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2006年6月の記事

2006年6月29日 (木)

ウルトラバイオレット

★★★

 何やら新種のアメリカンコミックみたいだね。刀とマシンガンを手に、『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチが、1人未来社会で大暴れなのだ。
 ビルの壁面をバイクで突走ったり、弾よりも速く動いて、数10人の敵を一瞬に倒したりと、そりゃあもう嘘のようなウルトラアクションシーン満載とくりゃあ。

Scan10078  なんだか、『ブレード』、『マトリックス』、『スターウォーズ』、『キル・ビル』をごちゃまぜにしたようなSFアクション映画だったな・・。
 しかし敵の子供を助けるために、命をかけてハチャメチャ大活劇する理由は一体何なのだ?
 たぶん過去に主人公の胎児が、殺されたことが、トラウマになっていて、あの箱を開けた瞬間に、母心スイッチが激ONしたのだろう。
 それにしても、演技している人以外は、ほとんどCGという、まるでゲームのような映画だったな。そして辻褄の合わないストーリー展開。こういうのが、一番評価し難いんだよね。それにこういう映画は、最近食傷気味だしね、困った困った実に困った。
 とくに心打たれた訳じゃないけれど、平日にも拘わらず、映画館が満員だったことと、ミラ・ジョヴォヴィッチのハイスピードアクションに免じて、えいっ!大おまけだ!もってけドロボー。
 あっそれと余計なことかもしれないけど、敵のボス役の人、それとなくブッシュ大統領に似ていると思わない?

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2006年6月25日 (日)

異邦人 fusion

 いゃ~驚きましたよ。なんと面白い小説なのでしょうか。朝の通勤時に読み始めて、帰りの電車では一気に読了してしまいました。
 西澤さんの本は、『七回死んだ男』以来ですが、どうやら「SFミステリー」というジャンルを確立しそうな勢いを感じましたね。
 さてストーリーをかいつまんでご紹介しましようか。
 主人公の永広影二は、東京の大学で助教授をしていて、郷里に帰るため羽田から飛行機に乗ります。

異邦人―fusion Book 異邦人―fusion

著者:西澤 保彦
販売元:集英社
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 搭乗前に空港から、実家にいる姉の美保に電話を入れると、『月鎮季里子』の小説を買って欲しいと頼まれるのでした。月鎮季里子とは、昔の姉の恋人であり、現在は東京で小説家になっているというのです。
 そう、姉はレズビアンだったのです。そして季里子とかけ落ちする予定が、父の急死によって中止になり、意に反して家業の食堂を継ぐことになってしまったのであります。
 「父の死」、それは23年前に郷里の砂浜で起きた殺人事件であり、今だに犯人が捕まっていない謎の事件でした。
 もしこの父の死がなければ、姉も無理に養子をとって家業を継ぐ必要もなく、東京で季里子と幸福に暮らしていたと思います。それは全て、弟の影二を大学に入れるための自己犠牲だったのですから。
 そうしたやり切れない思いが、たえず影二を悩ましていたようです。この日は珍しく昔姉が編んだセーターと、やはり姉にもらった腕時計を身につけていたのです。

 そして郷里の空港へ着陸したとたんに、影二は23年前の世界へタイムスリップしてしまうのでした。
 ここで偶然、まだ14才だった天才少女月鎮季里子に出会い、3日後に起こるであろう、父の死を阻止することを決心するのです。

