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2006年3月の記事

2006年3月31日 (金)

ファンタスティック・フォー

★★★

 ご存知の通りアメコミの超人映画であります。超能力者グループが、悪人に立ち向うということで、X-MENと似たような映画でしたね。
 どうもこの手の映画は、初めからストーリー展開が読めてしまうので、楽しみは、彼等がどのようにして超能力を手に入れて、それをどのように使うかということに絞られてしまいます。

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 主人公リードは、体がゴムのように伸び、その恋人スーは、透明になることと、バリアーを張る能力を持ちます。そして彼女の弟は炎を発して、空を飛ぶのです。ただ友人のべンだけは、岩石のような肉体に変わったままなので、化け物扱いされるという気の毒な超人なのです。
 彼等がその超能力を駆使して、橋上の大惨事を救うシーンは、最大のハイライトであります。全員が超能力全開となり、俄然格好良かったのですが、その時点でほとんどネタ切れ状態になってしまった訳です。あとは悪人退治が残っていましたが、これはもうほとんど予測した展開以上のものはなく、「やっぱりね」という感じで終わってしまいました。
 現在続編製作中と聞きましたが、既に全て手のうちを明かしてしまった今、このあとどんな楽しみがあるというのでしょうか?とてももう続編を観る気は起こりません。やはり超人はグループではなく、1人のほうが集中出来るし、アクションだけではなく、超人のメンタルな部分にも介入出来るので面白いですね。

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2006年3月28日 (火)

メゾン・ド・ヒミコ

★★★☆

 あら、いやだわこれって「ゲイの養老院」の名前だったのね。・・・いけない、僕までゲイ言葉が移ってしまいました。
 湘南の海に面して建つ、なにやら妖しげなムードの白い館。運営するのは、昔ゲイバーの凄腕ママだったヒミコ・・・
 そのヒミコに捨てられた娘が柴咲コウで、ヒミコの愛人役にオダギリジョーという布陣でございます。

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 確かにゲイには通常の市民権は与えられていないし、白い眠で見られてしまう。それでも若いころはいいが、年をとったらどうするのだろうか?そりゃあ、ゲイ同士が互いに助け合って暮らしてゆくのが一番じゃないのかしらん。・・・という発想でこの白い館が建てられたのです。
 それにしてもオダギリジョーは、色々な役を幅広くこなす、貴重な若手俳優ですね。本作でも、男らしさも併せ持つ中性的なゲイを、見事に演じ切っていました。
 一方ヒロイン役の柴咲コウは、ほとんどスッピンで頑張っていましたが、なにか今一つぎこちなく、あと一味欲しい感じがしました。
 彼女は前半ず~と暗く心を閉ざしているのですが、中盤過ぎディスコで思いきり踊るのをきっかけにフッ切れます。そしてそれまで抱いていた、ゲイに対する差別感も消えてゆくのでした。
 このディスコでの一連のシーンは、この映画の分岐点ともいえるでしょう。それにしても尾崎紀世彦『また逢う日まで』の軽快なリズムを「懐かしい!」と感じたのは、おじさんだけですかね・・・
 この映画を全部観終わっても、僕にはまだゲイになる人の心情が、よく理解出来ませんが、「ゲイになる人って、きっと心優しいのかしら・・・」

 ところで、ゲイのことをオカマと言ったり、ホモといったりするけれど一体どう違うのでしょうか。

 「ホモ」は本来同性愛者のことだから、男女を問わないはずなのですが、いつの間にか男同士の同性愛者だけに、限定されてしまったようです。
 一方「オカマ」は女装や女性的仕草をする男性のことらしい。
 それから「ゲイ」は「ゲイボーイ」から始まっているので、男なのでしょう。また言葉のニュアンスからは、「ホモ」はなんとなくイヤラシさを感じますが、「ゲイ」のほうはなんとなく知的な響きがありますね。でも最近「ハードゲイ」なる新語?が飛び出してくると、かなりイヤラシイイメージに変換されそうで困っちゃうわ・・・。

 さてこの映画で、犬童一心監督が一番描きたかったのは、妻子を捨てて「ゲイ」になってしまった男の葛藤かもしれませんね。
 ヒミコと柴咲コウの関係はもちろんのこと、孫娘を思い続けるルビーもしかりであります。また愛し合う柴咲コウとオダギリジョーが、本格的なセックスを出来なかった理由は、ゲイの生理的要因としても、一方では彼等の苦悩を知ってしまったからなのでしょうか・・・・

 映像は美しいし、シナリオや心象描写もしっかりしていて、役者さん達も芸達者が揃っていました。ただちょっと長過ぎたのが不満です。せめて2時間以内に納めてくれれば、もっと高評点をつけたのですが・・・。

それにしても「ピキピキピッキ~」には参ったわ!

