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2006年9月の記事

2006年9月30日 (土)

NANA

★★★☆

 原作のマンガは全く読んでいないので、マンガとの比較は出来ないが、映画の中に少女マンガチックなムードは十分感じたな。

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 主人公は二人のナナちゃんで、1人は中島美嘉が演じる、バンドのボーカルをめざす、気が強く暗いがしっかり者の女の子。もう1人は、宮崎あおいが演じる、愛を求め明かるく優しいおっちょこちょいの女の子。(同じナナだと、間違えられるため、ハチという愛称で呼ばれる。)
 という正反対のデコボココンビである。なんとなく漫才みたいだが、二人はお互いに足りない部分を補完しながら共同生活を営んでゆく・・。そして女の子同士の友情が芽生え始める。

 それにしても、中島美嘉って細いよね。ちょっと触ったら、ポッキンと折れそうだし、宮崎あおいがデブに見えちゃたよ。
 なかなか楽しい映画だったし音楽も良かったが、中島美嘉の伸びのない途切れがちで苦しそうな歌声は、余り好きじゃない。トラネスの女性ボーカルのほうが、ずっと張りがあって透明感のある素晴しい歌声だったね。ラストシーンは流石にジーンときたね。
 マンガのほうは大長編みたいだけど、この映画もこれからシリーズ化してゆくのかな・・。第1作目はまぁまぁだったけど、これを続けられてもねえ~

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2006年9月27日 (水)

ホテル・ルワンダ

★★★☆

 アフリカのルワンダで、1994年に実際に起った種族間抗争を描いた社会派ドラマであり、2005年のアカデミー賞にノミネートされている。
 この映画は、当初日本で上映される予定がなかったらしい。ところが熱狂的信者達がネットで必死の書き込みを行い、やっと一部の劇場で上映の運びになったという。

ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション DVD ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
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 南アフリカ、イギリス、フランスの合作であり、出演者も多彩で豪華である。主人公であり、ホテルの支配人ポールに扮するドン・チードルや妻役のソフィー・オコネドーは、よくハリウッド映画で見かける顔である。そのほかにも、ニック・ノルティやホアキン・フェニックスも出演しているのだ。アフリカ映画として宣伝されていたが、事実上はハリウッド映画ではないのか。
 さてストーリーのほうだが、ルワンダ大統領暗殺を契機に種族間紛争が勃発し、国内は大混乱に陥り、約100万人の死体の山が築かれる有様となる。
 外国人客が宿泊するべルギー系の高級国際ホテル『ミル・コリン』は、国連軍に守られていることもあり、続々と避難民が押し寄せてくる。そしてついにミル・コリンは、彼等の避難場所と化してしまうのだった・・・。
 一番気になったのは、国連軍が反乱軍を全く制止しないことである。内政干渉ということで手を出さないのだろうか。彼らは自衛と外国人を守ることだけに専念するのだ。
 また外人の報道カメラマンは、現地人が無残に殺され、死体の山となってゆく状況を撮影し、本国に戻ってニュースで流すという。それを聞いた支配人ポールは、そうなれば全世界の人々が同情し、国連軍による救助活動が始まるだろうと確信する。
 しかしカメラマンは残念そうな顔で「世界の人々は、この映像を見て、”怖いね”と言うだけでディナーを続けるだけだ」と言い切るのである。たったこれだけの会話に胸が熱くなり、同時に「さもありなん」と考えてしまう自分が恥かしくなる・・・。
 この国での人間の値段は安い。またワイロだけが、自已主張出来る唯一の手段である。どこの国も通って来た道であるが、実に淋しい現実だ。
 確かにこの映画はルワンダでの悲惨な事実を分かり易く伝え、同じ国でありながらも、種族の違いによる対立をアナウンスしているかもしれない。また辛うじて治外法権が確立されていたかのような、ホテル内での危うい出来事を正確に伝えてくれたことも確かである。
 ただそこに心を打つドラマがあってこそ、映画なのだと考えたい。そういう意味では今ひとつこの作品を、手放しで誉めることをためらってしまうのだ。
 それから、主役が高級ホテルの支配人という、上流階級の人間であり、主な舞台が豪華ホテル内であること、逆にルワンダ貧民層の生活や、なぜ革命が勃発したのかのバックボーン等が詳しく描かれていない。さらには多くのハリウッドスター達が演じていることによって、イメージ的にも、ルワンダでの悲惨さや、人々の悲しみが伝わってこないのだ。
 貧民層の生活を描いた作品といえば、イランのマイナーな低予算映画で、『カンダハール』という優れた作品がある。その『カンダハール』を観れば、この映画での貧民層の描き方が、いかに甘いかを感じるはずである。

