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2006年8月の記事

2006年8月31日 (木)

流星ワゴン

 なんともはやマンガチックで、懐かしい響きを持ったタイトルである。この「ワゴン」とは、幽霊父子が運転するワゴンカーであり、ワインカラーのオデッセイのことでなのである。
 そしてこのオデッセイこそ、『バック・トゥ・ザ・フューチャーでいうデロリアンであり、一種のタイムマシンなのであった。

流星ワゴン Book 流星ワゴン

著者:重松 清
販売元:講談社
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 病床の父親とは、ほば絶縁状態。妻はテレクラに狂い、一人息子は受験に失敗し家庭内暴力に走る。そして会社が傾き、リストラの対象になる。・・こういう最悪の家庭環境に追い込まれたとき、あなたならどうするだろうか?
 主人公のカズは、もう人生なんてどうでもよくなり、いっそ死んでしまいたい気持で一杯になる。そして目の前に止まったワインカラーのオデッセイに乗ってしまうのだった。これがこのお話の始まりである。
 前述した通り、このワゴンカーはタイムマシンで、家族が破綻する以前の過去へ疾走して行く。どういう訳か自分と同年期の父も、一緒にタイムトラべラーになっているのだ。
 それから、悲惨な自分の現在(未来)を変えようと、何度か過去を改竄しようと試みる。だがどうやっても、過去は絶対に変えられないのだ。
 この小説でのタイムトラべルは、過去の自分の体に、現在(未来)の自分の意識だけがとりつくという方式であり、決して過去の自分に遭遇することはないようだ。そして現在(未来)に戻るつど、過去の自分にはそのときの記憶も、記録も全く残らない仕組みになっている。ただ稀にそれとなく、体験感覚が揺り戻されることがあるようだが、それが『デジャヴ』と呼ばれている現象らしい。
 いわゆる「リプレイ」ものなのだが、絶対に過去は変えられないため、パラレルワールドの存在もない。
 タイムトラべルとして考えると、かなり違和感を感じるのが、同時にタイムトラべラーとなる父親チュウさんの年齢である。カズと同い年であるはずがないのだが、チュウさんは幽霊に近い存在と考えて、タイムトラべルと関連付けないほうがよいだろう。このお話はタイムトラべルと、幽霊を重ね合わせた物語なのだから・・。
 なにせ466頁もあるブ厚い文庫本だが、ストーリーの中味は非常にシンプルで、どこにでも居そうな三組の「父と息子」を描いている。まずはオデッセイを運転する幽霊の橋本さん父子、そして主人公のカズとチュウさん、もう1組はカズと息子の広樹である。
 そしてこれだけの長編にも拘わらず、女性達はほとんど存在感がなく、父と息子の関係だけに終始している。この辺りの描き方は、女性読者には少し抵抗がかもしれない。そこにこの作者の、父親に対する強烈な思い入れを感じたね。
 私の父親は42才で鬼籍に入っている。出来ることなら、私もタイムマシンに乗って、若かりし頃の父と一献傾けたいものである。
 父子の愛憎とタイムトラベルという筋立ては、浅田次郎の地下鉄(メトロ)に乗ってと良く似た展開である。ただ浅田次郎のように切ないエンディングではない。だからと言って、決してハッピーエンドとも言えない。
 過去にこだわらず、「未来に向かって力強く生きてこそ、幸福への扉が開かれる」と言いたいのだろうか。

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2006年8月27日 (日)

スーパーマン・リターンズ

★★★★☆

 ついにあのスーパーマンが帰って来た!それも前シリーズの2作目からの続編だという。偶然この映画の予告編を観て、もしや?・・・何だなんだ・・本当に。マジかよ。おお!!やっぱり。すごい!凄いぞ!バンザーイ!お帰り。ウォーツ!お帰りなさいスーパーマン!
 といった感じで大興奮。嬉しくて嬉しくてその夜は、興奮やまずにとうとう眠れなかった。

Scan10107_1  そう僕は昔からスーパーマン大好き人間なのである。小学生時代はTVのスーパーマン(当時からドラマとアニメの両方があった)を観て、首にふろしきを巻いて遊んだものだった。
 当時はスーパーマンに触発され、和製超人ものが大流行で、『月光仮面』『遊星王子』『七色仮面』『ナショナルキッド』『スーパージェッター』などのTVドラマやアニメが次々とお茶の間に登場したものである。さらには邦画でも、あの宇津井健がスーパージャイアンツというスーパーマンもどきのヒーローを演じていたのだ。但しこれらのことを知っている人は、超おじさんかSFヒーローオタクの人だけだろうね。
 そして僕は大人なって結婚し、二人の子供が生まれた。そんなある日、あのクリストファー・リーヴのスーパーマン映画が上陸したのである。
 そのときの驚きと感動は、いまでも体中の隅々に残っている。スーパーマンの魅力は、何といっても『空を飛ぶ』ということだ。その空の飛び方が、クリストファー・リーヴのスーパーマンで画期的に進化したのである。