 ・・・とまあこんな感じでお話は、進んでゆくのですが、タイムトラべルやそのために引き起こされる「タイムパラドックス」についても、これでもかとばかり丁寧に解説されていました。
 ところで、新貨幣やクレジットカードなどが、過去に持っていけないのですが、手帳やボールペンは持っていけるものの、他人に渡すと消えてしまう。などなど、余り理論的ではない設定が気になりましたが、アイデアとしては面白かったと思います。もちろん作者も、このあたりは熟知していて、クドクドと言い訳がましい文章が繰り返されていましたね。
 なぜそうした設定にしたのか・・、例えば未来の品物を持ち込むことによって、歴史を歪めないためだとしたら、なぜ影二自身がタイムスリップ出来たのか?その疑問については、作者が先回りして言い訳をしていましたが、なにかすっきりしなかったことは 否めません。
 それはそれとして、前半のノスタルジックな描写と、終盤の犯人探しに加えて父親が助かるのかどうか~、の展開はハラハラドキドキで、ミステリー作家の面目躍如といったところでしょうか。
 ただハッピーな終わり方は良いとしても、あまりにもご都合主義過ぎる結未は、この作品の価値を少し下げてしまったような気がしてなりません。もし終わり方さえもっと上手にまとめていたら、広瀬正の『マイナス・ゼロ』に並ぶ名作に仕上がったのではと、余計に残念で堪りません。

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2006年6月24日 (土)

不撓不屈

★★★★

 いゃあ熱い!実に熱い作品だった。この物語は、TKCの創設者飯塚毅氏の若かりし日の記録である。
 TKCといえば東証一部上場会社であり、全国税理士事務所のコンピューターシステムを束ねている会社なのだ。これほど大きな仕事を成し得た税理士は、少なくとも日本では飯塚氏をおいて存在しないだろう。

Scan10077  この映画は、彼がまだTKCを設立する前、一介の税理士時代に、国税局を相手どって戦った話が中心になっている。それは年配の職業会計人なら誰でも知っている、あの『飯塚事件』の全貌なのだった。
 この事件についての詳細は省略するが、当時『決算未払賞与』が脱税なのか、節税なのかを国税局と裁判で争ったことが発端となり、国税側よりかなり卑劣なイヤガラセを受けている。
 この事件の終結には、なんと7年もかかり、その間に飯塚事務所は多くの顧問先を失い、職員4名が逮捕までされている。結局最後まで、正義感と不撓不屈の精神を捨てなかった飯塚氏の勝訴となるのだが、彼は国に損害賠償請求をしなかったという。
 損害賠償請求訴訟という後向きの道を切り捨てた飯塚氏は、ドイツ税法を学び、コンピューター時代を予見し、TKC立ち上げに奔走する前向きの道を選択したのだ。
 それにしてもど偉い男だ!。私も独身時代は職業会計人をめざし、税理士事務所に籍をおいていたので、飯塚氏の生き様にはかなり共感できるのである。
 公認会計士は、大企業の会計処理などを監査することが主な仕事であるが、税理士は税務書類や会計帳簿の作成が主たる業務である。
 また多くの大企業には、優秀な経理マンがいるので、税務書類の作成等は自社で行っている。そして国税局との政治的な交渉役としては、特例試験で税理士資格を得た国税OBが顧問税理士として関与しているのだ。
 従って難しい試験を受けて税理士となった民間出身の税理士は、零細・中小企業を顧問先に選ぶより術がないわけである。また当局との交渉についても、当局とのコネがないため法律の解釈論で、まっとうに戦うしかない。
 民間出身の飯塚氏も、まっとうに戦い、国税局の調査官を打ち負かしてしまった。だが、その後その調査官が出世し、過去に恥をかかされた恨みを報復することになってしまうのだ。そしてそのことが、『飯塚事件』を複雑にかつ泥沼化させてしまったのである。

不撓不屈〈上〉 Book 不撓不屈〈上〉

著者:高杉 良
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 これはよくあるドラマではない。 実際にあった話なのである。
 今でこそ税務署や国税局の対応は丁重であるが、昔はいろいろと問題があったようだ。それは現在でも公然と賄賂が横行している低開発国の役人たちの現状をみれば納得出来よう。
 さて飯塚毅氏には2回お目にかかったことがあるが、彼のパワーと正義感と勉強熱心さは脱帽するばかりである。
 1度目は彼がTKCを立ち上げた頃、私が所属する事務所でも、TKCの端末機導入の話があり、彼の説明会を聞きに行ったのである。
 そこで彼がコンピューター会計導入のため必要となる『コード付勘定科目ゴム印』について、次のように語ったのを今でも鮮明に覚えている。
 「コンピューター会計を導入すると、『コード付勘定科目ゴム印セット』の購入が、顧問先の新たな負担になってしまいます。それでは零細企業の顧問先に申し訳ない。」
 「それで自らハンコ屋と交渉し、もし通常の半値で納入してくれなければ、自分がハンコ屋を開業する!」

