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2006年6月15日 (木)

鉛温泉

 新花巻温泉の一番奥にある古い湯治場である。自炊部から入館し、帳場で料金を払って名物「白猿の湯」に向かう。地下一階と一階が吹き抜けになっている天井の高い風呂場であった。
 湯船は楕円形で中くらいの大きさ、湯船の中央は1.5メートルとかなり深い。おばあちゃんや子供は背が立たないだろう。それで女性たちは、風呂の縁に手をついて、背を向けた格好で入湯している。

1202077_img   入口は二つあり、階段を降りきったところに脱衣所があり、以前は湯船から丸見えであったが、最近つい立が出来た。当然混浴であるそれでも意外と女性が次から次へと入ってくる。

 建物は古い病院のような感じで、風呂や売店などを挟んで二つの廊下が平行している造りで、なかなか古の趣がある。大正から昭和初期の時代にタイムスリップした感があった。
 

 体の芯まで温まった鉛の湯は、いくら体を拭いても汗が滴り落ちる。短パンにランニングシャツ一枚の格好で旅館の裏手に出た。豊沢川がゆったりと流れる。
  このあたりは浅瀬が多い。河の中央でも膝あたりの深さだ。また川の所々に石が見える。そして川の流れがそれにぶつかり白い飛沫が踊っている。
 川の中には釣り人が3、4人長い竿から釣り糸を垂れている。橋の欄干には数匹のトンボがじっと佇んで川の流れを見とれているかのようだ。空にはトンビが気持ちよさそうに、ふんわりふんわりと宇宙遊泳だ。やっと汗も引いてきたな。

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