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 それ以前の特撮技術では、クレーンを使ってピアノ線で体を吊していることがバレバレであった。それをいろいろな角度から、本当に飛んでいるように見せてくれたのだ。もちろん、それでも現在のレベルと比べればチャチイのだが、当時は度肝を抜かれる思いだった。
 それでもしかすると、自分も空を飛べるかもしれないと錯覚し、映画館のまん前で腕を挙げてジャンプした記憶が懐かしい。

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販売元:コスミック出版
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 そして家では、スーパーマンのテーマ曲を聞きながら、巴投げの格好で子供達を足に乗せて、『スーパーマン・ブンブン』をしたものだ。
 この新作『スーパーマン・リターンズ』を観るに当たって、まず所有しているクリストファー・リーヴの『スーパーマン1』と『スーパーマン2』を観直して、昔の記憶を蘇らせておいた。
 それから最近DVDリリースされたTVドラマの『新スーパーマン』と『ヤングスーパーマン』を立て続けに観た。そのDVDは『スーパーマン・リターンズ』の宣伝も兼ねていて、予告編はもちろんのこと、スーパーマンのオンパレードなのだ。
昭和30年代にTV放映されたスーパーマン
アニメのスーパーマン
クリストファー・リーヴのスーパーマン
新スーパーマン
ヤングスーパーマン
スーパーマン・リターンズのスーパーマン
・・・このワンカットの連射に、おじさんはもう涙でボロボロになってしまったよ。

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 それだけ準備しておいて、やっと待望の『スーパーマン・リターンズ』を観るときが来たのだ。もちろん超大画面を誇る新宿ミラノ座へ、いざ出陣だぁ~!
 本編の前にちらちらと予告編が長い!。3~4回観た予告編もあり、イライラが募ってくる。目の前の席で、イチャイチャしているカップルを怒鳴りつけたくなってしまう。
 と・・・、館内が暗くなり、やっとスクリーンが、ズズーンとワイドに広がり、雰囲気が変わり始めた。ついに、ついに、ついに18年ぶりにスーパーマンに逢えるのだ!!
 そしてあの懐かしいテーマミュージックが奏でられた。「チャンチャチャ~ン、チャチャチャチャ~ン」
 そして、そしてスクリーン一杯に文字が立体化されて光ってゆくじゃないか。まさしく、まさしくスーパーマンだぁ!思わず一筋の涙が頬を伝って落ちてくる。
 このあとは、ず~と息を詰めてじっとスクリーンに釘付けとなってしまう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

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 今回のスーパーマンは、何かもの悲しい。ケヴィン・スペイシーのレックス・ルーサーも、ややシリアスチックな感じだ。全搬的に『凄く真面目』な雰囲気が漂うのだ・・・。
 前作でのクリストファー・リーヴのおとぼけクラークは味があったし、マッチョなスーパーマンぶりも板についていた。今度のスーパーマン役のブランドン・ラウスは、端性な顔立ちに優しく光々しい瞳を感じる。まさに男から見ても惚々するほど素敵な男だ。
 一方ロイス役のケイト・ボスワースは、とても可愛いのだが、個人的には前作のマーゴット・キダーのほうが好みかもしれない。
 前半の飛行機墜落のシーンはメチャクチャ凄いね。スーパーマンも猛烈にスピードアップして、もの凄い追力である。CGのおかげだと思うが、やはり約20年の映像技術の進歩は計り知れない。
 本作のメインテーマは、約20年間も放置されていたスーパーマンシリーズをどんな形で復活させるかにあった。単純に前シリーズの続編にするには、余りもブランクが長過ぎる。またスーパーマン誕生から焼き直すには、前作のイメージが強烈に残っているためまだ早過ぎる・・。
 この難しいテーマを克服するためには、かなリのメンバーが集まって、いろいろと討議を重ねたに違いない。従って多少の無理はあるが、本作のようなストーリー展開とせざるを得なかったのだろう。
 つまりスーパーマンが無断で5年間の旅に出ていたこと。前シリーズの続編ではあるが、連続して製作された2作目以降の続きであること。従って不評で連続性の無かった前3作と4作は存在しないことになる。
 なかなか良いアイデアだが、難しい問題があった。前1作と2作は、ある意味ロイスとの恋愛映画であり、5年間もほったらかしにされたロイスの扱いをどうするかだった。
 当然といえば当然で、ロイスは新しい彼と同棲し、子供まで生まれていたのだ。この状況には、さすがにスーパーマンもがっくり。しかし黙って5年間も放浪していたのだから、文句も言えない。
 その落ち込んだ感覚が、本編をやや暗い作品に仕上げてしまったのだろうか。しかしラスト近くになって、スーパーマンがやっと『あること』を知り、感動的シーンへ変換するのだ。そして新シリーズへ突入を示唆して、エンディングとなる。
 う~ん。苦しい部分もあるが、良くここまでまとめたね、とスタッフたちを誉めてあげたい気分で一杯だった。

