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2006年8月 2日 (水)

サマー/タイム/トラべラー

 スラッシュが2つも入るタイトルなんて、そうザラにあるものじゃない。おかげでファィル名には使えないじゃないの。
 それにしてもこの作品は本当に小説なの?少なくとも前半はどちらかというと、小説仕立ての『時間テ一マSF論』という感がしないでもない。

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著者:新城 カズマ
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 主な登場人物は、タイムトラべルが出来る悠有を除けば、老成したような高校生ばかりであり、しきりにウンチクをひけらかす。ことにSF作家の名前や作品名がポンポン飛びだすので、SFオタクには嬉し懐かしだが、そうでない人には耐えられないだろう。
 それにストーリー展開が、えらくまどろっこしいと言うか、回りくどい。まるでヒグマが潜んでいるブナの林を、振り向きもせず、鼻唄まじりでのんびりと歩いているようだ。
 それに『プロジェクト』などと気取っているが、単なる『SF同好会』じゃないか。ストーリーのほうも前半は、この同好会でのウンチク大会に終始し過ぎて退屈で死にそうだった。

サマー/タイム/トラベラー2 Book サマー/タイム/トラベラー2

著者:新城 カズマ
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 それにこの物語にある地名は、全てが架空のものだというのに、もっともらしい地図を何枚も掲載する必然性がみえてこないのだ。いい加減にして欲しい。もう少し上手にまとめれば、わざわざ2冊にすることもなく、充分1冊に納まる内容である。
 ・・と文句ばかり言いたくなる作品だが、後半になって急遽『学園ドラマ』から、『ミステリー小説』へ脱皮し、ラストに至っては、まるで悠有のタイムトラべルの如く、猛烈な勢いで末来を通り抜けてしまうのだ。
 しかしエンジンがかかるのが余りにも遅過ぎるよ。読み辛い文章と、退屈なストーリーで、ここまで無理やり引っ張っておきながら、今度はあっという間に終ってしまうしね。

 読了後の満足感もなければ、感動する場面もない。そして著者が『夏への扉』と『ジェニーの肖像』の大ファンであるという確証だけが残った。

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コメント

ユキノさんコメントありがとう。
猫好きでしたか。それではこの作品に好感を持ったでしょうね。あと「夏への扉」もね。
これからもよろしくね。(^^♪

投稿: ケント | 2006年8月26日 (土) 12時34分

こんにちは。
TB&コメントどうもです。

猫好きとしては猫が登場しているだけで
ポイントアップです。
しかし、導入部分は長かった気がしますv

投稿: ユキノ | 2006年8月22日 (火) 22時04分

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