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2006年3月26日 (日)

サマータイムマシン・ブルース

★★★★

 ある程度の内容がわかっていて、かつタイムトラべルに興味がある人でないと、全く見向きもしないB級映画だ。多分興行成績は、惨澹たるものだったろうな・・・。それを乗り越えて、この映画を作った人は偉いね!

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 前半は途中で画面が真っ暗になるシーンがいくつかあり、受けの悪いドタバタギャグが続くので、うんざりしてしまった。ただこの真っ暗になるシーンが、後半に種明かしされる問題の事件があった部分なのだから仕方ないのだが・・・。
 ところが中盤にタイムマシンが登場してから、この作品は俄然面白くなるので、それまでは絶対投げずに我慢して観ていて欲しい。しかしこのタイムマシンに乗って、25年後の未来からやってくる田村君のなんとダサイこと。着ている服もへアースタイルも、未来人というより、逆に一昔前の人のようなのだ。しかし、彼のほのぼのとした人柄と、このダサいスタイルがマッチして、この作品ならではのいい味を出していたと思う。
 また未来人のくせにデジカメでなく、アナログの古いカメラをぶら下げていたのも変な感じなのだが、これはラストの「落ち」に繋がる小道具ということで、納得するしかないだろう。
 それにしても自転車のようなタイムマシンを使って1日前に戻るだけのお話なのだが、この中にはタイムパラドックスや、時間流のねじれ現象などが、面白おかしく見事に描かれているので、なかなか見応えがある。
 この作品を作った人は、H・Gウェルズの『タイムマシン』と、ロバート・A・ハインラインの『時の門』、広瀬正の『マイナスゼロ』が、きっと大好きな人なのだろうなと確信してしまった。
 特に「昨日と今日の瑛太」と「カッパの謎」と「リモコンの時間旅行」は、なかなか凝ったアイデアだ。ひとつ理屈が合わなかったのは、ラスト近くに屋上で別れたはずの田村が、どうしてタイムマシンごと部室に戻ったのかということ。
 本来なら、タイムマシンで屋上に戻ってから、歩いて部室へ行かねばならないのだが、それでは格好がつかないので、あえてああいう形をとったのだろうか。このあたりのシーンには、バック・トゥ・ザ・フューチャーの影響を感じるね。
 製作費の少ない、コミカルでファンタジックな作品ではあるが、今までに余り観た事のない珍しい、そして面白い映画だった。
 あっ、そうそう言い忘れたが、上野樹里ちゃんが、いつもよりずっと可愛く感じたのは何故だろう・・・。

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2006年3月21日 (火)

SPIRIT スピリット

★★★★

 舞台は1900年前後の中国だが、最近流行りのハリウッド資本入りの香港映画だという。予告編では、ジェット・リーが異種格闘技に挑み、米国人のプロレスラーや、日本人で剣の達人である中村獅童と戦うシーンばかりを写していた。
 それでチョット話の展開を、読み違えていたかもしれない。確かにバリバリのアクションシーンの連続で、ジェット・リーここに極まれりという映画なのだが、何かを一味プラスしたという感じで、なかなか素晴らしい出来に仕上がっていたと思う。

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 ジェット・リー扮する主人公のフォ・ユァンジアは、実在した中国の伝説的な英雄らしい。フォは、天津の武術家の長男として育ち、連戦連勝を重ね、その圧倒的な強さを誇った。しかし彼は勝つことにこだわり過ぎ、武術家としての「精神」を忘れ、目上の達人に無役な決闘を挑んで殺してしまうのだ・・・。そしてそれは数々の悲劇を生む結果となり、彼は故郷を捨て、失意のまま流浪の旅に出ることになるのである。
 ここまでは、カンフー映画のよくあるパターンなのだが、その後老女と盲目の美少女に助けられ、ひとの心の暖かさや、自然の偉大さを知り、武術家としての心も芽生え始めてゆく。
 中村獅童とのラストバトルは、真の武術家同士の壮絶で、スピーディーな素晴しい戦いとなる。プロモーターは日本人の悪党なのだが、中村獅童は札儀正しい武士のような武術家を演じて格好良かった。
 最近の中国系の映画は、示し合わせたように実に映像が美しいね。エンディングクレジットでは、日本のロックミュージックが流されていたが、これは日本上映版だけらしい。中村獅童の扱い方にしても、だいぶ日本での興行成績を狙っているような気がしたのは考え過ぎだろうか。  (画像は映画館のパンフです)