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 スーパーマン映画を作るのは、非常に難しい。製作費が巨額で、高度の撮影技術を必要とすることはもちろんだが、それだけではなくストーリーの創り込みが難しいのだ。
 TVシリーズのスーパーマンなら、短時間だし、多少陳腐なストーリーでもOKだが、映画の場合はそうはいかない。映画なのでスーパーマンの超アクションを期待するものの、悪人退治のシーンばかりを2時間続けても飽きてしまうだろう。
 ことにスーパーマンは、心身ともに完璧で、およそ地球上には敵がいないことが、一番難しいのだ。旧シリーズの行き詰りも、結局そこにあった。それでいつも彼の敵は、彼の故郷であるクリプトン星に関係しているし、彼の唯一の弱点である『クリプトナイト』も然りである。
 それなら、爆破テロや核実験国を懲らしめてもらいたいのだが、全人類の味方であるスーパーマンを、米国の政治的な意図で働かせるわけにもゆかないだろう。
 また原作が余りにも古過ぎて、現代にマッチしないので、大幅に設定を変えたいところだが、これだけ有名人になってしまうと、それもなかなか難しい。

                Scan10116

      「ケントの絵手紙小屋より抜粋」

  とにかく難しいことだらけだが、唯一他の超人達と異なることがある。スパイダーマンやバットマンなどの超人達は、マスクをつけているのに、スーパーマンは素顔で戦っているということだ。そしてハンサムである。
 これはスーパーマン自身が、恋人を作ることが出来るということだ。そして現実にロイスと恋に落ちる。ここが一番の売りであり、「恋愛映画」と言われる由縁なのである。
 他の超人映画は、超人アクションが中心で、その展開の中で恋愛が介入する。しかしスーパーマン映画は、スーパーマンの恋愛が中心で、その展開の中で超人アクションが介入するのである。
 さてさて、余りの感激に感情的な長文になってしまったが、是非早く次回作を作って欲しい。ロイスの子供とのからみが、非常に楽しみになってきた。
それにしても今回は、クラークケントの出番が少なかったね。それとクラークの正体を、ロイスは知っていたはずだが・・・

エンディングクレジットと同様だが、最後に「クリストファー・リーヴ夫妻に捧ぐ・・・」

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2006年8月26日 (土)

タイムコップ

★★★

 主演がジャン・クロード・ヴァンダムなので、なんとなくひっかかるものがあったが、やはり予感が的中してしまった。
 タイムトラベルものということで、わざわざこの古い作品を借りてきたのだが、SF映画というよりはバリバリの「アクション映画」だったのだ。

タイムコップ DVD タイムコップ

販売元:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
発売日:2006/03/24
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 それはそれでいいとして、タイムトラべル部分の設定がハチャメチャ過ぎるのだ。「エンタメなのだから、そうめくじらを立てずに楽しみなさいよ!」と言われそうだが、それにしても子供でも納得出来ないシーンが多過ぎるね。
 まずあのデロリアンをレールに乗せたような安っぽいタイムマシンが許せない。そしてマシンが過去に到着したとたんに、消えてしまうのは更にチープである。そのうえ現在に戻るのは、リモコンもどきのコントローラーでOKとは・・・それなら最初からコントローラーだけで、過去に行けばいいじゃないか。
 またあれだけ頻繁に過去と現在を行きき出来るなら、何度でもやり直しが出来てキリがなくない?。
 過去を変えると、現在が変わるのはパラレルワールドが発生しているからなのだが、それならそこにはもう1人の自分が存在するはずである。まぁそれを言ってしまうと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を始めとする、多くのタイムトラべルものを否定することになるので、見て見ぬ振りをしよう。
 まぁ細かいことにこだわらず、アクション映画として鑑賞することをお勧めする。

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2006年8月20日 (日)

イエスタデイ・ワンス・モア

 なぜこんな長ったらしく、気取ったタイトルをつけたのか疑問だったのだが、ラストのどんでん返しでその意味が判かった。
 著者の小林信彦氏は、昭和7年生まれだ。そしてこの小説が書かれたのは、平成に入ってからなので、当時著者は50代後半である。それにしてはなかなか『粋なおじさん』だなと、妙に感心してしまった。

Scan10112 ストーリーのほうは、主人公の高校生が、平成初期から昭和34年にタイムスリップし、そこで見よう見真似の『危うい生活』を送るお話が中心となっている。
 そこで未来(現在?)のTVで観た、お笑いギャグを利用して、一躍売れっ子のTV作家になってしてしまうのだ。なかなかひょうきんでユニークな発想じゃないか。
 また古き良き昭和30年代の描写が、なかなか凝りまくっている。当時の著者は、花の20代。たぶんかなり思い入れの強かった時代なのだろう。まるで彼の思い出話を、とくとくと聞いているようで、とても微笑ましい。
 懐かしい東京風景はもちろんだが、主人公の育ての親である、多佳子伯母との再会のくだりが一番印象的だ。ことに若い伯母に迫られるシーンは、複雑な心境になってしまうだろう。自分だったら冷静でいられたかどうだか、余り自信がないね。
 途中までは、浅田次郎の『地下鉄(メトロ)に乗って』を髣髴させる展開であったが、甘く切ない浅田節とは異なって、明かるくバタくさいノスタルジーを感じた。
 ラスト近くになってタイムパトロールが登場するのだが、これが僕には気に入らない。それまで、せっかくノスタルジーの小部屋で甘い気分に浸っていたのに、土足で踏みにじられた感じがした。
Scan10111_1  ところがこの展開は、Part2『ミート・ザ・ビートルズ』への複線だったんだね。
 『ミート・ザ・ビートルズ』では、ビートルズとホテルの一室で、念願の直接会話を果たすのである。そしてそれが、父と母のめぐり逢いの還流となるのだ。
 このPart2は、第一作には及ばないとしても、ことにビートルズファンには、味わい深いストーリー仕掛けとなっているはず。
 薄い本なので、是非2本立て続けに読んでみよう。