 ちなみに『カンダハール』は妹を探してイランからアフガンのカンダハールまで1人旅をする女性の話なのだが・・・。この映画には、ストーリーなどほとんどなく、アフガンの人々の究極の貧困を描いたドキュメンタリーといった感があった。
 内容的にお面白いわけではなく、撮影場所も砂漠の中ばかりの低予算映画なのだが、なにかじわりじわりと心に突き刺さるような感じが残った。貧困の国では、いつも子供と女性達が最大の被害者になるし、悪いことが罪の意識もなく平然と行われるようになるのだと、改めてつくづく思い知らされる映画だった。またこの映画を観ると、北朝鮮さえ豊かな国に思えてくるのだ。日本などは全く「別の惑星」と言っても過言ではないだろう。

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2006年9月24日 (日)

LOFT ロフト

★★★

 こういうのをスタイリッシュホラーとでも言うのだろうか。それにしてもこのタッチは、明らかに韓国流だね。
 郊外の淋しい場所に建つ古くて広い家。ここに移り住み始めたのが、芥川賞を受賞した女流作家の主人公。
 その敷地の向かいには、使わなくなった大学の研究室がある。そこには1000年前に亡くなった女性のミイラと、うつ病気味の教授が潜んでいた。
 ある日不信に感じた女流作家は、その研究室に忍び込み、そこでミイラを発見してしまうのだった。

Scan10127  女性作家に中谷美紀、教授に豊川悦司、編集部長に西島秀俊、女性作家の友人に鈴木砂羽、そして幽霊役に安達祐実といった布陣。というよりは、ほとんどこの5人しか出ない低予算映画だ。
 あとは心象風景と、お化け屋敷めぐりなのだが、この映画はちっとも怖くない。ホラーというより心霊ファンタジーといったほうがいいね。
 中谷美紀は珍しく髪をおろし、いつもとは全く違うイメージで、見事に文学少女を演じていた。一方豊川悦司のほうは、声が低く篭ってしまい、何を言っているのか良く聞き取れない。このような心理劇で、少しでも聞き取れないと、何が何だか判らなくなってしまう。そう言う意味で、彼は失格である。
 あと西島秀俊のやる気ない、小学生以下の演技は一体どういうつもりなのだ。また彼が、あっという間に警察官に逮捕されたときは、まるでおバカ映画のようで笑ってしまった。
 中谷美紀が咳をして、泥を吐いているシーンがあったが、あれは泥を飲んだというミイラに繋がるのだろうか。とすれば彼女がミイラの生まれ変わりということになるが、その辺りの必然性というか、怨念というか、バックボーンの説明が全くないのは不親切というより、この監督の力量の無さを感じた。
 また安達祐実扮する幽霊のポジションが良く判らないし、西島の急変にも説得力が全くないね。
 この映画は、全般的にイメージと映像ばかりが先行し、筋立てや世界観などが、全く練り込まれていない。黒沢清監督の自己満足と思いつきの世界を垣間見た感じだ。 

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2006年9月23日 (土)

