博士の愛した数式
★★★★
自動車事故で記憶が80分しか残らない数学博士と、若く美しい家政婦と、その息子ルートの温かい友情を描いた心温まるお話です。 まずこの映画の展開方法が、なかなかユニークである。たどたどしいけれど、そこはかとなく郷愁を感じさせるナレーションの吉岡秀隆。彼が演ずる高校の数学教師ルートは、新入生達を相手に自己紹介をしながら、寺尾聡扮する博士との出会いを語ってゆく。 ここまでならよくある思い出話パターンなのだが、この作品では博士の思い出話の中で数式が出ると、今度は現在の吉岡が、教室の生徒達にその数式を説明するシーン戻るという繰り返しパターンで進んでゆくのだ。 階乗とか、虚数、素数、友愛数、完全数などを黒板と図を使って判り易く楽しく解説してくれるので、観客も知らず知らずに数式を学ばされてしまう。まさにこれは、『数式プレゼンテーション』である。 この作品は『雨あがり』や『阿弥陀堂だより』の小泉堯史監督のメガホンであるが、清々しくゆったり流れる小川のような感触はいつも通りである。そして相変わらず『寺尾聡ほのぼの劇場』といった作り方だ。 出演者は余り多くはないが、誰もがピッタリのハマリ役で、それぞれが味のある演技をこなしていた。ことに家政婦役の深津絵里は、快活で真直くで清潔でとてもいい感じだし、寺尾聡の相手役としては、まさにドンピシャなキャスティングだと思う。家政婦とかルートの母としては若過ぎるイメージもあるが、もし彼女が色っぽい中年女性だったら、このような清々しい映画にはならなかっただろう。それから出番は少なかったものの、博士の義姉を演じた浅丘ルリ子の存在は無視出来ない。もし彼女の存在がなかったら、この映画は『サビ抜きの寿司」のようで、ただ単調に終わってしまったからである。 また少年時代のルートを演じた子役がとても可愛かったし、『北の国から』を観た人なら、この子役がジュンそっくりなのには思わず微笑んでしまうだろう。ストレスの多い毎日で、久しぶりに人の温かさを感じる癒し系の映画でした。
(画像は映画館のパンフより)
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» 博士の愛した数式 [★★レガシィBP5 2.0GT spec.B WR-Limited2004★★]
本屋さんが選んだ大賞を獲った小川洋子著「博士の愛した数式」が原作の映画を観ました。
オールナイト1,000円、2本観るため、始めに2つ映画券を買って、1本目です。
数学というと、遙か昔、予備校で、秋山仁の講義を受けたときの衝撃を思い出します。
観終わって、よかったなぁ・・・というのが感想です。
早くも、枯れ葉が1,握りつぶすと・・・というところで、うるっときた。なんでこんなところでっ、と思っていたら、周りのところどころで、鼻をすする音が・・・オイラだけキてたわけじゃなかったんだ。ちょっと... [続きを読む]
受信: 2006年2月 4日 (土) 20時52分
» 「博士の愛した数式」見てきました [よしなしごと]
芥川賞作家・小川洋子のベストセラー「博士の愛した数式」の映画化。原作は第一回本屋大賞(いわゆる「本屋さんが選んだ大賞」)に輝いたことでも有名。と言うわけで博士の愛した数式に行ってきました。... [続きを読む]
受信: 2006年2月 4日 (土) 21時33分
» 博士の愛した数式 [欧風]
金、土とスキーに行ってきて(1日目、2日目)、土曜は遅くても夕方には帰るかな~と思い、私のホーム映画館ではちょうどその日にこの映画の先行上映があるっていうんで、行けたら行くか!って感じだったんですが、東京に着いてみたらこの有様(*_*)。まさに想定外の出来事(ってこの言葉は使ってもタイホされない?(^_^;))。夜に車を動かすのは危険と判断し、断腸の思いで断念。
まあ、そっちは今度の土曜に公開だからいいとして、21日から公開の映画で前から観たいと思っていた映画が「博士の愛した数式」。
以... [続きを読む]
受信: 2006年2月 4日 (土) 21時50分
» 博士の愛した数式 [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
この作品は小川洋子作の「第一回本屋大賞」を受賞した話題の同名小説を映画化した作品です。
主人公の天才数学者「博士」は、交通事故による記憶障害のため、80分しか記憶がもちません。何を話していいかわからず混乱した時には、言葉の代わりに数字を持ち出します。博士の元で... [続きを読む]
受信: 2006年2月 4日 (土) 22時27分