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2006年8月19日 (土)

狩人と犬、最後の旅

★★★★

 いゃー凄いね!まいった参りましたよ。あのロッキー山脈の大自然が、超大画面のスクリーンから溢れ出して来るようだったもの。
 年々道路開発が進み、木が切られ、自然が侵されてゆく、そして獲物も減り、狩人も年老いてゆく。「そろそろ潮時なのだろうか・・・」、狩人は悩む。そして大自然の中で、最後の1年間を妻と犬たちと共に過ごすのだ。

     Scan10109

 とにかく大自然は、美しく、恐しく、厳しく、果てしない。
 小さなカヌーで、激流を下る。その水辺では、巨大な熊がサーモンを捕獲しているのだが、狩人は全く意に介せず悠々と通り過ぎてゆく。そして山の麓では、何千頭ものトナカイの群れが、夕焼け空に向かって移動してゆく。
 狐がエサを探して彷徨う。ビーバーが必死になって、巣を作っている。人っ子一人いない山に、狩人1人と愛犬が一匹佇む。今度は前方に巨大な熊が出現する。吠え叫ぶ愛犬を制して、狩人はじっと熊を睨み続ける・・。
 冬はもっともっと厳しい!零下40度以下の寒さに、髭はもちろんのこと、川さえも凍るのだ。そして夜更けに、飢えた狼の群れに遭遇することもある。
 都会生活者の軟弱な自分には、とてもじゃないが1日たりとて、生きてゆけないだろう。この映画の主人公は、本物の狩人だという。それにしても同じ人間でありながら、数十年もこんな生活が出来るものだと、感心し感動せずにはいられない。
 この映画には、特にストーリーがある訳ではない。ロッキーの大自然の中で生活する狩人夫婦と犬達との1年間の生活を描いているだけなのだ。だからといって、ドキュメンタリーでもない。実に不思議な作品である。
 自給自足は当然だが、丸太小屋さえも夫婦二人で作る。もちろん電気や車はない。ローソクと馬、そして冬は犬ゾリで移動するのだ。
 ひと山越えた場所に住んでいる友人に会いに行く。そして狩りをして、ワナを仕掛ける。たまに小さな町に出て、狩った動物の毛皮を売り、自給出来ない生活必需品を買って帰って行く。
 ところで、この映画の中で、狩りをするシーンが少ないのは何故だろうか?もしかすると、動物愛護協会からのクレームを避けたのかもしれないね・・。
 狩りは、おおむね1週間くらいの旅となる。狩人には辛さを超越する自然への愛がある。寡黙だが力強く優しい。まさに男の中の男である。また彼の帰りを静かに待つエスキモー風の妻も、じっと淋しさに堪えているのだ。彼女も素晴らしい。彼女がいるから彼もいるのだ。
 CGもなければ、セットもない、そこにあるのは本物の大自然だけなのだ。これで約100分があっという間に過ぎてゆく。それでいて全く飽きないし、疲れない。

 人間は大自然には勝てない。だが人間達は少しずつ、大自然を蝕んでゆく。道路が出来てダムが造られる。
 そして生態系が破壊され、動物達は絶滅したり異常繁殖する。やがて狩人達も大自然を捨て山を降りてしまうだろう。
 真の狩人は自然と共存している。従って必要以上の獲物は狩らない。そしてそれが、自然界での調整弁的な役割を果たすのである。
 その狩人達も年々減少してゆくのだ。自然に勝てないはずの人間が、やがては自然を破壊するのだろうか。だがそれは人間の勝利ではなく、人間の敗北に繋がるのかもしれない。
 壮大な自然ドラマに、大きな拍子を送りたかった。エンディングクレジットが流れ、大感動の中で心癒されるはずだった。ところが途中で音楽が切れ、黙々とサイレントクレジットが続いたのが解せない・・。最後の最後になって、ちょっと白けてしまったのが、非常に残念で心残りでもある。

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2006年8月16日 (水)

天使

★★★(おまけ)

 「天使」というと・・・、よくアメリカ映画に出てくるよね。珍しい和製ファンタジー作品だが、映画というよりも少女マンガを観ているようだった。男性は優男で、女性は明かるく積極的な女の子、という展開がまさしく『少女マンガ』そのものなのである。

