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2006年4月 5日 (水)

沖で待つ

 平成十七年度下半期の芥川賞受賞作品である。大手住宅機器メーカーの総合職OLと、同期の男性との間でかわされた『ある約束』を描いたお話。
 選考委員のセンセイ方の中に、この作品の中に「新しさ」を発見したと、べタホメ論評を書いている人がいたが、思わず失笑せずにいられなかった。昔、出版社に籍を置いていたので判るのだが、純文学指向の作家センセイは、世間知らずが多い。ほとんどのセンセイ方が、上場会社とかサラリーマンとか、OLのことなど何も知らないのだ。

沖で待つ Book 沖で待つ

著者:絲山 秋子
販売元:文藝春秋
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 確かに読み易く、筋立ての構成は上手であるが、内容については「新しさ」どころか古臭いくらいである。この小説にある同期男女間の友情などは、大卒女子が急増したバブル期頃から、よくあることであって、ことさら珍しいことではない。ストーリーもOL時代の思い出話を、多少脚色したような臭いがする。まぁ純文学とは、昔からそういうものだ、と言われれば、ごもっともと、挨拶するしかないのだが・・・・
 またこの手の話は、OLの書いているブログを見れば、ゴマンと出てきそうである。タイトルの『沖で待つ』というネーミングだけは、芥川賞らしいのだが、そのイメージとはほど遠い内容であった。それでも最近の受賞作の中では、まだまだましなほうであろう。
 芥川賞といえば、青年時代に憧れの的であったが、この程度の作品で受賞出来るのだから、その権威も地に落ちたものだ。
 選考委員の一人である石原慎太郎の言うように、作品の全体的なレベルが下がっているのか、あるいは選考委員側の選考レべルが下がっているのかは、ノミネートされた全作品を読めない私達には知る由もない。
 かなりキツイレビューになってしまったが、決して絲山さんを非難するつもりで書いた訳ではないので、誤解無きようお願いしたい。・・・どちらかと言うと、選考委員と主催出版社に対する、小人物のいいがかりだと思って欲しい。

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