な電報を、議長が読み上げるのだ。
 その内容は、UFOが村に向かって接近中であり、異星人の特徴は身長が70~80cmで、腕が長く、頭髪なし、目が赤く耳が非常に大きい。ということだった。
 これでは全くE・Tそのものじゃないか!と思ったが、・・その後墜落したUFOから這い出て来たのは、なんと金髪の可愛い少年だった。
 少年は認識番号しか持っていなかったので、発見者のバザルバイは、少年に祖父の名前である『アブドラジャン』を命名してしまうのだ。
 ところがこの様子を遠くから見ていたバザルバイの妻ホリーダは、てっきり夫がロシア女と浮気して、作った子供だと勘違いし、親戚中に言いふらしてしまう。
 バザルバイは一族郎党に嫌味を言われるが、ホリーダの大らかさもあり、いつの間にか誤解は氷解してゆく。
 やがてアブドラジャンは、超能力を発揮し始める。雨を降らせたり、巨大な野菜を造ったり、にわとりに機関銃のように卵を生み続けさせたりと・・・村に珍現象が続々と起こり始めるのだった。
 そしてついには、『空飛ぶ鍬』まで出現し、村人たちの自家用車になってしまうのだ。いくらなんでも、これには誰もが吹き出してしまうだろうね。
 荒唐無稽な映画だが、面白おかしい中に、ほのぼのとした暖かいものを感じる。村には悪者が一人もなく、皆んな善人ばかりだからであろうか。
 初めはちょっぴり恐ろしかったホリーダも、とても良い人で情の深いおばさんなのだ。ウズべキスタンの人々は、きっと漂々と穏やかで、真面目で心優しい人が多いのだろう。
 さてこの映画はコミカルながらも、一応SF作品である。それにしては、特撮技術は酷いものである。UFOなどは、土鍋をひっくり返して糸で吊しているとしか見えなかった。
 ははは、まるで半世紀前の三流映画並である。しかし貧しいお国柄と、映画の普及度から考えれば致し方ないであろう。この映画に限っては、これもご愛嬌なのである。
 そのくせ、本物の戦車や戦闘機がバシバシ出てくるのだ。これはさすがに、国営映画の面目躍如といったところだ。
 そして主役のアブドラ少年は、無表情だが本当に可愛い。バザルバイのことをパパと、ホリーダのことをママと呼ぶのだ。そしてホリーダが病気になると、本気で泣き出してしまうのだから、ホッペにチュッしたくなる。
 ラストシーンで、タ焼け空にUFOが、プカリプカリと飛んでゆく映像が、実にのどかである。そしてちょっぴり切なく、とても癒される楽しい映画であった。

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コメント

こんばんは。
TBありがとうございます。
こちらからもTBさせてください。

アブドラジャンは、ほのぼのとした手作り感満載でしたね。

これからもよろしくおねがいします。

投稿: TOM | 2006年10月24日 (火) 22時54分

はじめまして。
TBありがとうございました。
素敵なブログですね!
ついついコメントを入れたくなってしまいました♪
この映画は私も大好きです。
ほのぼのと温かくて、ちょっぴり切なくて。
あと、「かもめ食堂」も取り上げられているのを見て、何か嬉しくなりました。
こちらも、私もお気に入り作品の一つです。
これからも、ときどきお邪魔しちゃうかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

投稿: ちょいハピ | 2006年10月25日 (水) 00時47分

TOMさんコメントありがとう
ホントにほのぼの、癒される映画でした。これからもよろしくね。

ちょいハピさんコメントありがとう
もちろん、「かもめ食堂」のほうが上ですが、癒しの映画という点では共通しているかも知れませんね。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: ケント | 2006年10月26日 (木) 22時16分

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