僕を殺した女

 それにしても随分と思い切ったタイトルをつけたものだ。それに「ある朝目覚めると主人公篠井有一は、ヒロヤマトモコという美女になっていた」という設定は、どこかで聞いた事があるだろう。

Bokuokoroshita_1  そう・・誰でもが知っている、「ある朝目覚めると僕は、巨大な毒虫になっていた」という、フランツ・カフカ『変身』の冒頭を思い出すはずである。
 この小説では、主人公の篠井有一が、女性に変身してしまっただけでなく、5年間の記憶も全くなくなってしまった。~という設定になっている。
 最初は5年前の世界から、見知らぬ女性の体の中に篠井有一の心がタイムスリップしたのだと思っていた。
 ところがこの小説は、そうした時間テーマSFではなかったのだ。どちらかというと、サスペンスとかミステリーというジャンルなんだね。
 テーマは、主人公篠井有一の正体解明に終始することなのだが、本人の自問自答が中心であり、心象風景もコロコロと変貌してゆくんだね。
 そして話が進むに従い、SFよりももっと荒唐無稽な現実が、読者の前に剥き出しにされる。そして二転三転しながら複雑に絡みあったパズルを解いてゆくのだ
 もしかすると、安部公房のような一風変わった純文学とも言えるし、夢野久作のようなサイコ小説といってもおかしくないだろう。
 それにしても、この北川歩実という作家は、男なのか女なのかさっぱり判らない。聞くところによると、年齢も含めて一切が不詳の覆面作家だというのだ。
 北村薫も当初は覆面作家だったというが、なんらかの賞をとれば、身元はバラさずにはいられない。
 ではなぜ覆面をするのだろうか。サラリーマンで、二足のワラジを会社に知られたくないのだろうか。それとも売れなくなった超有名作家の小遣い稼ぎなのだろうか。
 いずれにせよ売れっ子になれば、やがて正体が明かされる日も来るだろうが、こやつはただものではない気がする。

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2006年9月21日 (木)

マイアミ・バイス

★★★

 夜のシーンが多いせいか、暗いイメージの映画だった。FBI麻薬捜査官のおとり捜査を描いた社会派アクションなのだが、ストーリーのテンポが早くて、ボックボーンがイマイチよく理解出来ない。

      Miami01

 潜入捜査をする二人の捜査官には、コリン・ファレルとジェイミー・フォックスが扮していて、二人とも息がピッタリ合っていたと思う。それにしても、『コラテラル』、『Ray(レイ)』に本作と、それぞれ全く別人のようなジェイミー・フォックスには驚いたね。彼の成り切りスーパー演技には、いつも度肝を抜かれ感心してしまう。
  それから、ボスの女を演じたコン・リーが、いやに印象深かったな。あの悲しげなスッピン顔と、ナイスボデー、コリン・ファレルとのからみで時々みせる笑顔に、抱きしめたくなるような哀愁を感じてしまったね・・。そしてあの顔で、40才を超えてるなんて信じられる?

Miami02  この映画、アクションものとしては、リアル過ぎて多少地味な感もあるが、クライマックスの銃撃戦には、本物の迫力を感じて鳥肌が立ってしまった。
 ・・ところで、この作品は編集カットが多かったのだろうか。今ひとつストーリーの繋がりが良くないし、銃撃戦後の展開にもスッキリしない気分である。
 それとボスがどうなったのかも不明である。ということは、続編ありということなのだろうか。それはないと思うのだが、どうもその辺りの意図がはっきりと見えてこないね。

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2006年9月18日 (月)

バックダンサーズ

★★★☆

      Scan10125

 バックダンサーって・・・、そう人気歌手の後で踊っているあの女の子達のことだね。いわば影の存在であり、誰も名前さえない。
 ではメインの人気歌手が引退したら、添え物である彼女たちは、一体生き残れるのだろうか。まさにそれが、この映画のテーマなのである。
 序盤はなんとなくミーハーで、子供向けの映画かなと感じるところもあったが、中盤からはおじさんにも楽しめる、心のある展開となってくれた。
 いわゆる団体スポコン路線で「ロボコン」「スウィングガール」「リンダリンダリンダ」などの亜流といえよう。ただ今回は、主役が学生ではなく社会人であるため、若干大人のスパイスが効いていた。