 「いずれTKCが全国規模になり、ものすごい数の科目印セットが必要になるが、そのときに後悔するよ!そう言ったら、ハンコ屋が半額に値引きしてくれました。」
 「もちろんTKCではその分を決してピンハネしません。だから、顧問先には最小限の負担で利用していただけるのです。」
 ・・・と言うのだ。このときの彼のパワーと自信に満ち溢れた言葉には返す言葉もなく、ただただ凄い人だ!と感じるばかりだった。

Scan10031  2度目に飯塚氏に会ったのは、彼が70才をかなり過ぎたころだと思う。日本生産性本部で行われた原価計算のセミナーに、なんと彼が部下と一緒に聴講生として参加しているではないか。
 その頃の彼は、公認会計士の資格も得、TKCの総帥でもあったはずである。それにしても彼の勉強熱心さには驚いたものだ。
 彼は大正8年に栃木県で生まれ、2年前に鬼籍に入っている。彼のような男なら、税理士に限らず何をやっても成功したであろう。
 それにしても、大正時代に生まれた人々には、素晴らしい男たちが多い。時代背景もあるが、今後はこうした傑出した男たちの登場はほとんどあり得ないだろうね。淋しい限りである・・・。
 ただ映画の中で、ちょっと腑に落ちなかったのは、弟子4人の逮捕後に飯塚氏が、ホテルに雲隠れしたことだ。あれほど自分にはやましい事はないと貫き通していたのに、なぜ逃げ隠れしたのだろうか。それから出所後の弟子4人の集団退職についても、納得出来る説明がなかった。
 滝田栄が演ずる『飯塚毅』は、誠実で正義感の塊のような人物であったが、あれだけの仕事を成し得た人だ、実際にはもっとドロドロした、したたかさをも併せ持っていたのかもしれないね。

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2006年6月23日 (金)

カーテンコール

★★★☆

 若い頃は良く歌舞伎町で遊んだものだ。

 この街には映画館や酒場はもちろんのこと、ゴーゴークラブやダンスパブ、ゲームセンター、トルコにキャバレー、のぞきやストリップ小屋などが立ち並んでいた。果ては赤線崩れの立ちんぼに、ポン引き達の群れ、そして深夜喫茶に同伴喫茶と、まるで不夜城のような怪しい街だった。

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 もちろん今でも同じ様な店が立ち並び、相変わらず悪の盛り場といったイメージは残っている。それでも僕は最近の歌舞伎町という街は、好きになれないし、懐かしさも感じないのはどうしてだろうか・・・。
 そんなことを考えながら、東急の株主優待券を消化するために、歌舞伎町の『シネマミラノ』という古ぼけた映画館に向かった。
 これから観る映画は、『カーテン・コール』という邦画で、昭和30年代の下関にあった映画館で働く人々を描いた、まるでこの映画館のようなお話である。
 丁度一週間前に観た『三丁目のタ日』が、やはり昭和30年代のほのぼのとした世界を描き、現在大ヒットを続けているので、同じような作品なのかと想像していたが、全く違う映画であった。
 ところがこの映画、昭和30年代を懐かしむということや、スケールの大きさでは、『三丁目のタ日』には遠く及ばないものの、別の意味での味の良さと感動があった。
 この作品では、現代の編集者が、田舎の古ぼけた二流映画館で、昭和30年代に、二本立ての幕間に、『ものまね等』をしていた男とその家族を取材するために追いかける・・・というストーリー立てだ。

