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2006年2月11日 (土)

ミュンへン

★★★★

 ミュンへンオリンピックで実際に起こった、パレスチナゲリラによる『イスラエル選手団襲撃事件』を題材とした重い作品である。監督はご存知S・スピルバーグであるが、彼はジョーズやE・T、未知との遭遇、宇宙戦争、ジュラシックパークなどのエンターティンメント作品で有名である。ところが、反面『シンドラーのリスト』や『プライべート・ライアン』などの重厚な作品も手がけているのだ。なんと懐の広い監督なのかと、つくづく感心してしまうが、もしかすると日本が誇る黒澤明監督と同じような道を選んでいるのかもしれない。
Photo_15  タイトルの『ミュンへン』から想像すると、オリンピック宿舎でのテロ事件を、詳しく描いたドキュメンタリーなのかと想像してしまうが、実はそれは単なる「きっかけ」に過ぎなかった。その事件後の「ユダヤ人達の報復」が、中心的テーマとなっているのである。
 そしてイスラエルの機密情報機関である「モサト」が、その報復を企てたという、もの凄い設定なのである。しかもそれが真実であると言う。まさに戦争である。
 しかし良くこのような赤裸々な映画が、公開されたものだと、改めてアメリカという国の大きさを感じざるを得なかった。事実この映画はパレスチナからも、イスラエル側からも非難を受けているという。まさに命を張ってこの映画を製作した、スピルバーグ監督の勇気には敬意を表したい。そして3時間近い大長編にも拘わらず、全く退屈することなく、あっという間に終らせるカ量にも唸ってしまった。
 ただ日本人には、なかなかこの作品の意図するところは見えてこないだろう。それはアラブでの宗教感やユダヤ人の根底に渦巻く『愛国心』というか、『背負ってきた歴史の重さ』を理解することが出来ないからかもしれない。正直に言うと、私もその1人だからだ。従ってこの作品から感動を生むこともなかった。そこが『シンドラーのリスト』や『プライべート・ライアン』とは異なるところであろう。

 たとえ国家が支援し、保証したとしても、また壮大なる愛国心や宗教心を持ってしても、『人が人を殺戮すること』を、正義と主張することは出来ないだろう。自分が自分の家族を大切に思うと同時に、殺害された者の家族も大切なのではないのだろうか・・・・
 
 

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コメント

TBありがとうございました。
この重い内容でこんなにもヒットする作品を作るのはやっぱりスピルバーグってかんじしました。

投稿: wakana | 2006年2月12日 (日) 17時55分

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