天使 スタンダード・エディション DVD 天使 スタンダード・エディション

販売元:ハピネット・ピクチャーズ
発売日:2006/06/23
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 ある日天使が地上に舞い降りるが、普通の人にはその姿が見えない。彼女の姿を見ることが出来るのは、愛に飢えている人だけ?
 そして天使は、コンビニで働く青年にとりつくのだが、気まぐれ性で、あっちに行ったり、こっちに行ったり・・・
 よく判らなかったのが、料理を作るのが好きな妹と、飲み食い専門の姉の、変な姉妹の存在だ。彼女達には天使は見えないのだが、いやに登場シーンが多かったな。これは、何を意味していのだろうか。
 お話的には、これといって盛り上がる部分もなく、天使は一切しゃべらないので多少退屈かもしれない。
 ただなんといっても、深田恭子のあの純白の天使姿がとても可愛い。それにあの表情!彼女以外にあの天使役をこなせる女優は少ないだろう。そうそれが一番で、それが全ての映画だなんて決して言わないよね

あっそれと、「ジンライム」が飲みたくなる映画なんだ。

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2006年8月15日 (火)

真鶴の魚料理

 やっと台風も過ぎて、今日は曇り空だが、最高のドライブ日和。それで朝早く起きて、3年振りに真鶴まで足を伸ばしてみた。    

 お目当ては、数ヶ月前にTVで紹介された『鯛納屋』の魚料理なのだ。この店は真鶴駅から半島方面に向かって、すぐの二股交差点を右側に入った丘の上にある。またこの店では料理だけではなく、500円で露天風呂に入ることも出来るのだ。

  Img_0435_3    

 真鶴には予定より少し早めに着いてしまったので、魚市場で車を降りて遊覧船に乗ることにした。

  Img_0438_2  Img_0437_1  

 小さな船だが、かなりスピードが出る。半島周辺をぐるりと回って、約30分で戻ってくるのだ。あいにく曇り空で、伊豆半島も初島も見えなかったのが悔しい。・・これで1200円はちょっと高いかな・・。

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 そろそろお腹が空いてきたので、早速『鯛納屋』へ向かったが、お昼時ということでかなり混んでいた。店の中は大広間のようになっていて、広い座敷には2人用のテーブルが10卓ほど並んでいる。
 せっかく来たのだからと、地魚定食と煮魚定食に、それぞれ別注で『伊勢エビ』を加えた。これで二人分合計7600円也!。

      Img_0443_1

 刺身は伊勢エビの他に、アワビ、太刃魚、かわはぎ、アジ、ほうぼう、ウニ、イカなどが舟盛りに盛られていた。煮魚のほうは、定番の金目鯛と、伊勢エビがド~ンと横たわる。
 これらに海鮮サラダ、甘エビ、太刃魚の酢〆、お新香にごはんと、赤だしがついてくるのだから驚きである。それにこの店はもともと魚屋なので、市場直送の新鮮なお魚ばかりで、とても美味しいのだ。

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 さてと、満腹になったところで、次は中川一政美術館へ向かう。ここヘ来るのは2度目だが、前に来たのが5~6年前なので、一つ一つの作品については、綺麗さっぱり忘れていた。

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 中川一政は、岸田劉生に認められ画家を志した。そして誰にも師事せず、一匹狼を貫いた孤高の画家である。そして晩年は真鶴海岸を天然のアトリエにして、毎日毎日同じ風景を描き続けたそうだ。
 半島周辺の風景画と、ひまわりや薔薇の絵が多い。だが私はそれらの絵よりも、『あ・うん』と呼ばれる『妙なタッチの狛犬画』が一番好きだ。
 この美術館の回りには、木々が生え茂り、エントランス前には、樹齢数百年の大木がそびえる。静かで格調高い雰囲気が香る、素晴らしいロケーションだなぁ。

      Img_0458

 そして美術館の隣には、展望公園という美しい公園があり、椰子や蘇鉄の木々が颯爽と植えられていた。

           Photo_17

 木々の隙間から覗く岩場に、波がぶつかって白い渦潮となる。そして左の岸壁からは、真鶴半島の最先端にある三ツ石がうっすらと見えた。
 この公園脇にあるアトリエ風の喫茶店で、ガリガリと氷いちごを食ベながら休憩する。そして最後に真鶴岬へ向かって車を走らせた。

  Img_0468_1

 以前岬に来たときには、長い階段を下って海岸まで降りて行ったものだが、今日はそこまでの元気は湧かない。展望台から、じっくりと海を眺め、潮風のシャワーを浴びて満足することにした。
 そうこうしているうちに、いつの間にやら閉館時間が迫ってくる。なぜか楽しい時は、時間の経つのが早いものなのだ。

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 帰りがけにひもの屋で『アジとカマスの天日干し』を買うことも忘れなかったよ。明日の朝の食卓がとても楽しみである。

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2006年8月13日 (日)

力道山

★★★☆

 G・馬場やA・猪木の名前を知っていても、『力道山』の名前を知っている若者は少ないだろうな。そりゃあそうだ、昭和38年にチンピラに刺されて、死亡しているのだし、最近はプロレスも下火だしね。
 逆に中年以降の人で、この男の名前を知らない日本人はいないだろう。それ程全盛時は人気があった・・というより日本人の英雄だったのだ。
 そしてその英雄が、アメリカの大男達をバッタバッタとなぎ倒す姿を観ようと、新橋駅前広場の街頭テレビ前に、約2万人の人が集まったという。例え日本がサッカーのワールドカップ決勝に進出したとしても、これほどの観衆を1台のテレビの前に集めることは不可能であろう。