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2006年3月19日 (日)

この胸いっぱいの愛を 

『本と映画のランデヴー第五弾』 であります。映画、マンガ、小説の順で見ましたので、その順番に従ってレビューしてゆきましょう。

映画は映画館で観たのでもう半年近く前になります。 ★★★☆

 ある場所から、4人の男女が同時に20年前の世界にタイムスリップする。その4人は、どうしても過去に戻ってやり直したいことがある・・・ということで共通していた。

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 1人は盲導犬と離れ離れになってしまった老女であり、2人目は過去に他人の花壇を壊したまま、謝り忘れてしまった世界的に著名な学者である。そして3人目は、出産と同時に母親を亡くしてしまった暴力団のチンピラで、全員が過去にやり残したことを成し遂げると、元の世界か何処かへ消えてゆくのだ。
 最後の4人目が主人公(伊藤英明)で、彼が少年時代にあこがれていた近所のお姉さん(ミムラ)に逢うことになる。このお姉さんは、天才バイオリニストなのだが、主人公の少年時代に病気で死ぬことになっている。
 なかなか興味深いテーマであり、感動的なシーンも多く、子役も含めて出演者それぞれが、持ち味を生かした良い作品であった。とくにミムラが、とても魅力的な女性になり切っていたと思う。また中村勘三郎、賠償干恵子などの大物が、チョイ役で出演していたのにもちょいと驚いた。
 ただ時間テーマものとしては、設定にかなり無理があったし、反則技も乱発していたのが気に入らない。
 過去の自分に会うことは、タイムパラドックスを引き起こすためタブーのはずだが・・・最初から最後まで自分と一緒に暮らすのだから、かなり安易な設定ではないか。
 そもそもそんな過去があれば、現在の行動には繋がらなかったはずだから、主人公のストーリーは成り立たないのだ。
 また過去を変えれば、現在も変わるはずだが、何も変わっていない(あるいは説明不足か)のも納得しかねた。それに、あれ程慕っていたお姉さんと、いつの間にか疎遠になってしまったパラレルワールド?も、矛盾を感じるし、余り気分が良くはなかった。
 もっと上手な種明かしが出来ないところに、この監督の限界を感じる。更には、観客サービスのつもりで挿入したような、ラストの天国らしきシーンも余計な一幕ではないだろうか。

「さてマンガ版のほうです」
 映画が上映される前に、少女マンガに連載されたため、ネタバレを配慮して2部構成とし、メインの『バイオリンのストーリー』は2部に回わしていた。

この胸いっぱいの愛を Book この胸いっぱいの愛を

著者:河丸 慎,「この胸いっぱいの愛を」製作委員会
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 1部のほうは、その他の人のストーリーに、マンガ家のオリジナルを加えた形だった。それで初めは、『何だ映画と全然違うじゃないか!』とちょっぴり腹が立ったが、あとがきを読んで納得した。
 僕はそもそもが、少女マンガのデザイン画のような、硬くて個性の無い絵が嫌いなので、そのあたりの印象は余り良くない。だが映画とも原作とも多少異なっていたので、それなりに味があり楽しめたと思う。

 「そして最後に小説版でございます」
 正式な原作は『クロノス・ジョウンターの伝説』で、それを同著者が映画化を睨んでノべライズとして、アレンジしたものらしい。
 従ってストーリーは、ほとんど映画と変わらなかったが、重要な部分が映画では省略されていたり、変更されていたことが判った。