» 映画館「博士の愛した数式」 [☆ 163の映画の感想 ☆]
最近、記憶や数学を題材にした作品多いですよねぇ。この作品は、その両方を盛り込んだ作品ですねぇ~。
寺尾聰さんの囁くような声に途中何度か睡魔が襲ってきましたが、ゆったりとしたほのぼの気分になれる作品です。私の好みでいうと、もう少し「記憶が80分しか持たな...... [続きを読む]
受信: 2006年2月 4日 (土) 23時46分
» 「 博士が愛した数式 」 [MoonDreamWorks]
監督・脚本: 小泉堯史主演 : 寺尾聰 / 深津絵里 / 吉岡秀隆 齋藤隆成 / 浅丘ルリ子公式HP:http://hakase-movie.com/ 博士とそこに家政婦としてやってきた杏子はお互いを慈しみ会える・・・まさに、神のはからいによって友愛数を持つもの同士だっ...... [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 00時24分
» 博士の愛した数式 [CINEMA IN/OUT]
第1回本屋大賞が原作の映画ということで気になってきました。
下はMovieWalkerのキャンペーンの動画です。
もしよかったら見て下さいね。
[続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 00時53分
» 『博士の愛した数式』 数に込められた神秘、人に‘詰まった’優しさ。 [enjoy! MOVIE☆LIFE]
小川 洋子
博士の愛した数式
?? (画像は原作)
出演■寺尾聰、吉岡秀隆、浅丘ルリ子、深津絵里
監督■小泉堯史
<ストーリー>
家政婦をしている杏子はある日、80分しか記憶を保つことが出来ない「博士」と呼ばれる気難しい数学者の世話を任される。彼と... [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 01時10分
» 博士の愛した数式 [ショウちゃんのエーガな日常]
関東地方にも雪がふりました。
やっと全国の豪雪の仲間入り、ってこの程度でも東京は大雪注意報。
情けないやら。
ブログのおかげで、というか義務感(?)から初日に映画を観ることが多くなりました。
というか、早く観て早くブログに投稿しなくては、という強迫観念?゛
まあ、それはいいとして。
このくらい撮影が綺麗だと、気持ちがいいですね。
それもそのはず、スタッフは旧黒澤明組。
家の前に自転車�... [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 01時15分
» 博士の愛した数式 [シネマ「ランダマイザ」 cinema:Randomizer]
ABCホール・大阪梅田 1月14日(土) 午後2:00
試写会に行ってきました。
開映2分後に会場に入るという失態を演じてしまいました。
やっぱり、夜勤の後に昼の試写会はきついです [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 04時21分
» 「 博士が愛した数式 」 [MoonDreamWorks]
監督・脚本: 小泉堯史主演 : 寺尾聰 / 深津絵里 / 吉岡秀隆 齋藤隆成 / 浅丘ルリ子公式HP:http://hakase-movie.com/ 博士とそこに家政婦としてやってきた杏子はお互いを慈しみ会える・・・まさに、神のはからいによって友愛数を持つもの同士だっ...... [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 14時12分
» 博士の愛した数式 [Schicksal]
博士の愛した数式
数学の授業が始まった。
今日が最初の授業。
先生のことをみんなは<ルート>と読んでいる。
「僕がなぜルートと呼ばれ、
数字を好きになり、
こうして教壇 [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 20時55分
» 博士の愛した数式 [ナガメル記]
博士の愛した数式
小川 洋子 / 新潮社
スコア選択: ★★★★
文庫本が発売されていたので,購入して読みました.
2年くらい前になるんでしょうか,本屋大賞を受賞したのは.
かなり気になっていたのですが,売れている本はいずれ文庫化されるので,
いつもそうなってから読むのが常になってしまっています.
この本もご多分に漏れず,文庫化されるのを待っていました.
昨年の秋頃でしたか,文庫化され書店に並んでいたので購入した次第です.
