★★★★
暗くなって川崎駅の改札を出ると、人の流れは全て右側に曲がっていた。そう右側の東口には、バスターミナルを始め、繁華街、映画館、地上・地下に百貨店やショッピングモールがひしめいているからである。そのうえ京急川崎駅やヨドバシカメラまであるのだ。
これに対して反対側の西口には、もともと工場などが立地していたため、まともな都市機能が存在していなかった。これでは全く勝負にならないよね。
という状況だったのは先月迄で、・・今は改札を出た途端に、人の流れは左右に大きくうねりをあげて分岐してしまったのだ。
そう西口には、改札口と直結した巨大なエンターティンメントプレイス、『ラゾーナ川崎』が突如として出現したからである。
この建物は、駅と結がっている2階から上が、巨大な吹き抜けのドームになっている。その中にはショッピングモールや飲食店、シネコンが入っている。さらにはビックカメラや丸善まで入っていて、東口同様の施設を集約している感じだ。そしてなによりも新しく綺麗で、夜は幻想的な雰囲気が漂っている。
川崎の東口に出るには、長いエスカレーターで一階まで下る必要があり、これが結構苦痛だった。その点この西口のラゾーナは、改札を出て左に曲がると0分である。これは楽チン、まるで駅の中にいるようだ。
これは凄い!首都圏の新名所が、またひとつ増えたと言ってよいだろう。これからの川崎は目が離せない。東口と西口の熾烈なバトルは、まだゴングが打ち鳴らされたばかりである。
なんだかラゾーナ川崎の宣伝マンになってしまったが、実はここにある『109シネマズ川崎』が、今日のターゲットなのである。
ここは東急系のシネコンで、このビルの5階に10スクリ一ンが、まるで迷路のように配置されている。まだ出来たてのホヤホヤなので、綺麗だし空いているのが嬉しいね。
周辺事情に振り回わされて、肝腎の映画レビューがなかなか始められない。いい加減にしろと、叱られそうだね。

さてこの映画の妙なタイトルは、一体何なのかと思う人も多いだろう。『キンキー』とは変態とか、性倒錯という意味らしい。簡単にいえば、ゲイの人達が履くハデなブーツということなのだ。
ジョエル・エドガートン扮する主人公チャーリーは、伝統ある手作り靴工場の後継ぎである。偉大な父が残したのは、なんと借金と在庫の山であり、しかも工場迄手放そうとしていたという。
チャーリーはショックを受けるが、工場を復活させるため、それまでのオーソドックス市場を捨て、ニッチ市場に目を向けることにした。なんと新製品は、男の体重にも耐えうる、ゲイ専用のセクシーブーツだったのである。
タイトルは奇抜だが、ストーリー展開は、教科書通りの起承転結を絵にしたような素直な流れで、簡単に先読み出来てしまう。だがこれが良いのだ。ゆったりとした気分でストーリーを追い、「やっぱりね」と安心して観れるからストレスが溜まらない。だからとても心が癒されるのである。
この物語の主役はもうー人いる。キウェテル・イジョフォー演ずる、ゲイの「ローラ」である。彼女いや彼は、気は優しくて力持ち。靴工場のドンとの腕相撲シーンは、この映画のハイライトである。
もちろんラストシーンは、最高の見せ場であり、「キンキーブーツ」もやっと日の目を見ることになるのだ。
この作品は実話を素に作られたという。涙あり笑いあり、役者も音楽も良い。そしてハラハラ・ドキドキも揃っている、全てお約束通りの精密な作品である。ただ難点を言えば、あの我がまま女房の存在と、お色気が不足していたことかな。
しかしながら、これぞイギリス映画という感じの、心温まる素敵な作品なので、決して観て損はないだろう。
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