力道山 デラックス・コレクターズ・エディション DVD 力道山 デラックス・コレクターズ・エディション

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2006/08/04
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 もちろん娯楽が少なく、「敗戦後の悔しさと貧しさ」という時代背景があったからにほかならないのだが・・。そしてこのプロレスブームこそ、その後の爆発的なテレビの普及に繋がってゆくのである。
 そのプロレス人気とテレビを繋げて、更に電器洗濯機や電器冷蔵庫などの販売アップに成功したのが、かの『三菱電機』なのである。金曜日の8時、日本テレビは、三菱電機を独占スポンサーとしてプロレス中継を何年も続けた。リング上を三菱のクリーナーが、動き回わる光景が目に焼き付いている人も多いだろう。
 さてさて昔話に夢中になって、おじさん度をアピールし過ぎてしまったので、そろそろこの映画のレビューを始めようか。
 この日本人の英雄だった力道山は、実は当時日本人がバカにしていた朝鮮人だったとは、何と皮肉な生業なのだろうか。もちろん当時は、知る人は知るものの、本人はもちろんのこと、マスコミもこの事実には蓋をしたまま、一切語ろうとしなかったようである。
 それでこの映画が日韓合作で、監督が韓国人である理由がわかったと思う。 

 もちろんこの作品は、実話をもとに作られているのだが、個有名詞についてはかなり気をつかっているようだ。二所の関部屋が二所の山部屋、柔道の木村政彦が井村昌彦、新田新作が菅野武雄、東富士が東浪などなどである。
 また前半はかなり丁寧に描かれているのに、後半かなりはしょってしまったのが残念である。まぁ時間制限があるので仕方ないのだが、若手四天王といわれた「G・馬場」「A・猪木」「マンモス・鈴木」「大木金太郎」のうち、韓国人の大木金太郎しか登場しないのはちょいと淋しいね。
 また力道山には元レスラーの百田兄弟をはじめとする数人の子供がいたし、内縁の妻も大勢いたようである。中谷美紀が演じた綾もその一人のようであり、百田兄弟の母であるふみ子とは別人のようだ。
 また亡くなる10カ月前に、スチュワーデスの田中敬子さんと、ど派手な結婚式を挙げたことも全く触れていない。どうも英雄を傷つけないためか、後半の描き方には、かなり苦労のあとが見られるようだ。しかし日本で上映する以上は、事実を隠したり歪めてもらいたくなかったのだが・・。

力道山がいた Book 力道山がいた

著者:村松 友視
販売元:朝日新聞社
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 前述した通り、後半の展開にはかなり不満が多いが、前半の出来は素晴しかった。CGとはいえ、例の新橋駅前広場の街頭テレビ風景には、感動してしまったね。そしてガード下には『クスリのキムラヤ』という看板がちゃんと見えるじゃないか。現在の『カメラのキムラヤ』である。実に正確に再現しているのだ。
 それと風月堂のショーケースが懐かしい!当時は、パン屋もケーキ屋も和菓子屋も、あのL字型のケースに商品を陳列していたことを思い出してしまった。実に芸が細かいのだ。
 とにかく昭和30年前後の正確な東京風景については、『三丁目のタ日』を遥かに凌いでいると思う。それだけに後半のかけ足と、まとめのまずさは非常に残念であった。

 また主演のソル・ギョングについて、レスラーらしき体造りと、日本語の習得には心から拍手を送りたいと思う。

 さて力道山がプロレスラーになるきっかけを作ったのが、武藤敬司が演じた『ハロルド坂田』なのだが、彼が『007シリーズ/ゴールドフィンガー』に出演して好評を得たことは、ご存知であろうか。

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2006年8月10日 (木)

パイレーツ・オブ・カリビアン2

★★★

 新宿ミラノ座の切符売場は、上映30分前から黒山の人だかりだ。そして館内の女性トイレ前も長蛇の列である。米国では記録的な大ヒットだったという。日本でもまた然りであるという感じがした。
 それなのに館内の座席は20%以上の空きがあるのだ。一体この怪物劇場が超満員になる日はあるのだろうか。さすがに日本で最大級の劇場である。
 初回作が、メチャ大人気だったため、とうとうこの作品は、シリーズ化されてしまったようだ。ご存知の通り、ディズニー映画で、ディズニーランドのアトラクション『カリブの海賊』を映画化した作品である。

Scan10108  他人はともかく、僕的には前作は余りスゥイングしない作品だった。それで2作目の本作は、絶対に観ないと心に決めていたのだが・・。
 ところが、余りにも若者達が大騒ぎするので、誓いを破って重い腰を上げてしまった。結論は、「やはり観なければ良かった」・・(汗)である。
 だからといって、決して「駄作」と貶しているわけではない。これだけ世界中で爆発的な人気を得ているわけだから、むしろある意味では、楽しさ満載の『優れもの』なのだろう。