Scan10126  ことにおじさんロックシンガーを演じた、陣内孝則の存在は重要であり、この作品に甘酸っぱさと同時に1本芯を通してくれた。また70年代のロックも、なかなか良い味を出していたと思う。
 4人の女の子達も、それぞれ個性を出し切って、与えられた役柄を見事にこなしていたね。その中でもhiroが一番輝いていたし、歌も素敵だったな。
 しかしよく短期間であれだけ踊れるようになるものだ。やはり若さとは力なりだね。映画の中では、かなりの曲が使われていたが、みんな良い曲ばかりでとても楽しかった。

 
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2006年9月16日 (土)

通勤地獄 おばさんの座席

 そう混んでもいないが、座席も空いていない昼間の小田急線だった。僕が立っている斜め前の座席が空いた瞬間の出来事である。
僕よりずっと離れて立っていたおばさんが、ものすごい勢いで走り込んできて、その空いた座席に滑り込んで来た。

Kc240136_1   そこまでは、よくある話だが、その後すぐに僕のまん前の座席(つまり、今しがたおばさんが、必死の形相で確保した席の隣)に座っていた人が急に立ちあがって電車を降りてしまったである。
 すると即座におばさんは、その空席に荷物をおいて、「若い者には死んでも座らせないぞ」とばかりに僕のことをぐっと睨みつけ、「おばあちゃん」「おばあちゃん!!席が空いてるよ!」と大声を張り上げて、かなり遠くに立っていた見ず知らずの老婆を呼び続けた。
 それに気付いた老婆が慌てて走りより「スッテンコロリン」と尻餅をついてしまったのだ。なかなか起きあがれないので、僕が手を貸して起こしてあげたが、くだんのおばさんは知らんぷリ。
 そうこうしながら、やっと老婆は座ることが出来たのだが・・・・あらら次の駅で降りてしまった。もうおばさんは、僕のことを睨まなかったが、なんか座る気分にならなかった。・・・・と次の駅でおばさんは降りてしまった。

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2006年9月14日 (木)

フライトプラン

★★★☆

 巨大航空機の設計士であるヒロイン・カイルは、夫の原因不明の自殺にショックを受け、突然会社を辞めてしまう。そして失意のままー人娘のジュリアを連れて、葬儀のためべルリンからニューヨーク行きの巨大航空機に搭乗するのだった。

フライトプラン DVD フライトプラン

販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2006/05/24
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 座席に座ると過労のためか、束の間のうたた寝をしてしまうのだが、目覚めると娘の姿が見つからない。周囲の乗客達に聞いても、乗務員に聞いても、誰も娘の姿など見た事がないというのだ。
 彼女は錯乱状態となり、機長に詰めよって機内の隅々まで探させるのだが、結局娘は何処にも見つからない。彼女は反狂乱となり、機内を走り回わり、同乗するアラブ人が拉致したのだと大声で罵るのだ。
 やがて大騒ぎをしている中、娘の塔乗記録がなく、夫と同じ病院で死亡しているという事実が判明する。そして彼女は精神異常で、全ては後女の妄想だったということにされてしまう。

