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2006年4月18日 (火)

地下鉄(メトロ)に乗って

 直木賞『鉄道員(ぽっぽや)』を書いた浅田次郎が、吉川英治新人文学賞を受賞した作品である。
 過去にタイムスリップして、自殺した兄を助けに行ったり、反目している父の若かりし日を訪ねるため、「戦後」、「戦中」、「戦前」、「戦後」・・と時間軸を行ったり来たりする。

地下鉄(メトロ)に乗って Book 地下鉄(メトロ)に乗って

著者:浅田 次郎
販売元:講談社
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 ところで地下鉄のことを「メトロ」と呼ぶのはフランスであり、イギリスでは「チューブ」とか「アンダーグラウンド」、アメリカは「サブウェイ」で、ドイツでは「ウーバーン」と呼ぶらしい・・・。日本では「メトロ」という言葉が一番馴染んでいるし、なんとなくそこはかな郷愁さえ感じてしまう。ことに銀座線丸の内線には、ピッタリの呼び名であろう。
 さてこの話を読み始めたときは、古い地下鉄の出入口が、『タイムトンネル』になっていると思っていたが、どうもそうではないらしい。家で眠っているときにも、タイムスリップしてしまうからだ。
 結局なぜタイムスリップしたのか原因も判らずじまい、もしかすると全てが主人公の妄想か、夢だったのかもしれない・・。しかしもしそうだとすると、何故「みち子」が登場したのか説明し辛くなってしまう・・・その辺りは曖昧であり、エンディングも余り歯切れが良くなかった。
 どうして浅田次郎の作品は、いつも切なく救われない話が多いのだろうか。確かにこの小説はSF的な手法を使ってはいるが、実は似たもの同士の「父と息子の確執と苦悩」を描いた心理小説と言えないこともない。
 そしてこの場合、「みち子」の存在は、嫌悪していた父と同様に、主人公も愛人を持ちたいという願望が作り出した妄想だったと、解釈するしかないだろう。そしてそれを皮肉な結末と結びつけると、主人公の父に対する激しい愛憎と情念を体中に感じてしまうのだ。
 確かに父と息子の関係は難しい。息子にとって父親は、なくてはならない存在なのだが、父親がその存在感を示せば示すほど、若い息子は父を恐れたり憎んだりするものである。
 やがて父が死んで息子が成長したときに、初めて父の偉大さを知り、父を尊敬する時が来るだろう。さてさて父親とは、なんと報われない存在なのだろうか・・・。

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コメント

 TBありがとうございました。映画も楽しみですね。

投稿: 気ままな中年ライダー | 2006年7月24日 (月) 20時28分

☆美 さん、コメントありがとう。
霞町物語見てみますね。
ところで、浅田次郎の「ラブレター」も切ないですよね。

投稿: ケント | 2006年4月22日 (土) 23時10分

TBありがとうございます。

自分のブログにも書きましたが、私が好きな浅田次郎の作品は霞町物語。
あれも救われないというか、何というか・・・。(笑)
ま、そこが浅田次郎らしさなのかもしれませんけどね。

投稿: ☆美 | 2006年4月21日 (金) 01時27分

ユキノさんコメントありがとう。
映画と違って本はトラバックやコメントが少ないので、嬉しかったです。

投稿: ケント | 2006年4月19日 (水) 22時31分

時間旅行のユキノです(^^)
TBありがとうございます。

なんか着々と時間モノが増えてますね~
浅田さんの作品はせつない系が多くて
お気に入りです。

投稿: ユキノ | 2006年4月19日 (水) 22時00分

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