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 初め字幕にハングルが出てくるのが意味不明でうざったかったのだが、中盤以降にその意味が判ってくる。 この映画は、夫婦の愛、父娘の愛、人間への愛、そして映画への愛が強く感じられた。たぶん『和風ニューシネマパラダイス』を意識して作ったのであろう。
 ただ何故あれ程拒んでいた父親と再会することになったのかの説明がなかったり、あっさりし過ぎたラストシーンにもややもの足りなかったが、所々ではよく泣かされた映画だった。
 最後に一言、この映画は相対的には素晴しい作品であるが、「在日韓国人」というテーマと「映画館」という脈絡のないテーマを、無理やり接着したようで、ストーリーの流れに一貫性を感じ得なかったことがちょっと残念であった。

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2006年6月18日 (日)

空中庭園

★★★

 好みの別れる作品かもしれない。角田光代さんの原作は読んでいないが、映画のほうは、家族の日常を非日常的なドタバタ味に演出し過ぎている感がある。
 パパと恋人達はノーテンキで、まるでマンガそのものだし、娘の行動は不可解でまるで心がない。

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 舞台に選ばれた場所は、多摩ニュータウンの外れであり、私の家からもそう遠くはないのだ。たしか国道16号沿いで、『ホテル野猿』という看板も見た事があるな・・。
 少女時代にひきこもりだった、小泉今日子扮するママ。学生時代に母親が担任にグチった「衝撃の言葉」を聞いてしまい、それがトラウマとなり、明かるく隠し事のない家庭を夢見るのである。
 かくしてママは、般若の素顔を、おかめのお面で隠して「思い込み人生」を歩み続けるんだね。喫茶店での心象風景や、コンビニで振返った表情に、それが如実に表われていた。ただラストの「血雨」は過剰表現というか、意味不明で余りいただけないね。

 それからさ、病院やバスの中でも、処かまわずタバコを吸う、極道のような祖母を演じた大楠道代は流石のサの字だったな。とどのつまり、キョンキョンと大楠の二人の物語だもんね。
 

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2006年6月17日 (土)

あしたはきっと・・・

★★★
 今時の高校生は、女子のほうから男子に「告白」するのかねぇ~。騒がしい女子四人組と、田舎の町がなんとなくアンバランスな感じだ。
 空手部の先輩に恋心を告白する主人公の吹石一恵。その瞬間に振られてしまい、失意のどん底へ。
 そのときブドウ畑で不思議な少女と出会うと、次の日には、また前日に逆戻り。再度告白方法を変えてチャレンジする。さてさてこの恋は成就するのか・・・

Ashita_1  まるでビル・マーレイとアンディー・マクドウェルの『恋はデジャヴ』のようだ。だが残念ながら、完成度は『恋はデジャヴ』には、遠く及ばなかった。
 まず音楽がマッチしていないし、時間が戻るシーンにドキドキ・ワクワク感がないのだ。本来なら★★☆程度なのだが、自分の大好きなテーマなので、ついつい甘い点数になってしまった。
 ただ喜怒哀楽を上手に眼で演技していた吹石一恵と、サバサバとした先輩役の沢木哲には好感を持てるだろう。
 またブドウ畑の不思議な少女については、すぐに正体が判ってしまったが、それでもラストの写真にはホロリとしてしまった。

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ブルータワー

 直木賞作家である著者が、満を持してSFに初挑戦した大作である。本作を書くにあたって、著者は「現在日本の出版界は社会的リアリズム全盛で、SFやファンタジーなど想像力に傾斜した小説は商売にならないといわれている。天邪鬼なぼくは、今こそファンタジーを始める時期だと思う」と語ったそうだ。
 SFファンにとっては非常に嬉しく、心強い言葉である。そしてかつてのようにSFブームを巻き起こしてもらいたいと願う。

