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2006年2月 4日 (土)

博士の愛した数式

★★★★

 自動車事故で記憶が80分しか残らない数学博士と、若く美しい家政婦と、その息子ルートの温かい友情を描いた心温まるお話です。
 まずこの映画の展開方法が、なかなかユニークである。たどたどしいけれど、そこはかとなく郷愁を感じさせるナレーションの吉岡秀隆。彼が演ずる高校の数学教師ルートは、新入生達を相手に自己紹介をしながら、寺尾聡扮する博士との出会いを語ってゆく。
Scan10014  ここまでならよくある思い出話パターンなのだが、この作品では博士の思い出話の中で数式が出ると、今度は現在の吉岡が、教室の生徒達にその数式を説明するシーン戻るという繰り返しパターンで進んでゆくのだ。
 階乗とか、虚数、素数、友愛数、完全数などを黒板と図を使って判り易く楽しく解説してくれるので、観客も知らず知らずに数式を学ばされてしまう。まさにこれは、『数式プレゼンテーション』である。
 この作品は『雨あがり』や『阿弥陀堂だより』の小泉堯史監督のメガホンであるが、清々しくゆったり流れる小川のような感触はいつも通りである。そして相変わらず『寺尾聡ほのぼの劇場』といった作り方だ。
 出演者は余り多くはないが、誰もがピッタリのハマリ役で、それぞれが味のある演技をこなしていた。ことに家政婦役の深津絵里は、快活で真直くで清潔でとてもいい感じだし、寺尾聡の相手役としては、まさにドンピシャなキャスティングだと思う。家政婦とかルートの母としては若過ぎるイメージもあるが、もし彼女が色っぽい中年女性だったら、このような清々しい映画にはならなかっただろう。それから出番は少なかったものの、博士の義姉を演じた浅丘ルリ子の存在は無視出来ない。もし彼女の存在がなかったら、この映画は『サビ抜きの寿司」のようで、ただ単調に終わってしまったからである。
 また少年時代のルートを演じた子役がとても可愛かったし、『北の国から』を観た人なら、この子役がジュンそっくりなのには思わず微笑んでしまうだろう。ストレスの多い毎日で、久しぶりに人の温かさを感じる癒し系の映画でした。

(画像は映画館のパンフより)

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コメント

TBありがとう。
導入の、吉岡君の、数学をめぐるお話。この組み立て(脚本)が、成功の理由だと思いました。

投稿: kimion20002000 | 2006年5月23日 (火) 15時18分

kimionさんコメントありがとう
確かに、吉岡のたどたどしい口振りでの、ストーリー展開は、懐かしさを感じましたね。

投稿: ケント | 2006年5月23日 (火) 20時39分

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