この胸いっぱいの愛を Book この胸いっぱいの愛を

著者:梶尾 真治
販売元:小学館
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 映画ではタイムスリップしたのが4人だったが、小説のほうでは6人だったのだ。正確にいうと、省略された2人はカップルだったので、お話としては1つのストーリーがカットされたことになる。たった1つのストーリーだが、このお話は、5つのストーリーの中でも2番目に素晴しい話で、泣ける話でもある。そして、このストーリーの拠点となる鈴谷旅館とも接点を持つし、ラストの展開にも影響することになるのだ。
 もう1つはラストシーンが、大きく異なっている。映画では大不評だったラストと異って、小説のほうは実に見事な締めくくりを施していたと思う。
 それから映画の中では、タイムスリップやパラドックスに関わる理論が全くなかったが、小説のほうでは、多少無理はあるものの、それなりに納得出来る理論をちりばめていた。さすが小説は素晴しい・・・というよりはこれを映画化した監督のセンスのなさに、改めて呆れてしまった。タイムパラドックスを扱った似たような映画といえば、『いま、会いにゆきます』があり、これも映画、マンガ、小説のハシゴをしたが、こちらは映画に軍配をあげたい。原作ものでも、作り方次第で映画が勝つことも出来るのである。

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2006年3月18日 (土)

プリティ・へレン

★★★★

 ここのところ『ミュンへン』とか『シリアナ』とかの重くて暗い映画ばかり観てしまったので、軽くてノリの良い映画が観たくなっていた。
 それで内容も良く調べずに、この映画を選択してしまった。確かにこのタイトルと主演のケイト・ハドソンのハデなポスターを見れば、誰でもハデハデで、のりの良いラブコメを想像してしまうはずである。

Scan10030_1

 もちろん重い作品であるはずはなく、ジャンル分けすればラブコメと言っても間違ってはいないだろう。しかしチョット違うのだ。良い意味で勘違いしていたかもしれない。
 主役のへレンは、モデルをマネージメントする会社でマネージャーとして働き、派手な服を着て、派手な人々と楽しく遊び回わるような、独身貴族生活を謳歌していた。彼女には二人の姉がいたが、二人とも結婚して子育てと家事をりっぱにこなす、プロのママ達なのである。
 ところがある日突然、上の姉夫婦が三人の子供を残して、事故で死亡してしまうのだ! そして弁護士からへレンと、下の姉に遺言状が手渡されるのだが・・・
 なんとへレン宛の遺言状には、残った三人の子の親権が委任されていたのだ。何故子育てのプロである、しっかり者の下の姉に委任せずに、遊び人で家事のカの字も知らないへレンに委任したのか、二人とも納得出来ない。しかし子供好きで人の好いへレンは、あえて三人の子供を育てることを決心するのだ。
 当然といえば当然であるが、自由奔放な生活をしていたへレンに、まっとうな子育てや家事が出来るわけがなかった。そして中途半端で無理な生活を続けるうちに、仕事も続けられなくなってしまうのである。
 そんなへレンに何故上の姉は、親権を委任したのか?その理由は下の姉に宛てた遺言状に書いてあるのだが、何故か下の姉はそれを読ませてくれないのだ。ラスト近くになって、その遺言状の内容が明かされるが、ここで大感動なのである。
 三人姉妹の心の絆と、アメリカ式子育法、そして何よりも「ママ達の強さと真の愛情」を観た気がしました。そして登場人物達が皆良い人達で、個性的な人物が多かった。特に金属バットを振りかざして悪ガキ達を追い払う、ラテン系の隣のママと、中古車販売会社の、厳しいが誠実で人間味のある社長が、とても素晴らしい人物だと感じた。
 笑いよりも心暖まる涙を流せる、そして皆ハッピーになれる素敵なコメディーなので、現実を忘れて映画の世界にどっぷり浸かりたい人にはお勧めの作品である。

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茶の味

★★★

 オープニングの桜の美しいこと。この場所は一体何処なのだろうか・・・とうっとりしていた。そしてタイトルにしてみても、この映画はかなり渋い、清々しい作品なのかと思ってしまうだろう。
 ところがところがである、この映画は一種の『おバカ映画』だったのだ!