単行本もずっと平積み状態でしたし,きっと良... [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 22時36分
» 『 博士の愛した数式 』 [やっぱり邦画好き…ANEX]
公式サイト
映画 『 博士の愛した数式
』 [ 劇場鑑賞 ]
2005年:日 本 【2006年 新春ロードショー】 [ 上映劇場
]
監 督:小泉堯史
脚 本: 〃
原 作:小川洋子 「博士の愛した数式」
小川 洋子 博士の愛した数式
[ キャスト ]
寺尾聰
深津絵理
齋藤隆成
吉岡秀隆
浅丘ルリ子
他
80分しか記憶がもたない天才数学博士と
家政婦と10歳の息子。
驚きと歓びに満... [続きを読む]
受信: 2006年2月 5日 (日) 22時59分
» 博士の愛した数式 [Line Noise_blog]
映画化されるってんでタイトル聞いて、そんだけでなんか気になってた小説。 先ごろ本屋で見つけたので購入。 や、もうね。 僕の大好きなタイプの話でとても参った。 博士もものすごく親近感をもてるよ…。 そして江夏。 宇野球一が頭をよぎりました。(オイ) 映画も見..... [続きを読む]
受信: 2006年2月 6日 (月) 09時56分
» 「博士の愛した数式」と音楽「加古隆」 [ランチママの徒然日記]
先週の水曜日に行くはずだったのに急に仕事が入り、見れなかった『博士の愛した数式 [続きを読む]
受信: 2006年2月 6日 (月) 22時27分
» 「博士を愛した数式」鑑賞 [BIGLOBE平社員ブログ]
試写会の年齢層が非常に高かった。
石塚です。 [続きを読む]
受信: 2006年2月 7日 (火) 01時07分
» 「博士の愛した数式」√をやさしく抱きしめる [soramove]
「博士の愛した数式」★★★☆
深津絵里、寺尾聡 主演
昨年買って
まだ読んでいなかった原作本を
深夜に読みきり、
翌日映画鑑賞。
本を読んでいるときも、家政婦さんは
深津絵里、博士は寺尾聡で読んでいた。
そして映画、
ちょっと背広のメモが少なく、...... [続きを読む]
受信: 2006年2月 7日 (火) 18時24分
» 観てきました「博士の愛した数式」 [☆ ひとりごと ☆]
本を読んで素敵だったので、映画も楽しみにしておりました。 [続きを読む]
受信: 2006年2月 8日 (水) 08時22分
» 小川洋子「博士の愛した数式」 [make myself just as hard]
小川洋子「博士の愛した数式」(新潮文庫)
この小説全編にわたって、なんだかとても良い香りがただよっている。母親が準備する食事の匂い。暑い夏の日の風の匂い。窓から入ってくる雨の匂い。そのほか懐かしい音もたくさん聴こえる。古いラジオから流れる野球中継。初めて行く歯医者の不安を駆り立てる音。野球場のざわつき。やかましい蝉の声。遠くの雷鳴。そして母親が料理をする包丁の音。それらは僕らのかけがえのない子供時代の原風景だ。博士はいまは記憶が80分しか持たないかも知れないけれど、若いときの記憶は残っていて、... [続きを読む]
受信: 2006年2月12日 (日) 02時19分
» 『博士の愛した数式』 [京の昼寝〜♪]
僕の記憶は、80分しかもたない。
■監督・脚本 小泉堯史■原作 小川洋子(「博士の愛した数式」新潮社刊)■キャスト 寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子□オフィシャルサイト 『博士の愛した数式』 数学教師のルート先生(吉岡秀隆)は、新しく受け持ったクラスで、自分の名前の由来を語り始める。 それは幼い頃、彼が大好きな博士(寺尾聰)が名づけてくれた仇名だった。 シ... [続きを読む]
受信: 2006年2月12日 (日) 16時39分
» 『博士の愛した数式』 [Simply Wonderful 〜Diary & Hobby etc...〜]
数学ってこんなに素敵なものだったんだ。
この映画にもっと早く出会いたかった。
例えば高校受験の時…。
大学受験の時ならなお一層良かったかもしれない…。
不謹慎だけど、上映中そんな思いに囚われること数度…。
『博士の愛した数式』
机に向かって数字と睨めっこしているだけでは、数学嫌いになるのも当たり前かも…ね。
私も博士に、数学を教えて欲しかった。
数“学”なんて思うから、堅苦しくて、問い掛けられることが難解に思えてしまうのだけど…。
なんと言う... [続きを読む]
受信: 2006年2月14日 (火) 21時58分
» ★博士の愛した数式@品川プリンスシネマ:サービスデー午後 [映画とアートで☆ひとやすみひと休み]
先週までの寒さが嘘のように暖かな春のような日だった今日、風邪も治ってきたので久しぶりのレディースデーを満喫してきた。 映画は『博士の愛した数式』。 今日の日のような柔らかな暖かい物語だった。 ... [続きを読む]
受信: 2006年2月16日 (木) 00時25分
» 『博士の愛した数式』を観て来ました!』 [☆★☆風景写真blog☆★☆healing Photo!]
