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2006年9月 9日 (土)

タイム・リープ あしたはきのう

『本と映画のランデヴー第八弾』 

 久し振りのランデヴーであります。小説は11年前で映画も9年前と、ともに古臭くなってしまいましたが、タイムトラベルファンは必見の名作といえるでしょう。先に小説を読んだので、その順番通りにレビューしましょう。

 学園もののタイムトラベル小説といえば『時をかける少女』とか『サマー/タイム/トラべラー』を思い出すが、ことタイムトラベル理論のわかり易さでは、本作が抜群に秀逸である。
 著者の高畑京ー郎がこの作品を発表したのが、1995年で彼が28才の年である。してみると、かなり天才的な青年だったと言えるよね。

Scan10114  文章は平易で分かり易いが、とくに文学的に優れた表現をするでなし、コツコツと調査した背景描写があるわけでもない。またまっとうに会話のある登場人物は、上巻ではほば2人きり。そしてストーリー展開は、ラストの事件を除けば、主人公翔香の一週間の平凡な日常描写だけでなのである。
 たったそれだけで上下2冊の本に分けているのだから、ある意味少し図々しいかもしれないね。しかし読んでいて全く退屈しないし、逆にぐいぐいと心が引張られてゆくのだから不思議だ。
 ここでのタイムトラベルには、ある一定の法則が存在するようだ。それを簡単にまとめると次の通りである。

 意識だけが時間移動する
 同じ時刻へは一度しか跳べない
 何か怖いことに会うと時間移動する
 眠ると明日ではない日に時間移動する

 つまり一週間をランダムに切リ刻んで、意識だけが小間切れにされた時間の中を、行ったり来たりしているのだ。
 またタイムパラドックスやパラレルワールドの存在は認めているものの、そこに行きつかないことを配慮した展開であった。
 前半はタイムトラべルに理論に終始しながらも、後半ではミステリーへと移行し、オープニングとラストが見事に繋がってゆくのだ。
 ライトノべルとはいえ、流石に時間テーママニア達が『隠れた名作』と評価するに十分な作品であった。

 この小説はその後、1997年に映画化されているようである。早速ビデオ屋へ行き、古い棚からこの作品を探し出した。
 細かな設定の違いは少しあったが、大筋は小説とほぼ同じだったので、何だか2度小説を読んだような気分であった。

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 主演の二人は、小説のさし絵同様、美男美女には変わりないのだが、ちょっと老けた感じで若干清々さに欠けていたようだ。あとで俳優の実年令を調べたら、やはり20才であった。
 あと小説での関君の役割は重要で、準主役級だったのだが、何故か映画ではチョイ役であった。また小説ではかなり重要だった、「翔香が、護身術を教わるシーン」が映画ではカットされていたのがちょっと解せない。
 その関係もあり、八幡神社でのクライマックスにも迫力が不足していたし、なにか盛り上がるものも感じられなかったのが残念である。たぶん犯人の描き方を、中途半端にアレンジしたことに問題があったのかもしれない。
 まあ、悪い映画ではないが、わざわざ劇場まで足を運ぶほどの代物ではないと思った。
 
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コメント

TBありがとうございます。
タイムリープ最高ですね!
確かに映画版のラストは・・・な内容でちょっとがっかりした記憶があります。
言われてみると、主要登場人物以外ってほとんど言わざる状態ですね。
もっとも現代を舞台にした学園物ライトノベルは、総じて世界観が閉鎖的な気がします。

投稿: ささかま | 2006年9月 9日 (土) 22時37分

ささかまさん、コメントありがとう。
偶然ですが、ささかまさんのレビューと僕のレビューは、共に小説と映画を評しているし、映画の問題点も同じですね。
ただライトノベルについては、ささかまさんの方がよく読んでいるみたいです。
これから時々お邪魔しますので宜しく。

投稿: ケント | 2006年9月 9日 (土) 23時30分

TBありがとうございます。
映画があるのは知っていたので気にはなっていたのですが、評価はイマイチなのですね。
参考になりました。

投稿: かなの | 2006年9月11日 (月) 18時36分

かなのさんコメントありがとう。
映画は決して悪くはないのですが、どうしても原作は、タイムトラベル理論を展開していた関係上、映像だけでは表現できない部分があったと思います。

投稿: ケント | 2006年9月11日 (月) 21時53分

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