茶の味 グッドテイスト・エディション DVD 茶の味 グッドテイスト・エディション

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 ある田舎村に住む家族が主役なのだが、訳の判らん踊りや唄が好きな爺さんを筆頭に、その奇行を題材にアニメを作る嫁、超内気な長男、巨大な自分が見える変な妹、少年時代に奇怪な経験した、トッポイ叔父さんが、一緒に暮らしているのだった。ただ一人三浦友和扮する父親だけが、まっとうな普通の人にみえた。
 さらに馬鹿げたショートストーリー数篇を、アンバランスに繋ぎ合わせて、一生懸命笑いを狙っているのだが、これが全くおかしくも、面白くもないのだ。ダサイというより、ピント外れというのか、センスがないというのか、何度か途中で観るのを辞めたくなってしまったほどだ。
 ところが、長男の通学する田舎の学校に、囲碁の好きな可愛い女の子が都会から転向してくる辺りから、話が少し面白くなってくる。そしてお爺さんが突然亡くなり、彼の部屋に残された遺品の存在が、この映画のハイライトとなるのだ。
 その遺品とは、ほのぼのとしたタッチで、家族1人1人が描かれているスケッチブックである。しかもパラパラマンガのような仕組みが妙に可愛らしく、家族を大切にしていたお爺さんの心が伝わってきて、胸がジーンと熱くなるだろう。
 そしてラストのオーロラとタ焼けが、やけに美しく音楽もなかなかである。評価のしづらい妙な映画だが、田舎の風景とお爺さんのパラパラマンガのおかげで、かなり救われたのではないかな。
 

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2006年3月14日 (火)

五分後の世界

 まずこのタイトルに惹かれ、しかも著者が村上龍であることを知り、この古い本を読む決意をした。
 文庫でわずか293頁の作品なのであるが、主人公は初めからいきなり訳の分からない戦場で、国連軍とアンダーグラウンドとの戦争に巻き込まれてしまう。そして主人公の名前が、小田桐ということ以外は全く固有名詞が出てこないのである。

五分後の世界 Book 五分後の世界

著者:村上 龍
販売元:幻冬舎
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 そもそもここでいう国連軍が、我々が知っている現在の国連軍なのかも判らないうえ、「アンダーグラウンド」なんぞというのは聞いた事もない。スターウォーズの悪の帝国を真似たのだろうか・・・
 そして主人公の小田桐は、訳の判らない戦闘と労働を強いられるが、彼の周囲にいる人間のほとんどが混血で、日本人は26万人しか存在しないという。さらには、オールドトーキョーだのオサカなどというスラム化された町があるという。もしかすると核戦争で人類はほぼ絶減し、わずかに残ったミュータントのような人間達が、性懲りも無くまた戦争をしているのか?それでオールドトーキョーは昔の東京のことで、オサカは大阪のことなのだろうか?・・・
 などと考えるうちに戦闘シーンが激しくなり、体中が燃え尽きたり、手足や顔が肉片となり吹き飛んで、死体の山が積まれてゆく。
 一体何で、こんな所にいるのか、何故こんな戦いをしているのか、小田桐は何物なのか、何も判らず説明もなく、ただただ残酷な殺戮シーンだけが延々と121頁まで続くのだ。
 これではまるで、SFアクション映画ではないか!これは小説なんだろ、しかも芥川賞作家の村上龍の作品だよな!それに彼は、あとがきで最高傑作と自我自賛しているではないか、「そのうちきっと面白くなるのだ・・・」自分に何度もそう言い聞かせながら、ブン投げたくなる気持ちを押さえながら、シンドイ気分でページをめくり続けた。
5_6  121頁まで延々と続いた戦闘シーンがやっと一段落し、第5章「アンダーグラウンド」へ進む。小田桐はここから文字通り、地下にある「アンダーグラウンド」という世界へ連れてゆかれる。そしてここで、この世界の正体を知ることになるのだ。
 小田桐が現在いる世界は、『五分後の世界』というよりは、なにかの拍子に迷いこんでしまった『パラレルワールド』だったのだ。そしてその世界では、今迄彼が住んでいた世界とは5分間のズレが生じていた・・・ということなのだが、なぜ5分間のズレがあるのかは、結局最後まで全く不明であった。詰るところラストシーンで『ある決心』をすることを、示唆するための一種の小道具に過ぎなかったのだろうか。
 さてこの『パラレルワールド』は、大平洋戦争で日本が広島、長崎に原爆を落とされても、連合軍に降伏しないまま、さらに小倉、新潟、舞鶴にも原爆を投下され、それでも降伏せずに、延々と戦争を続けている世界だったのだ。
 そして本土は、続々と連合軍に占領され、わずか26万人になってしまった日本人達は、地下2000mに逃げ込んで、そこに小都市を創ったという。それが「アンダーグラウンド」と呼ばれる場所なのである。それでも彼等は、依然としてゲリラ戦を続けて、連合軍との戦いを辞めようとしないのだ。
 しかも天皇は、スイスに逃れているという。一体日本人は何のために、そこまで戦いを続けるのか。それはアインシュタイン博士に言わせると、『自由と勇気とプライド』のためなのだそうだ・・・
 まるでアラブ系の自爆テロ集団や北朝鮮のようではないか。おそらく平和ボケした、現在の日本人達に対する痛烈な皮肉なのだろう。
 ところでこの辺りから、やっとこの世界のバックグラウンドが見え始め、この小説の行く末が気になり出すのだ。そして美人将校のマツザワ少尉の登場や、その家族達の生活や慣習を知るうちに、一瞬なんだか懐かしく、心良い気分になってしまった。
 その後「アンダーグラウンド」に住む世界的ミュージシャンであるワカマツのコンサートが、オールドトーキョーで開催されることになり、小田桐は護衛兵とともに「アンダーグラウンド」を出発する。これは小田桐を元の世界に戻すための旅でもあったのだが・・・
・・・・・
 そしてまた100頁以上の暴動と戦闘が、ラストまでいやと言うほどしつこく続くのである。せっかく新たなる展開に、心を弾ませた僕が甘かった。もう勘弁してくれと、祈るような気持ちで、やっとこの小説を読み終わったときは、精魂尽き果てて、くたくたになってしまった。
 著者の強烈な信念と、チャレンジ精神には脱帽するが、もうこんな実験小説にはつき合いたくない。
 ところが巻末の解説文で、渡部直已氏は、「作者が主人公の内面について一切説明せずに、ひたすら戦闘場面にのみ直面させられ続ける状況」を次のように語り、この作品を絶賛している。
『すなわち、主人公の決定的な改心(コンバート)を、戦闘描写(コンバット)の異様な持続そのもののなかから引きだそうとすること』
 ・・・さすがにプロの評論家は、するどい視点と臭覚と文体を駆使して、ゼニのとれるレビューを創り上げるものだと感心してしまった。