ブルータワー Book ブルータワー

著者:石田 衣良
販売元:徳間書店
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 さてこのように期待は大きく膨らんだのだが、残念ながら従来のSFの殻を打ち破るほどの大殊勲はあげられなかった。
 ストーリーは、脳腫瘍を病む主人公瀬野周司が、その激しい痛みとともに200年後の世界へ「精神だけ」タイムスリップする。その未来は暗く、黄魔と呼ばれる生物兵器に汚染されていた。人々はその黄魔から身を守るため、2Kmの巨大なタワーを作り、その中でヒエラルキー社会を構築しているのだった。そうしたタワーのひとつで旧新宿にそびえるのが、『ブルータワー』(青の塔)なのである。
 瀬野周司の精神が移転する体は、そのタワーの最上階近くに住み、ブルータワーの特権階級での一人セノ・シューであった。彼は正義感に燃え、黄魔から世界を救おうと、未来と現代を何度も往復するのである。
 ここまで話せば、映画ファンならなんとなく『マトリックス』や『バイオハザード』等を組み合わせたような臭いを感じるであろう。もう少しオリジナリティーが欲しかったね。
 またハッピーな結末は良いのだが、あの親切過ぎるエピローグは、不要だったのではないだろうか
 だからと言って決して駄作ではないし、つまらない作品ではない。余りにも期待を膨らませ過ぎた裏返しなのだろう。著者の次回SF作品に期待したいところだ。
 ところで映画化すればヒットしそうだが、大人の視覚に耐えられる作品に仕上げるには、莫大な製作費が必要となるので、日本だけの配給では難しいだろうね。 

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2006年6月15日 (木)

鉛温泉

 新花巻温泉の一番奥にある古い湯治場である。自炊部から入館し、帳場で料金を払って名物「白猿の湯」に向かう。地下一階と一階が吹き抜けになっている天井の高い風呂場であった。
 湯船は楕円形で中くらいの大きさ、湯船の中央は1.5メートルとかなり深い。おばあちゃんや子供は背が立たないだろう。それで女性たちは、風呂の縁に手をついて、背を向けた格好で入湯している。

1202077_img   入口は二つあり、階段を降りきったところに脱衣所があり、以前は湯船から丸見えであったが、最近つい立が出来た。当然混浴であるそれでも意外と女性が次から次へと入ってくる。

 建物は古い病院のような感じで、風呂や売店などを挟んで二つの廊下が平行している造りで、なかなか古の趣がある。大正から昭和初期の時代にタイムスリップした感があった。
 

 体の芯まで温まった鉛の湯は、いくら体を拭いても汗が滴り落ちる。短パンにランニングシャツ一枚の格好で旅館の裏手に出た。豊沢川がゆったりと流れる。
  このあたりは浅瀬が多い。河の中央でも膝あたりの深さだ。また川の所々に石が見える。そして川の流れがそれにぶつかり白い飛沫が踊っている。
 川の中には釣り人が3、4人長い竿から釣り糸を垂れている。橋の欄干には数匹のトンボがじっと佇んで川の流れを見とれているかのようだ。空にはトンビが気持ちよさそうに、ふんわりふんわりと宇宙遊泳だ。やっと汗も引いてきたな。

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2006年6月13日 (火)

名残りの雪

 短編ではあるが、いつまでも心に残る味わい深い作品であった。主人公の伊藤は、昭和の時代から幕末へとタイムスリップし、そこで新選組の隊員として働くことになる。そしてまた現代に戻って守衛の仕事をするのだが・・。

NHK少年ドラマシリーズ 幕末未来人 I DVD NHK少年ドラマシリーズ 幕末未来人 I

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2001/08/24
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 これだけでは、よくあるドタバタSFと変わらないのだが、この作品はラストの落とし方がすごいのである。それを明かすとネタバレになるのでやめておくが、つまり「逆転の発想」とでも言っておこうか。
 かって『幕末未来人』というタイトルで、NHKでドラマ化されている。DVD化されたので、出来れば近いうちに観たいと思う。

  なおこの作品は、眉村卓の短編集『思いあがりの夏』または『虹の裏側』に収録されている。

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2006年6月11日 (日)

最終兵器彼女

 タイトルからしても、仰々しくとてもユニークである。しかし本当に彼女がとてつもない最終兵器なのだから仕方ない。ところでどうして彼女「ちせ」が、最終兵器となったのか?