『博士の愛した数式』鑑賞レビュー!』
2006年1月21日より
全国松竹・東急系にてロードショー!
★コピー★
博士と過ごしたひとときは
私とルートにとって本当に大切な時間でした
2005年/日本/カラー
上映時間▶117min(1時間57分)
製作▶アスミック・エース
エンタテインメント
プロダクション▶アスミック・エース
エンタテインメント
配給▶アスミック・エース
☆.。.:*・゜☆゜・*... [続きを読む]
受信: 2006年2月20日 (月) 17時23分
» 『博士の愛した数式』・劇場 [しましまシネマライフ!]
今日は『博士の愛した数式』を観てきた。 《私のお気に入り度:★★★★☆》 763席ある大きな劇場で [続きを読む]
受信: 2006年2月26日 (日) 02時32分
» 【劇場鑑賞7】博士の愛した数式 [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
220:1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
220=142+71+4+2+1:284
・・・友愛数だ
神の計らいを受けた、絆で結ばれた数字なんだ。
私とルートにとって
博士と過ごしすひとときは
本当に、大切な時間でした・・・
... [続きを読む]
受信: 2006年2月26日 (日) 22時01分
» 博士の愛した数式 [きょうのできごと…http://littleblue.chu.jp/]
小川洋子原作作品「博士の愛した数式」映像化。
原作は本屋大賞を受賞した直後に職場の同僚に借りて読みました。
それから(一時期)小川洋子作品にハマって読みまくったという
きっかけを作った、お気に入りの作品!
さてさてどう映像化されてるのでしょうか~♪
期...... [続きを読む]
受信: 2006年3月 8日 (水) 13時02分
» 博士の愛した数式 [いつか深夜特急に乗って]
「博士の愛した数式」★★★★★ (名劇2)2005年日本 [続きを読む]
受信: 2006年4月 8日 (土) 06時00分
» 《読書》博士の愛した数式:小川洋子著 [映画とアートで☆ひとやすみひと休み]
2月に、映画『博士の愛した数式』を見た。 見終わった途端、無性に原作を読みたくなって、自宅から一番近い区立図書館に行った。 館内パソコンで「博士の愛した数式」と入力し検索をかけてみたら、貸出中だったので予約を入れた。 予約者数25名。 私は図書館のカウンター..... [続きを読む]
受信: 2006年4月15日 (土) 18時16分
» NO.147「博士の愛した数式」(日本/小泉堯史監督) [サーカスな日々]
丁寧に丁寧に、書き言葉が話し言葉に、
置き換えられていく。
小説を原作にした映画作品は多くあるが、僕は、ここ数年の邦画で、これほど原作がもっている気品を大切にしながら、当の作家も感動するような、映像化に成功した例を知らない。書き言葉を、話し言葉に。それは、簡単なように見えて、そうではない。また、季節や、背景や、小道具や、つまりあらゆる舞台装置を小説家は読者にイメージ化させようと文章で工夫する。映画は、映像で、�... [続きを読む]
受信: 2006年5月15日 (月) 20時46分
» 博士の愛した数式/小川洋子 [文学な?ブログ]
この瞬間を懸命に生きることの大切さを博士は教えてくれました。たとえ記憶は80分しか続かなくても、人の心に幸せを残し、その瞬間に存在した証を残すことはできます。
数学者であった博士とその家政婦の母子が交流を深めて行く心温まる物語です。淡々と過ぎる日々の中で、些細な事件に苦悩したり、喜びを感じたりながら、母子は徐々に博士のことを理解してゆきます。その関係はとても微笑ましく美しいものです。
物語の随所に登場する数字や数式は確かに面白く、家政婦同様に私も新しい発見をした気持ちになりました。本を閉... [続きを読む]
受信: 2006年7月 8日 (土) 12時23分
コメント
kimionさんコメントありがとう
確かに、吉岡のたどたどしい口振りでの、ストーリー展開は、懐かしさを感じましたね。
投稿: ケント | 2006年5月23日 (火) 20時39分
TBありがとう。
導入の、吉岡君の、数学をめぐるお話。この組み立て(脚本)が、成功の理由だと思いました。
投稿: kimion20002000 | 2006年5月23日 (火) 15時18分