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2006年3月11日 (土)

シリアナ

★★★
 全く奇妙なタイトルである。漢字で書いたらとても下品な言葉になりそうだ。念のためネットで調べたら、「シリア」と「イラク」と「イラン」の三国を包括した造語なのだという。
 この難解なタイトルからも、この作品がアラブと米国と石油とテロを中心に描かれた、暗く重いストーリーであることが想像出来るはずだ。
 先日似たような映画で、S・スピルバーグの『ミュンへン』を観たが、重さと暗さという共通点はあるものの、本作はそれに加えて「非常に難解」で、中盤辺りまでは何が何だかさっぱり判らないので困まってしまった。
Scan10025_1   それというのも、この作品はいくつかのエピソードが、パラレルに進行するのだが、それらのパーツがなかなか繋がらないのだ。しかも、レバノンだシリアだワシントンだ、そしてまたアラブの国々に戻るなど、日本人には馴染みのない国々を転々とする。従って本編の半以上は、日本語と英語の2つの字幕が、耐えずスクリーンに写し出される程、アラブ語の会話が頻繁に入るのだからたまったものではない。
 それでも『ミュンへン』のような派手なアクションシーンが挿入されていれば、多少は気も紛れるのだが、ほとんどが裏切り、ビジネス、政治的陰謀などがコアとなっているため、じっとスクリーンに張り付いて、会話の全てを真剣に記憶していないと、置いてけぼりになってしまうので、非常に神経が疲れてしまった。
 この映画は『ミュンへン』のような実話を基にした作品ではなく、あくまで創作であるのだが、『ミュンへン』以上に実話らしく感じたのは僕だけではないはずである。つまり石油の利権を巡るアラブ諸国と米国との争いは、「さもありなん」と皆が感じるほど、既に全世界的な常識となってしまったということなのだろう。
 石油の功罪について、ここで詳細に語る気持ちは全くないが、功よりも悪魔のような罪のほうが遥かに大きいことは、誰にでも判る解答であろう。石油発掘にかける費用も莫大であるが、当然それ以上の收益が得られるからである。せめてこれらにかけるパワーとマネーの半分でも、新エネルギーの開発に費やせないものだろうか。例えば、廃棄物や空気や水から安全なエネルギーを生み出すことだって、決して夢ではないはずである。
 今、全世界の人々は、自分さえ豊かであればどうでも良い・・・といった拝金主義へ向かっているような気がしてならない。このままでは人類は必ず滅亡するに違いない。
 最後にカッコいいことを言うようで恥ずかしいが、我々の子孫達のためにも、戦争の無い安全な世界をめざす気持ちを忘れないようにしたいものである。

