美亜へ贈る真珠
梶尾真治の短編はかなり好評である。ただ彼の書く短編には、二通りの風味がある。一つは筒井康隆流のドタバタ味、いま一つは叙情詩のようなリリカル味だ。僕の好みは、断然後者のリリカル味であり、幸い本作もそれに属していた。
美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 著者:梶尾 真治 |
本作では、未来だけに一方通行する航時機に乗ってしまった恋人を、外から何十年も見つめ続ける女性の切ない恋心を見事に描いている。このお話の中では、彼女が彼にもらった『真珠』の存在がキーになっている。そしてラストのどんでん返しも、この『真珠』によって表現されているのだ。
なんと切なく美しい小説なのだろう。だがこのラストの描写の中で「七色に輝く真珠は殖え続けていたのです。」という記述が、何度読み返してもどうしても理解出来なかった。航時機の中での時間の経過が異常に遅いので、落ちてゆく真珠の残像がそう見えるのだろうか。自分の貧弱な読解力に、ちょっと悲しくなってしまった。
本作は短編集『地球はプレイン・ヨーグル卜』に収められていたが、その中に本作と似た味がする『詩帆が去る夏』も掲載されている。こちらはタイ厶テーマではなく、愛する女性のクローンを育てる話だが、本作よりも判り易くもっともっと切ないお話だった。
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コメント
ちえりんさん、TB&コメントありがとう
殖え続ける真珠の意味は、僕もいまいち分かりませんでした。
梶尾真治のSFラブファンタジーには、いつも惹かれますね。
投稿: ケント | 2007年4月30日 (月) 20時02分
はじめまして。
TBさせていただきました。
わからなかった 殖え続ける真珠の意味も
こちらのページから
老水亭日記さんへいき
理解することができました。
奥が深いですね!
投稿: ちえりん | 2007年4月30日 (月) 11時15分
Oimizuさん、コメントありがとう
殖え続ける真珠の意味が解かりました。ありがとうございました。
投稿: ケント | 2006年5月13日 (土) 11時32分
TBありがとうございました。
こちらからもTBさせていただきました。
殖え続ける真珠とは・・・老水亭の解釈は、TBをたどって見てください。
投稿: Oimizu | 2006年5月11日 (木) 02時16分
ケントさん。久しぶりです。
TB&コメント有り難うございました。
こちらからもTBさせて頂きますm(__)m
梶尾真治さんの作品はせつない系が
多いですよね~。
タイトルもきれいで、好きな作品のひとつです。
投稿: ユキノ | 2006年5月10日 (水) 22時38分