スタンドアップ
★★★★
『ノース・カントリー』というタイトルが原題のようである。オープニングは、シャーリーズ・セロン扮するシングルマザーが、タイトル通りの北国の田舎町にある実家に、子連れで帰ってくるシーンから始まる。 そして生活のため收入の良い鉱山で働くことになるのだが、そこは男の職場であり、数々のイヤガラセやセクハラを受けることになる。しかもそこでは、彼女と仲の悪い父親も働いていて、彼にも「早く辞めろ」と文句を言われる始末。また長男サミーの父親が誰なのかも不明で、小さな町の中ではアバズレ女のレッテルを貼られてしまう。 八方塞がりの彼女だが、もと組合代表のグローリーと、その旦那だけは彼女の味方であり、元アイスホッケーの選手で弁護士のビルを紹介される。 鉱山でのたび重なるイジメに耐えきれず、彼女は町中を敵にしたまま、とうとう会社を訴訟することになる。そして法廷で意外な真実が明かされることに・・・ この作品は実話をもとにして、作られた映画だという。本来とても不幸で暗いお話のはずだが、話の断片で流れるカウントリーロックのリズムが、中和剤の効果を発揮したのか、余りジメジメした感じがしなかった。 この映画は男の職場に働く女性達が、いかに辛い思いをしながら耐えているかを、これでもかという感じで描いている。また心ないセクハラを受けないために立ち上がり、戦う勇気を持つことの必要性も訴えていた。ただあの執拗で過激過ぎる会社ぐるみの、いじめやセクハラが本当にあったのか、それとも映画を判り易くするための演出なのかは、時代背景やお国柄を知らない私には理解出来なかった・・・ この映画のひとつのハイライトは、予告編にもあった組合集会での、今まで冷たかった父親の、堰を切ったような発言だ。このシーンでは、きっと多くの観客が涙するだろう。しかし本当のクライマックスは、法廷で彼女が真実の過去を証言してからなのだ、そして『スタンドアップ』というタイトルの意味も明かされることになるのである。 女性の監督ということもあってか、この作品の底流に、『母の子供に対する愛情の深さ』を感じた。それにしてもこの邦題は、なかなか味のあるよく出来たタイトルである。
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» スタンドアップ/North Country [マジック・映画について思うこと]
日本公開された「スタンドアップ」観てきました。
全米で初のセクハラ訴訟を取り扱った実話がベースだと聞いていて、公開を楽しみにしていました。
アメリカ北部、五大湖の西岸にミネソタ州という州があります。厳しい冬で有名な州ですが、映画の舞台はそのミネソタ州の炭鉱町です。... [続きを読む]
受信: 2006年1月19日 (木) 21時53分
» 「スタンドアップ」 [blue world]
監督ニキ・カーロ 製作ニック・ウェクスラー 脚本マイケル・サイツマン 音楽グスターボ・サンタオラヤ 原作クララ・ビンガム ローラ・リーディー・ガンスラー 主演シャーリーズ・セロン フランシス・マクドーマンド シシー・スペイセク ウディ・ハレルソン ショーン・ビ..... [続きを読む]
受信: 2006年1月19日 (木) 21時53分
» 『スタンドアップ』 [京の昼寝〜♪]
力もない。自信もない。味方もいない。それでも、立ち上がってみようと思った。
■監督 ニキ・カーロ■脚本 マイケル・サイツマン■キャスト シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、ショーン・ビーン、シシー・スペイセク、リチャード・ジェンキンズ□オフィシャルサイト 『スタンドアップ』 子供を連れて故郷に帰ってきたジョージー。 ... [続きを読む]
受信: 2006年1月19日 (木) 22時44分
» スタンドアップ NORTH COUNTRY [travelyuu とらべるゆう MOVIE]
シャーリーズ・セロン主演
ジョージ(シャーリーズ・セロン)は法廷で戦う
この後、多くのセクハラ裁判で女性が勝つようになった実話だそうです
ジョージは着のみ着のまま 北に向かいます NORTH COUNTRY
家庭内暴力から逃げミネソタ田舎町の両親の元へ帰って来ました
両親はそれを快く思わず 父親も判らず子供を生んだジョージに
辛くあたるのです ジョージにはサミーとカレンのふたりの子供がいます
小さな田舎町の事ですから あらぬ噂もたてられます
そこで ジョージに救いの手を伸ばしたのが 幼馴染... [続きを読む]
受信: 2006年1月19日 (木) 22時49分
» 大切なものを守るために立ち上がった女性◆『スタンドアップ』 [桂木ユミの「日々の記録とコラムみたいなもの」]
1月16日(月)TOHOシネマズ木曽川にて