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2006年3月 9日 (木)

赤目四十八瀧心中未遂

『本と映画のランデヴー第四弾』   タイムリーじゃなくてすみません・・・

 尼ヶ崎でどん底の生きざまを続ける二人の男女のやるせなさが、心にひしひしと伝わって、久し振りに胸にジ~ンと響いた純文学小説でした。

赤目四十八瀧心中未遂 Book 赤目四十八瀧心中未遂

著者:車谷 長吉
販売元:文藝春秋
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 一昨年一部のマイナーな映画館で上映され、寺島しのぶが日本アカデミー主演女優賞を受賞したと思います。劇場で見逃してしまったので、是非ビデオ化されたら観ようと思っています。

★★★★ ・・・ということでDVDを観てみましたよ!

 車谷長吉の純文学小説を、ここまで忠実に描いた脚本を絶賛したいと思います。
 また一昨年の日本アカデミー主演女優賞に輝いた、寺島しのぶの大胆な演技にも拍手を送りたいと思います。彼女は見事なプロポーションを持っていますが、決して絶世の美女ではありません。でもそのアンバランスな魅力が、尼ヶ崎という地域にマッチしていました。

赤目四十八瀧心中未遂 DVD 赤目四十八瀧心中未遂

販売元:ビデオメーカー
発売日:2005/02/22
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  たださすがに、小説のように心の葛藤を詳細に描くことは難しかったと思いますが、逆に赤目四十八滝の神秘的な美しさは、映画でしか描けなかったと感じました。そしてその神がかりな風景の中に、心中に向かう2人の心象が溶けこんで、原作に勝るとも劣らない、見事な作品に仕上がっていたと思います。
 残念なことに、まだまだこのような作品は、メジャーには乗せられず、一部のミニシァターでしか上映されないのが実情であります。是非DVDで堪能してみてください。

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2006年3月 8日 (水)

バガボンド

 「天才バカボン」みたいで、言い憎いし奇妙なタイトルである。外国語で『漂流』というような意味らしい。 原典は吉川英二の『宮本武蔵』であり、吉岡道場へ辿りつく迄は、ほゞ原作に忠実だったが、その後かなり独自のアレンジを加えているようだ。

バガボンド 22 (22) Book バガボンド 22 (22)

著者:井上 雄彦 原作:吉川 英治
販売元:講談社
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 大きな話の流れは変わらないのだが、武蔵以外の主な登場人物のストーリーを、かなり時間をかけて掘り下げ、作者独自の解釈を加えて面白く描いている。
 後半は、なんとなく作風が「平田弘史」や「白土三平」に似てきたようである。とりあえず第1章の1~20巻まで、一気に読了してしまった。
 この時点では、まだ佐々木小次郎も武蔵と戦っていないし、有名な吉岡一門との一乗寺下り松の決闘にも行きついていない。
 まだまだ先は長く、人気絶調なのに長期間休載されていたが、先ごろ構想新たに、第2章として雑誌掲載が再開された。さっそく21~22巻を読んだばかりだが、やっと吉岡一門との戦いの火蓋が切って落とされた。この調子だと一体あと何年間、何巻位迄続くのだろうかと気がかりである。

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2006年3月 6日 (月)

キャットウーマン 

★★★

 バットマンシリーズに顔を出していた「キャットウーマン」のサイドストーリー作品である。そういう意味では『デアデビル』に出ていた『エレクトラ』みたいなものかな・・・。
 なんといっても、どうして猫人間が誕生したのか?というくだりが一番楽しみだったのに。なんだか騙された様な感じで、いつの間にか普通のOL(ハル・べリー)がキャットウーマンに変身してしまった。ここら辺りはもう少し説得力のある筋立てが欲しかったね。

キャットウーマン 特別版 DVD キャットウーマン 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2005/04/08
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 まぁ猫のように飛んだり跳ねたり、するシーンはなかなか爽快感があって良かったけれど、『シン・シティー』でイライジャ・ウッドが演じていた「キャットボーイ」のほうが、凶暴で迫力があったかな・・・。超人なのだから、もう少し強くても良かったと思ったが、敵が普通の人間ばかりなので、余り強過ぎると力の調和が取れないので、そこそこの強さにしたのかもしれないね。
 アメコミといいながら、キャトウーマン以外のスーパーマンが登場しなかったので、どちらかというとサスペンス映画といっても通用しそうな作品だったかな・・・。
 またせっかくナイスボディーのシャロン・ストーンとハル・ベリーが、主演を張っているのだから、もっとお色気シーンがあっても良かったのに。・・・と思ったけれど、アメコミ映画で子供も観ているので仕方ないか。エンターティンメント映画としては、今回はそこそこに楽しめたが、もう続編は不要である。