ところが・・・

 主演のカイル役では、ジョディ・フォスターが鬼気迫る体当り演技を披露している。彼女を見るのは、『パニックルーム』以来だが、暫く見ないうちに、かなり痩せてしまったせいか、まるで別人のような感じがした。
 それにしても、彼女が演じるところの母親は凄まじく強い。機内の塔乗者全員を敵に回わして一歩も引かず、果てはテロリストとも戦うのだから・・。
 この映画の大部分は、巨大航空機の中での出来事であるが、このタイタニックのような2階建て旅客機は、本当に実在するのだろうか。ネットで調べてみたら、エアバス製で実在していることが分かった。とにかくこんなに広い飛行機では、子供でなくとも迷子になってしまいそうである。
 さて人は誰しもが自分のことで精一杯であり、所詮赤の他人のことは「ヒトゴト」なのだ。従って興味が湧かないことは、一片の記憶すら残らないのだろう。
 この作品はサスペンス映画としてジャンル分けされるが、「ハラハラドキドキさせて、最後にドンデン返し」という流れには、往年のヒチコック作品を思い出さずにいられなかった。
 ただ種明かしが、いやにあっさりし過ぎていた。そしてその後の展開が余りにもありきたりで、簡単に終ってしまったのが残念である。
 もう少し引張って、犯人側ももっとしつこい反撃に出て、最後の最後までとことん恐怖感を煽るほうが、より面白かったのではないだろうか。

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2006年9月 9日 (土)

タイム・リープ あしたはきのう

『本と映画のランデヴー第八弾』 

 久し振りのランデヴーであります。小説は11年前で映画も9年前と、ともに古臭くなってしまいましたが、タイムトラベルファンは必見の名作といえるでしょう。先に小説を読んだので、その順番通りにレビューしましょう。

 学園もののタイムトラベル小説といえば『時をかける少女』とか『サマー/タイム/トラべラー』を思い出すが、ことタイムトラベル理論のわかり易さでは、本作が抜群に秀逸である。
 著者の高畑京ー郎がこの作品を発表したのが、1995年で彼が28才の年である。してみると、かなり天才的な青年だったと言えるよね。

Scan10114  文章は平易で分かり易いが、とくに文学的に優れた表現をするでなし、コツコツと調査した背景描写があるわけでもない。またまっとうに会話のある登場人物は、上巻ではほば2人きり。そしてストーリー展開は、ラストの事件を除けば、主人公翔香の一週間の平凡な日常描写だけでなのである。
 たったそれだけで上下2冊の本に分けているのだから、ある意味少し図々しいかもしれないね。しかし読んでいて全く退屈しないし、逆にぐいぐいと心が引張られてゆくのだから不思議だ。
 ここでのタイムトラベルには、ある一定の法則が存在するようだ。それを簡単にまとめると次の通りである。

 意識だけが時間移動する
 同じ時刻へは一度しか跳べない
 何か怖いことに会うと時間移動する
 眠ると明日ではない日に時間移動する

 つまり一週間をランダムに切リ刻んで、意識だけが小間切れにされた時間の中を、行ったり来たりしているのだ。
 またタイムパラドックスやパラレルワールドの存在は認めているものの、そこに行きつかないことを配慮した展開であった。
 前半はタイムトラべルに理論に終始しながらも、後半ではミステリーへと移行し、オープニングとラストが見事に繋がってゆくのだ。
 ライトノべルとはいえ、流石に時間テーママニア達が『隠れた名作』と評価するに十分な作品であった。

 この小説はその後、1997年に映画化されているようである。早速ビデオ屋へ行き、古い棚からこの作品を探し出した。
 細かな設定の違いは少しあったが、大筋は小説とほぼ同じだったので、何だか2度小説を読んだような気分であった。

タイム・リープ TIME LEAP DVD タイム・リープ TIME LEAP

販売元:バンダイビジュアル
発売日:2003/04/25
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 主演の二人は、小説のさし絵同様、美男美女には変わりないのだが、ちょっと老けた感じで若干清々さに欠けていたようだ。あとで俳優の実年令を調べたら、やはり20才であった。
 あと小説での関君の役割は重要で、準主役級だったのだが、何故か映画ではチョイ役であった。また小説ではかなり重要だった、「翔香が、護身術を教わるシーン」が映画ではカットされていたのがちょっと解せない。
 その関係もあり、八幡神社でのクライマックスにも迫力が不足していたし、なにか盛り上がるものも感じられなかったのが残念である。たぶん犯人の描き方を、中途半端にアレンジしたことに問題があったのかもしれない。
 まあ、悪い映画ではないが、わざわざ劇場まで足を運ぶほどの代物ではないと思った。
 