 あとは趣味の問題なんだね。
 そもそも僕は、冒険活劇が好きじゃない。それとドタバタ感覚のお笑いも嫌いなのね。それにあのフジ壷のような幽霊船の船員達やタコヒゲ船長が、グロくて気分が悪くなってしまったのだ。
 お面白かったのは、キングコング島もどきの、人食い人種達から逃げだすシーンと、クラーケンとのバトルシーンだったかな・・。これらは実に楽しく、迫力満点で、ディズニーの真髄ここにあり!だったね。
 反面一番鼻についたのは、宝箱の鍵を巡って、仲間三人で戦うシーンだ。これはかなり長く同じドタバタが続く、しつこくてウンザリしてしまった。
 それと演技力は抜群なのだが、あのジョニー・デップの、オカマ走りにも辟易してしまった。こうしたバカバカしいドタバタアクションが、好きになれない人は、この映画を観ないほうがいいかもしれないね。
 まさにディズニーランドでのアトラクションそのものである。
 またこの作品は、明らかに商業べースだけで、作られている感が否めないね。
 ストーリーはないし、中だるみしていて退屈で退屈で、途中何度か居眠りしそうで、困ってしまったもの。それにこれだけ無意味に長時間引っ張っておきながら、ラストは尻切れトンボで、第3部を観てくださいでは、余りにも商魂逞し過ぎるよね。
 そして長いエンディングクレジットのあとに、何かがあるという噂は聞いていたが、耐えきれずに途中退場してしまった。エンディングクレジットも作品の一部と考える僕にしては、ヒジョーに珍しいことなのである。やはりこの手の映画は、僕には波長が合わないようだ。
 とにかくディズニーランド好きな人、ジョニー・デップやオーランド・ブルーム、そしてキーラ・ナイトレイに夢中な人が観る映画?、というより『アトラクション』なのかもしれない。
 

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2006年8月 6日 (日)

デスノート

★★★★

 原作がコミックということは知っているが、まだそれは読んでいない。映画を観れば判わかるが、原作はあと回しにしたほうが良いだろう。
 そうしないと、ハラハラドキドキはもちろんのこと、綿密に用意されたデスバトルと、どんでん返しの連続技を十分に味わうことが出来ないからだ。それにどうしても映画というツールでは、原作の意図しているところを十分に伝えるほど時間的余裕がとれない。

 また原作にこだわり過ぎると、どうしても映画に対する不満ばかりが口に出る。これが原作ものを映画化する場合の最大の悩みなのだ。だから原作は原作、映画は映画と割り切って観ることが、映画を楽しく平和に観るコツなのである。

Scan10104  さて、ある雨の夜である。大学生の主人公ライトは、死神リュークが落した黒表紙のノートを拾う。そのノー卜に、顔を知っている者の名前を書くと、なんと数分後に名前を書かれた者は、心臓麻痺で死んでしまうのである。
 初めライトは、凶悪犯人や明かに悪人と思われる者だけを抹殺していた。そして世間は、彼を救世主と崇める人と、殺人者と非難する人に別れてしまう。
 やがて彼は調子に乗り続け、日本だけではなく、全世界の悪人達を、自己判断で次々と処刑するようになってしまう。それでとうとう警察が動き出すのだ。
 しかしだんだん警察庁では、手に負えなくなり、国際刑事警察機構は『L』と呼ばれる謎の天才探偵を、警察庁に送り込んでくるのである。
 この『L』の登場から、この作品は大いにマンガチックとなり、主人公の行動もだんだんおかしくなってくる。ついにライトは死神以上の存在にエスカレートし、悪人以外の人々をも殺めるようになってしまうのだ。
 このことをもっても、また『L』の不気味な容貌、そして犯人さえ捕まえれば何をしても良い、という過激でしつこい追撃をみるにつけ、実は『L』こそ最凶の悪人ではないのかと、思わず力まずにはいられない。

Scan10105_1  さてここでひとつ問題を出そう。
「警察が逮捕出来ない犯人や、裁判で無罪となった極悪人を、勝手に殺しても良いか?」いわゆる『必殺仕置人』は賛成か?である。
 当然今の法律では許されないことは誰でも周知のことだが、法的な問題ではなく、心理的或いは道義的にはどうであろうか?
 神なら良いが、人間がそれをしてはならないと答える人もいるかもしれない。では法的に裁かれれば、死刑は許されるのか。これも人が人を殺すことに変わりがない。大勢の人が決めたルールに従えば問題ないというのだろうか。

 1人の判断だと殺人だが、大勢の判断なら正当な処刑になるのだろうか。また神であれば、善悪の区別に誤りがないからOKだというのか。
 だからといって、99%極悪人だが、証拠不十分で裁けない者を捨て置けば、さらに大きな被害を生む可能性が高い。
 またある意味、現代の法律は、性善説的であり、裁くことより更生させることに主眼を置いている。もちろんりっぱに社会復帰する人もいるが、変質者や精神異常者、そして極悪犯罪者たちに限れば、野にライオンを放つようなものだ。
 「う~ん難しい問題ですね」と逃げるのは簡単だが、私はあえてこれらのどうしようもない極悪人達には、天誅が下されてもよいのでは、・・と答えたい派である。但しあくまでも厳しい条件付きだがね。
 このブログを読まれている皆さんは、どうお考えでしょうか?ぜひともコメントいただきたいものです。
 本作は前編ということで、近々後編が上映されるそうだ。いまコミックを観たくてウズウズしているが、後編を観終わるまでは我慢しようと思っている。ラストの展開を大いに期待したいね。