            Scan10061_1   

 彼女はサイボーグなのか?宇宙人なのか?敵とは一体何物なのか?国連軍はどうして力がないのか?そんな謎は一切明かされないどころか、話にさえ出てこないのが不思議というか、不自然で不親切ある。
 この作者の絵は、線が異常に細く、ラフ画のようなタッチなので、非常に見難いのだが、この独特なしんみりとした画風が、どことなく味わい深い感もある。ただシリアスな絵とギャグぽい絵が、煩雑に入れ替わるのが、かなりうざったい!。

           Scan10062

 背景は『エヴンゲリオン』と似ている部分もあるが、この作品は「恋愛」に特化しているので、「戦い」そのものに期待してはいけない。
 最近映画化されたようだが、あっという間に終了してしまい、もうすぐDVDが発売されるという。・・どうも最近、安易にコミックが映画化されている傾向だが、ほとんどの作品が評判悪いねぇ。まだ観ていないが、本作の映画もそのようだね。

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2006年6月10日 (土)

GOAL(ゴール)

★★★★☆

 こりゃあ凄いよ、誰が何と言おうが本当に素晴しい映画だ!久し振りにほゞ満点をつけられる作品に出会えて、嬉しくて嬉しくてしょうがない。

Scan10075  イギリスでは、サッカーのことを「フットボール」と呼ぶということを初めて知った。・・・というほどサッカー音痴の私が観ても、これほど感動しているのだから、サッカー好きなら、死ぬほど感動するかもしれないね。
 主人公のサンティアゴはメキシコからアメリカへ移民した貧しい家族の長男である。彼は幼い頃からサッカー好きで、成人しても町の「草サッカー」ではスタープレーヤーであった。
 ある日偶然に、元サッカー選手でス力ウトマンだった男に見染められ、イギリスへ来るように誘われる。しかしそんな夢みたいな話を、堅実で頑固な父親は認めてくれない。傷心の彼だったが、優しい祖母の力添えでやっとイギリスに渡ることが出来るのだ。
 しかし父の言った通りプロのサッカーは、生易しいものではなかった。彼は何度か挫折しながらも、いろいろな人に助けられ成長してゆく。
 周囲に支援してくれる人がいるということは、大変ありがたいことだ。それこそは人間が持てる最高の財産ではなかろうか。
 この映画でも、祖母、元スカウトマン、監督、友人、恋人と主人公を助けてくれる人が数多く登場する。それも彼が家族を大切にし、決して他人を裏切らない誠実な心を持ち続けていたからであろう。

Scan10076  ことにスポーツで成功し、有名になり金持ちになるに伴い、その周囲にいろいろ怪しげな男女が集まり、食い物にされたり、誘惑されたりするはずである。それに流されてしまうか、自分を律し切れるかで、超一流への道が分岐するのだ。
 何度も涙を流さずにはいられない作品だったが、ことにラストシーンでは一度に2つの感動を味ってしまった。
 いわゆるサッカー版のサクセスストーリーで、アメリカンドリームな映画なのである。だがこういう話には、必ずケチをつける輩がいる。もちろんそうした人には勧めないし、観て欲しくもない。
 少なくとも私は、親の金や七光でその地位を獲得した人を、称えることはしない。たとえ貧しくとも、前向きに一生懸命努力する誠実な人が好きだし、そうした人たちが報われる世界を望んでやまないのだ。そして全世界にそんなフェアな日々が訪れることこそ、真のゴールなのではないだろうか。

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2006年6月 6日 (火)

君がいる風景

 初め、平谷美樹(ひらたに・みき)と読んでしまった。まぎらわしい名前だが、著者の名は「ひらや・よしき」と読み、紛れもなき男性だそうだ。彼は2000年に、『エリエリ』で第1回小松左京賞を受賞した期待のSF作家である。

