通勤地獄 ズレてくれないおじさん
帰りの電車ですから、やっぱり混んでましたよ。でも朝のラッシュと違って、ギュウギュウ詰めという訳じゃありません。吊皮が全部塞がっている状態とでもいいましょうか。その程度の混み具合なのでした。
と・・周囲を見回すと、そのおじさんが掴まっている吊皮の左右が、それぞれ半人前ずつ空いているじゃありませんか。
「すみません」と声をかけて、その半人前の左側スペースに割り込もうとしました。当然おじさんが、半人分空いている右側へ、ズレてくれるものだと思い込んでいたのですが・・・・。
おじさんは一向に動いてくれない。それどころか、頑として吊皮を強く握り、「死んでも動かないぞ!」という構えなのです。こちらも意地になって、ググググッと力を込めて割り込んで、とにかく網棚にカバンを置くことだけは許してもらいましたが、相変わらず隙間は作ってもらえません。
どうして右側が空いているのにズレてくれないのだ!私はだんだんイライラが募ってきて、大声で注意したくなりました。
そのとき電車が次の駅に到着し、おじさんの前に座わっていた若者が、慌ただしく席を立ち降車したのでした。
それを待っていたかのように、くだんのおじさんが、その空いた席に急いで座ったのです。そして何事もなかったかのように、目を閉じて居眠りと決め込みました。
なぁ~んだ。このおじさんは、さっきの若者がこの駅で降りることを知っていたんだ。それで吊皮をズレると、私にその席を盗られると思って、ガチガチにガードしていたのでしょうか。さてさて喧嘩の原因なんてものも、意外とこうしたつまらない事情から生まれるものなのですよね。
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