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2006年3月 3日 (金)

ロテンガーデン

 国道16号線を橋本から八王子へ向かう国道沿いの左側に、大きな建物と看板があり、ガードマンが交通整理をしているのですぐに判かるはずである。
 ここ数年の温泉ブームで、近くに競合する温泉施設が数軒出来たため、最近リニューアルしたらしい。約10年前に開店したときは、ほぼ独占状況で、16号線が渋滞する原因を作るほど盛況で、石油のような黒湯のお風呂が、まさにイモ洗い状態だったと記憶している。

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(ロテンガーデンのパンプレットより)

 ところが近場にいくつかの温泉施設が続々と開店し、しかもここより安いので、だいぶ客を奪われてしまったようである。それでまだそれほど古くないのに、思い切ってリニューアルしたのだろう。
 リニューアルというより、増設といったほうが良いかもしれない。まず露天風呂にある階段を、裸のままトントン屋上に上がってゆくと、源泉かけ流しの小さな岩風呂が新設されていた。ここからは国道や周囲の風景が丸見えなので、逆に言えば外からも風呂が丸見えなのだろう。それで一応は目隠し用の囲いがしてあり、その板の隙間から外の景色を覗けるように作られていた。
 また別料金だが最近人気の『岩盤浴』設備も新設された。その他にも、食事処と料亭や広い休憩所、マッサージ施設が新館に追加され、かなり充実した温泉施設として生まれ変わった。
 それでも周囲の温泉施設より300円程度高いせいか、客層は中高年が多いようだ。そのせいか小さな子供も少なく、時間制限もなく、作務衣を無料貸与しているので、かなりゆったりと寛げるのが嬉しかった。

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2006年3月 2日 (木)

ステルス

★★★

 近未来SFという設定であるが、米国空軍や空母が登場するので、まるで『トップガン』という感じのオープニングであり、無人戦闘機が登場する迄は、ほとんどSFというイメージが湧かなかった。

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 予告編を観たときは、この無人戦闘機が暴走して、地球を壊滅させてしまうようなパニック映画かと思った。ところが落雷による暴走はあったものの、そのまま人類の敵になって地球を壊滅する、というような話ではなかった。
 3人の優秀なパイロットと学習機能を持つスーパーコンピューターが、チームを組んでテロ壊滅の戦闘に参加するが、どうも3人とコンピューターの足並みが揃わない・・・。
 主演はジョシュ・ルーカスと、昨年『レイ』でアカデミー主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックス、『ブレイド3』で弓使いの女を演じていた、ジョシカ・ビールの3人という豪華キャストだ。ところがである、全員が無人戦闘機に食われてしまったのか、演技もイマイチで精彩がなかったし、存在感も弱かったような気がする。
 それにしても、テロリストを暗殺するために、他国の上空からビルごと破壊したり、敵国の核施設破壊のため、罪もない多数の民間人を巻き添えにするなど、米国なら何をしても許される的発想には、とてもついてゆけなかった。
 ところでこの映画の見所は、なんといっても、雲上の大空や、そびえたつ岩壁の間を、そして地上すれすれを、超スピードで飛び抜ける飛行シーンだろう。それは全くCGとは思えない、本物のような迫力満点のシーンの連続だった。こうなったら、バカげたストーリー展開には一切目をつむって、ステルスの飛行シーンだけを堪能しようではないか!
 従って本来映画館の大スクリーンで観るはずの映画なのだが、あいにく自宅でのDVD観賞となってしまったのは非常に残念だった。

 ・・・とは思ったものの、なかなかそう簡単に割り切れない気分だ。勝手に他国の領空に進入して、あれだけ無茶苦茶に暴れまわったら、必ず世界戦争に発展するはずである。それを自己保身の塊のような悪党上官の、いい加減な思いつき的言い訳が通用するものか!
 これだけ大金はたいて、正真正銘お気楽で、おバカなB級映画を作ってしまうアメリカって国は、たいしたものだね。

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