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ハチミツとクローバー

★★★☆
 観客がマバラなせいか、季節外れの半袖シャツのせいか、まるで冷凍室に閉じ込められたようにクーラーが冷たい。
 この映画の原作は少女マンガらしい。そしてそれとなく始まり、それとなく終わってしまった。始まりもなく終わりもない感じだ。

ハチミツとクローバー ~恋に落ちた瞬間~ DVD ハチミツとクローバー ~恋に落ちた瞬間~

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2006/07/14
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 面白いといえば、確かに面白いが、何が?と問われても、正確には答えられそうもない。
 
ラブストーリーなのだが、全く色っぽいところがなく、中学生の恋愛のようで気恥しい。まっとうなのは主役?の竹本祐太と山田あゆみだけで、あとのメンバーはユニークだが、何かつかみどころがないのだ。

 そして一番もてないのも、まっとうな竹本であり、次にまっとうな山田である。あとの登場人物は、変わり者ばかりで、まるで幽霊みたいな人々だ。芸術家達なので仕方ないといえば仕方ないか・・。

Hachi  現実的でまっとうな人が笑われて、幽霊達が絶賛されるという図式である。やはり、まさにマンガのマンガたる所以だろう。
 人生は、ままならない。いや恋愛もまた、ままならず。追えば逃げられ、逃げれば追われるものなのだ。
 この作品は次のような相関図で成り立っている。

 ●竹本(好き)→はぐみ(?)→森田
 ●あゆみ(好き)→真山(好き)→理花

 だったら竹本とあゆみが、くっつけば良いようなものだが、人の心はそう簡単に覆せないものだ。結局ふられてもふられても、決して屈することのない二人が、とてもとてもいじらしい。
 ちょい役で宮大工を演じた中村獅童がカッコ良かったね。音楽良し、キャスト良し、クロネコ良し、なぜかとても爽やかな感じが一杯の映画だ。

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2006年9月 6日 (水)

リプレイJ

 ケン・グリムウッドの小説『リプレイ』の版権を持つ新潮社が、主人公を日本人に変え、ストーリーも大幅に改編して、今泉伸二に描かせたコミックである。
 本家であるケン・グリムウッドの『リプレイ』は、冴えない主人公が43才になると死亡し、記憶を持続したまま25年前の自分の体に、タイムスリップしてしまうというお話だ。そしてこの死亡とタイムスリップの繰り返しを、約10回も行うのである。

Scan10113_1  未来の出来事を記憶しているわけだから、賭け事や株で大儲けし、好みの女性も思いのままである。しかし結局のところ、それでは本当の満足感が得られず、何度も何度も人生をやり直す。そしてあるとき自分同様のリプレイヤーと巡りあい、本当の恋をする・・・
 ~とざっとこんなストーリーなのだが、コミックの『リプレイJ』では、何度も繰り返しリプレイする人生は描いていない。小説同様やはりショボイ40男が、新入社員時代に戻るのだが、1度目のリプレイで、やりたい事をほぼ全て完遂してしまう。だから回を重ねるごとに段々スケールが大きくなり、ついには日本はおろか世界中を席巻してしまうのである。
 しかもほとんどが、歴史的実話で構成され、登場人物の名も本名をモジっただけで、顔は本人そのものなのだから笑っちゃう。
 これはなかなか面白い・・はずである。ところがこのコミックには、不思議といまひとつのめり込めない感がある。
 一言でいえば、細かい絵を追うのが疲れるのだ。そう、今泉伸二が描く絵は、細部に渡り美麗極まりないなのだが、まさにイラストであり動きが全くないのである。原作もののマンガを描く人には、このようなタイプの画風が実に多いね。
 それが唯一の欠点であり、残念だがマンガとしては最大の欠陥とも言える。
 まぁ人それぞれなので、こういう絵が好きならば、全12巻とちょうど良い長さだし、文句なく楽しいマンガと言えるだろう。