暴力の耐えない夫のもとから、二人の子供を連れて実家へ向かって飛び出したジョージー(シャーリーズ・セロン)。しかし、実家の父親は彼女を暖かく迎えてはくれなかった。早く自分の家を手に入れ、子供たちと三人の暮らしをしたいと...... [続きを読む]
受信: 2006年1月19日 (木) 23時11分
» スタンドアップ [きょうのあしあと]
\I stand with josey!\
http://wwws.warnerbros.co.jp/standup/
監督:ニキ・カーロ
出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、ウディ・ハレルソン、他
劇場:川崎チネチッタ
1989年、ミネソタ北部で起こった実話に基づいた物語。夫からの家庭内暴力に疲れ果て、二人の子供をつれて故郷のミネソタの町に帰ってきたシングルマザーのジョージー(シャーリーズ・セロン)。だが、彼女の過去にまつ... [続きを読む]
受信: 2006年1月20日 (金) 00時15分
» スタンドアップ [tsublog@theatre]
NORTH COUNTRYどうしよう、涙が止まらない![:悲しい:]
悔しくて、悔しくて、寂しくて・・・
まず、この映画の原作「Class Action: The Story of Lois Jenson and the Landmark Case That Changed Sexual Harassment Law」(集団訴訟―セクハラと闘った女たち:和書)の当事者ロイス・E・ジェンセンの勇気と忍耐に拍手。
原作を読んでみようかと思ったけれども、実際のLois E. Jenson v. ... [続きを読む]
受信: 2006年1月20日 (金) 01時04分
» 『スタンドアップ』 [異国映画館]
2005年
アメリカ
公開日:2006/01/14
劇場鑑賞06/01/01
nbsp;
スタンドアップ
監 督
:
ニキ・カーロ
脚 本
:
マイケル・サイツマン
... [続きを読む]
受信: 2006年1月20日 (金) 01時42分
» 『スタンドアップ』評価:☆☆☆☆シネマ [へんじゃぱサンデー]
評価:☆☆☆☆シネマ [続きを読む]
受信: 2006年1月20日 (金) 06時05分
» 『スタンドアップ』(試写会)・・・・・・・・・・・・・・・・・この邦題はお見事! [☆お気楽♪電影生活☆]
昨晩、試写会にて『スタンドアップ』を観てまいりました。
今年最初の劇場公開作品です。 [続きを読む]
受信: 2006年1月20日 (金) 09時50分
» スタンドアップ [Lovely Cinema]
2005/アメリカ
監督:ニキ・カーロ
出演:シャーリーズ・セロン
エル・ピーターソン
トーマス・カーティス
フランシス・マクドーマンド
ショーン・ビーン
ウディ・ハレルソン
観ていて超ムカつく!![:怒りマーク:] おもわず前の座席をケリながら観てました[:汗:] もちろん前の席には誰もいませんでしたが[:たらーっ:]
2006/1/14 映画館にて鑑賞 ★★★
以下、ネタバレ感想... [続きを読む]
受信: 2006年1月21日 (土) 00時21分
» スタンドアップ(映画館) [ひるめし。]
私なんか、と何度も思った。お前なんかと、と何度も言われた。
それでも、立ち上がってみようと思った。
CAST:シャーリーズ・セロン/フランシス・マクドーマンド/シシー・スペイセク/ウディ・ハレルソン/ショーン・ビーン 他
■アメリカ産 124分
いや〜またシャーリーズ・セロンに泣かされてしまった。惜しくもゴールデン・グローブ賞は逃したものの、素晴らしい演技に引き込まれて最初の登場シー�... [続きを読む]
受信: 2006年1月22日 (日) 14時54分
» FUN … 『スタンドアップ』 [FUN×5 ~五つの楽(fun)を探して~]
「立ち上がる勇気、そして…」 [続きを読む]
受信: 2006年1月22日 (日) 22時25分
» スタンドアップ [あんと夢子のス・テ・キ!なダイエットライフ]
原題は North Countryです。
実話に基づいて作られていて、エンドロールでこの映画を
鉱山で働き、女性の権利を勝ち取ったすべての女性にささげます・・
と、流れます。
いいです。この映画。
最初は期待しないで見に行ったのです。
だって、チラシに写ってる女性の顔って
全然魅力を感じないでしょ。
映画の基本は、いい男、いい女のかっこいいところを見に行く!
というスタンスの夢子として�... [続きを読む]
受信: 2006年1月22日 (日) 23時31分
» 『スタンドアップ』 [Aliiyブログ]
モンスター 通常版
『Aliiy』編集部のナオです。
お待たせしました!