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2006年8月 5日 (土)

時をかける少女

★★★★☆

 かなり昔に筒井康隆の原作と、原田知世の映画を観たが、女子高生がタイムスリップするということ以外は、綺麗さっぱり忘れてしまったようだ。原作の発表が1967年頃だから、もちろんケータイなんてないし、女子高生もあんな超ミ二スカをはいているわけがない。

Tokikake_5  始め原作を現代版にアレンジし直して、ついでに内容も大幅リメイクしたのだろう。・・・と思ったのだが、実は原作から約20年後を舞台にして、ヒロインを原作の主人公の姪という設定にしているらしい。しかもアニメである。結果的にはこれが大成功の原因かもしれないね。わずか250席程度のテアトル新宿だが、整理券を発行するほど超満員で、「映画でこんなの初めてだわ」と若い女性たちも興奮ぎみだった。
 現在ネットでも断突の高評価を得ているが、なにせ上映館が少な過ぎるし、東京ではここだけの単館上映なのだ。たぶんこの調子なら、劇場を変えて再上映ということになるかもしれないね。
 さて映画の中味のほうだが、これも評判通り上出来である。まるで写真のように精密に描き込まれた背景に、ひょろろ~んとして鼻のない柔らかいキャラがよく似合っていた。
 ストーリーは、明かるく活発な女子高生が、理科室で偶然拾った『あるもの』によってタイムスリップ能力を身につけてしまう~という学園SFファンタジー仕立てである。
 ただタイムスリップといっても、過去の自分に会うわけではなく、どちらかというと『リプレイ』するという感じだ。

Tokikake2  なかなか味い深い展開であり、アニメとは思えないきめ細やかな感情描写に、思わず誰もがスクりーンの中にのめり込んでしまうことだろう。そしておっちょこちょいで男まさリだが、明かるく爽やかなヒロインが、とても上手に描かれている。
 笑いあり、涙ありの甘酸っぱく、ちょぴり切ないが、とても心地良いファンタジック・ラブストーリーであった。
 アニメに偏見を持っている人がいたら、是非この作品を観て欲しいな。そして日本アニメの真価を再認識してもらいたい。
 あのスクリーン一杯に埋めつくされた「ブルーの空と白く青味がかった入道雲」、そしてその空間を跳ぶヒロインの姿が実に美しい。まさしく青春まっただ中。これぞジャパニーズアニメの真髄といえよう。

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2006年8月 2日 (水)

サマー/タイム/トラべラー

 スラッシュが2つも入るタイトルなんて、そうザラにあるものじゃない。おかげでファィル名には使えないじゃないの。
 それにしてもこの作品は本当に小説なの?少なくとも前半はどちらかというと、小説仕立ての『時間テ一マSF論』という感がしないでもない。

サマー/タイム/トラベラー (1)  ハヤカワ文庫 JA (745) Book サマー/タイム/トラベラー (1) ハヤカワ文庫 JA (745)

著者:新城 カズマ
販売元:早川書房
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 主な登場人物は、タイムトラべルが出来る悠有を除けば、老成したような高校生ばかりであり、しきりにウンチクをひけらかす。ことにSF作家の名前や作品名がポンポン飛びだすので、SFオタクには嬉し懐かしだが、そうでない人には耐えられないだろう。
 それにストーリー展開が、えらくまどろっこしいと言うか、回りくどい。まるでヒグマが潜んでいるブナの林を、振り向きもせず、鼻唄まじりでのんびりと歩いているようだ。
 それに『プロジェクト』などと気取っているが、単なる『SF同好会』じゃないか。ストーリーのほうも前半は、この同好会でのウンチク大会に終始し過ぎて退屈で死にそうだった。

サマー/タイム/トラベラー2 Book サマー/タイム/トラベラー2

著者:新城 カズマ
販売元:早川書房
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 それにこの物語にある地名は、全てが架空のものだというのに、もっともらしい地図を何枚も掲載する必然性がみえてこないのだ。いい加減にして欲しい。もう少し上手にまとめれば、わざわざ2冊にすることもなく、充分1冊に納まる内容である。
 ・・と文句ばかり言いたくなる作品だが、後半になって急遽『学園ドラマ』から、『ミステリー小説』へ脱皮し、ラストに至っては、まるで悠有のタイムトラべルの如く、猛烈な勢いで末来を通り抜けてしまうのだ。
 しかしエンジンがかかるのが余りにも遅過ぎるよ。読み辛い文章と、退屈なストーリーで、ここまで無理やり引っ張っておきながら、今度はあっという間に終ってしまうしね。

 読了後の満足感もなければ、感動する場面もない。そして著者が『夏への扉』と『ジェニーの肖像』の大ファンであるという確証だけが残った。

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