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2006年9月 5日 (火)

天然理科少年

 表紙の写頁は、吉田美和子さん製作の「美少年人形」である。とても清楚で幻想的で、この小説のイメージにピッタリだと思う。なお各章の扉には、ノスタルジックな詩と、コメント付きの美しい写真も飾られている。

天然理科少年 Book 天然理科少年

著者:長野 まゆみ
販売元:文藝春秋
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 わずか147頁の薄っぺらな文庫本だが、なかなか丁寧に創ってあり、とても気分が良いのだ。
 放浪癖のある父親と二人で生活し、短期間に転校を重ねる少年が、ある田舎町で遭遇した不思議なお話を描いた、ファンタジー小説である。その淡々として瑞々しい人物描写と、センチメンタルな郷愁に、なんとなく昔読んだ、『つげ義春』のマンガを思い出してしまった。
 小柄な賢彦少年との巡りあいが、「バナナ檸檬水」というのも、古めかしさの中にお洒落な香りが漂っている。
 また父の名が「梓」で、少年の名が「岬」とは、二人ともなんと優しくロマンチックな名前なのだろうか。
 そしてこの名前の由来と父の心が、時空を越えて見事に繋がり、そっと宝石箱を開くように、煌びやかに過去が解き明かされてゆく。それはなんとも、心地良い締め括りであろうか・・。

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2006年9月 3日 (日)

グエムル 漢江の怪物

★★★

 韓国の漢江に突然変異によって、巨大なナマズガエルのような生物が誕生する。そして突如として漢江の河川敷に現われ、逃げ惑う人々に次々と襲いかかるのだった。
 この騒ぎで怪物に娘を拉致された家族が、団結して怪物に立ち向かってゆく・・というお話である。

Guemulu_1  この作品は、韓国映画史上最高の観客を動員したという。それにしては、中盤以降かなりダラダラした展開が続いたね。
 確かにあのヌメヌメしていて、素早い動きをする怪物の出来は、飛び抜けて素晴しいと思った。特に怪物登場の物々しいシーンと、ラストバトルは秀逸で文句のつけようがない。
 しかし怪物登場シーン以外は、余り観るべきものがなかったような気がする。 確かにこの作品は単なる怪物映画ではなく、処々に反米・反政府思想が見え隠れし、さらには家族愛をも練り込まれている。
 ただ家族愛といっても、あれだけ無意味なおバカを繰り返すと、なんか白けてピンとこない。だから家族の一員が死んでも、ちっとも悲しくならなかった。
 またあれだけ怪物に被害を受けたにも拘わらず、怪物を放置したまま、ウィルス患者ばかりを追いかけ回す、警察の対応にも納得がゆかない。
 家族vs怪物という名目にこだわり過ぎて、無理な展開を強いられることになってしまったようだ。また「お笑い家族」という構成に、何か意味があるのだろうか。シリアス家族にしたほうが、もっと感情移入出来たと思うのだが・・。
 何故いつも韓国映画は、意味不明のお笑いを介入したがるのか。ここらの感性の違いが、韓国人と日本人とがなかなか理解し合えない原因かもしれない。

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2006年9月 2日 (土)

デスノート (コミック) 

 絵はヒカルの碁の小幡健で、いつもながら非常に丁寧で綺麗な絵である。その関連性とは言わないが、この『デスノート』は、キャラの設定や全体的な構成が『ヒカルの碁』と共通している部分が多いよね。
 例えて言えば、両方とも原作ものだということ。ヒカルには、藤原作為という幽霊が憑いていたが、ライトにはリュークという死神が憑いていること。
 またライトには、Lという天才的ライバルがいるが、ヒカルにもアキラというやはり天才的ライバルが存在したのだ。