Scan10074  さて簡単にストーリーを教えると、25才の医師である主人公が、中学時代に淡い恋心を抱いていた美鈴ちゃんを助けに、10年前にタイムスリップするお話である。そう!とっても可愛かった美鈴ちゃんは、中学3年生のときに、「ある事故」に遭って若き命を失ってしまったのだ。
 ところが、せっかくタイムスリップに成功したのに、ほとんど過去の記憶を失ってしまった主人公。さて一体どうやって美鈴ちゃんを救うのか。ペペンペンペン!
 タイムスリップする中学校は東北にあり、ラストのクライマックスは三陸海岸の近くである。なぜこの場所を舞台に選んだのか、もちろん著者の居住地ということもあるが、実は昔のニュースを調べれば判るのだが・・・いやネタバレになるのでここでは秘密にしておこう。
 この作品はジュヴナイルSFであり、中学生や高校生を対象として書かれているようだ。従って清純で素直で嫌味がないし、ラストは皆んな幸せになる。
 それが大人にはやや物足りないかもしれないが、甘酸っぱさに、ハラハラ風味をブレンドした青春ドリンクもたまには良いだろう。

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2006年6月 4日 (日)

花よりもなほ

★★★☆

 新感覚の時代劇かもしれない。ことに主人公青木宗左衛門が、剣術師範の長男でありながら『喧嘩に弱い』というところが変わっている。
 逆に彼が弱いということの「裏の意味」を、きっちり理解しないと、バカバカしい期待外れの作品で終ってしまう可能性もあるのだ。そんな紙一重の作品に、あえてチャレンジした是枝裕和監督の心意気を評価したい

Scan10071  もちろん結果しては成功したと信ずるが・・これは強いのか弱いのか、はっきりしない宗左衛門役を見事に演じ切った岡田准一の大手柄であろう。またヒロインの宮沢りえは、いつも通りの「凛とした美女役」で変わり映えはしなかったものの、「はきだめに鶴」というイメージは、十分に印象深かった。そして奇妙で個性的な長屋の住人たちと、ケチな大家のとり合わせもこの作品の調味料として、なかなか良い味を出していたと思う。
 途中の展開が長く、一体どのような終り方をして「仇討ち」を締めくくるのかと気にしながら観ていたが、なるほど!と膝を叩く感じでぴたりと結んでくれたので、思わずホットしてしまった。
 この作品のテーマは「仇討ち」であるが、決して仇討ちを肯定していない。仇を討てばお家再興となり、自分も故郷に錦を飾れる。しかしそれは役に立たなくなった虚構の武士道を守るシステムに過ぎないのだ。
Scan10070  そして仇はまた仇を呼び、新たな不幸が生まれるだけである。主人公はそれが判っているから、早くから仇の所在を知りながらも、なかなか仇討ちする気になれないのだった。
 元禄の頃に「武士道」などと、真面目に武士を続けていたのは、たぶん田舎侍だけで、花のお江戸では金と自由への憧れが最優先だったのではないだろうか。その面で、石橋蓮司が演じた宗左衛門の叔父は、なかなかさばけていて面白い人物だったな。
 そしてこれでもかとばかりに、『忠臣蔵』のパロディーまで挿入している。そこにこの監督の武士道と仇討ちに対する、反感と気合を感じてしまったのう。

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2006年6月 3日 (土)

タイムトラべル・ロマンス

  なんとロマンチックで幻想的なタイトルなのでしょう。そのうえサブタイトルは「時空をかける恋物語への招待」ですから、梶尾真治ファンならずとも、喉から手が出るほど欲しくなる本ではないでしょうか。

タイムトラベル・ロマンス-時空をかける恋 物語への招待 Book タイムトラベル・ロマンス-時空をかける恋 物語への招待

著者:梶尾 真治
販売元:平凡社
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 ところでこの本は小説ではないので、お間違えなきよう願います。だからと言ってSF論というほど振りかざしてはいませんし、SF入門というのか、SF小説とSF映画の紹介を通してSFを語る本とでも言うのでしょうかね。
 もちろんSFですから、タイトルのタイムトラべルだけではなく、ロボットやエイリアンの話も出てきますよ。でも半分以上はタイムトラべルについて語っていますから、どうぞタイムトラベルファンの方々もご安心ください。
 ハードカバーではありますが、わずか157頁の小さめの本なので、通勤時の行き帰りで、あっという間に読み終わってしまうでしょう。
 著者の梶尾真治はあとがきで、この本を『SFへのラブレター』かもしれないと語っていましたが、まさに彼のSFへの大いなる愛情を感じた1冊でありました。

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