DEATH NOTE (5)    ジャンプ・コミックス Book DEATH NOTE (5) ジャンプ・コミックス

著者:大場 つぐみ,小畑 健
販売元:集英社
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 さらには、双方とも大人が読んでも、全く違和感がなく、異例の大ヒットを遂げている。また皮肉なことにラストが無理やり書かされたような、中途半端なエンディングであることも同じだ。
  『ヒカルの碁』の原作者は、「堀田ゆみ」という女性であり、『デスノート』のほうも、やはり「大場つぐみ」という新人女性なのである。しかしこれだけの大作を、新人女性が書けるはずもなく、実は大物作家の偽名だという噂もあるようだ。

ヒカルの碁 (23) Book ヒカルの碁 (23)

著者:ほった ゆみ,小畑 健,梅沢 由香里
販売元:集英社
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 前述した通り、二つの原作に共通点が多過ぎることを考えると、『大場つぐみ』と『堀田ゆみ 』は同一人物なのかもしれない。
 では何故偽名を使う必要があるのだろうか。あくまでも私の勝手な推測だが、当初の企画は編集部から出され、それを堀田氏に依頼したのではないか。しかし堀田氏自身は、大量殺人を正当化したような作品を書くことに抵抗があり、照れ隠しで『大場つぐみ』と名乗ったのかもしれない。 
 ことの成り行きはどうでもよいとして、とにかくこの作品がこれほど大ヒットし、映画化されるとは誰も想像しなかったに違いない。
 「死神が落したノ一トに、顔を知っている者の名前を書くと、書かれた者は死ぬ」という、一見誰にでも考えられそうで、かつ荒唐無稽なアイデアは、編集部員が考えたのだろう。しかしその単純な発想に複雑なルールを絡ませ、ミステリー小説のような緻密な心理描写を綴ったことが、大成功の原因だと考えたい。
 もしこうしたら、ああするし、こうしなければ、あれをああする。あれがああ出来なければ、そうこうするが、そうこうしても相手が反応しなければ、その逆も考える。などなど作者にしか分からないようなことまで、細かく考え抜いて伏線を張る用意周到な主人公ライトとライバルL・・。
 ある意味開き直ったような、神がかりの推理合戦が展開するのだ。少なくとも「L編」まではこれで良かった。そしてLが絶対的に知り得なかったことで、ライトに敗れたことも納得出来るはずである。だから本来の流れからすると、ここは「L編」で終るべきであったのだ。
 ところがそれでは正義(何が正義か悪かの判断は難しいが、とりあえず法律上の正義としておこう)が悪に敗れることになってしまう。しかし少年誌に掲載している関係上、そうした終わりかたをする訳にはゆかないのも碓かである。
 それで無理やり「ロス編」を作ってしまったのだろう。(当然大ヒット作の継続による收益向上政策があったことも否めないが・・)
 この「ロス編」に登場するニアとメロは、遥かにLに劣るはずである。それにも拘わらず、Lを凌駕してしまったのである。もちろん作者もそのことは承知していて、二人が組み合わさったから、或いはLが解明した資産を受け継いだからという言い訳は用意しているようだ。
 もちろんそのことは判っているが、それにしても後半のライトの冴えなさと傲慢さは一体どうしたことか。やはり無理があったのである。
 そのことに多くの読者が不満表明をしたことにより、近々最終巻をフォローする追録巻が出版されるらしい。これは浦沢直樹の『20世紀少年』と全く同じ現象である。
 最近商業べースや社会の風評を重視し過ぎて、無理と連載を引き伸ばしたり、突如中止にしたりと、読者不在の措置が多発しているように感ずるのだが、それは私だけなの思い込みなのだろうか・・・

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