『Aliiy』の人気コーナーシネマdeキレイが本日更新しました。
今回は『スタンドアップ』をピックアップしています。
『モンスター』でアカデミー主演賞を獲得した、シャーリーズ・セロンの主演作。
強くたくましく、正義に向かって闘う女性を演じています。
社会で働くときに、女性がまだひどい差別を受けていた頃。
男女平等を訴え、女性の働く場所を確立するために、権利を勝ち取... [続きを読む]
受信: 2006年1月25日 (水) 17時55分
» スタンドアップ(North Country) [わかりやすさとストーリー]
●人生を描く硬派作品●父と娘。母と息子。シングルマザーがけっしてめずらしくないコミュニティにあって、主人公ジョージーが10代でシングルマザーとして子供を産んで育てる決心した真の意味を知ったとき「感動」という波が押し寄せる。... [続きを読む]
受信: 2006年1月27日 (金) 11時21分
» スタンドアップ(2005米) [WAKOの日常]
「クジラの島の少女」の女性監督による、職場セクハラを題材にした女性の映画。シャーリーズ・セロン主演なので飛びついて観にいきました。
ジョージー(シャーリーズ・セロン)が法廷で証言としての回想から展開します。夫の暴力から逃れ、故郷で鉱山の仕事を始めるが、まだ女性の権利が確立されいなかった頃。嫌がらせやセクハラに合い、ひとり立ち上がるお話。また後半の答弁で、彼女は高校教師にレイプされ長男を産んだことが明らかになります。これだけの不幸に見舞われても、大事に子供2人を育てるジョージー。すごいと思い... [続きを読む]
受信: 2006年2月 6日 (月) 09時26分
» NO.159「スタンドアップ」(アメリカ/ニキ・カーロ監督) [サーカスな日々]
シャーリーズ・セロンはハリウッドの、
ゴシップや乱痴気騒ぎや虚飾には染まらない。
シャーリーズ・セロンという女優は、僕たちが漠然と想像する、ハリウッド・スターという枠組みから、はみ出している。
美貌に関しては文句のつけようがない。初期の作品では、見事な脱ぎっぷりも披露してくれた。ひとつのスターの入り方だ。
ハリウッドからのオファーが殺到するようになると、慎重に脚本を選ぶようになる。これも、知性的�... [続きを読む]
受信: 2006年7月 9日 (日) 12時40分
» スタンドアップ/シャーリーズ・セロン [文学な?ブログ]
鉱山でのセクハラと戦った女性職員を描いた作品です。日本でも女性差別は未だ解消されたとは言い難い状況ですが、この物語も比較的最近の実話を基にしたものです。
ジョージー(シャーリーズ・セロン)は、夫の暴力から逃れるために離婚し、子どもを養うために鉱山で働く決意をします。しかし、そこに待っていたのは男性鉱夫たちからのセクハラでした。男性からすれば、女性が活躍するほど自らの職を奪われる危険もあったかもしれませんが、見るに耐えない下品な嫌がらせが繰り返されます。
他の女性たちは、セクハラに立ち向か... [続きを読む]
受信: 2006年7月10日 (月) 00時23分
» 映画鑑賞感想文『スタンドアップ』 [さるおの日刊ヨタばなし★スターメンバー]
さるおです。 『NORTH COUNTRY/スタンドアップ』を観たよ。 監督は『WHALE RIDER/クジラの島の少女』のニキ・カーロ(Niki Caro)。 原作はクララ・ビンガム(Clara Bingham)とローラ・リーディ・ガンスラー(Laura Leedy Gansler)。 出演はのシャーリーズ・セロン(Charlize Ther..... [続きを読む]
受信: 2006年9月26日 (火) 20時41分
» 『スタンドアップ』・試写会 [しましまシネマライフ!]
今日は某テレビ局で当選した『スタンドアップ』の試写会に行ってきた。 《私のお気に入り度:★★★★★》 [続きを読む]
受信: 2006年10月 1日 (日) 21時38分
コメント
kimion20002000さん、いつもコメントありがとう。この炭鉱会社はいつの間にか女性がトップになっていたのですね。
投稿: ケント | 2006年7月22日 (土) 22時52分
TBありがとう。
やはり、この炭鉱でのセクハラお数々は、ほとんど実話に基づいているようですね。
この炭鉱会社の現在は、女性CEOで、解説にも出てきていましたが、現在でも、まだまだ闘って行かなければいけないといったことを、経営サイドからも発言していましたね。
投稿: kimion20002000 | 2006年7月17日 (月) 01時14分
>グローリーは、なんとなく賠償美津子のような感じがしました。とても良い友人ですよね。
お返事
グローリーみたいな友人、いないですよね。
実在の人物でしょうか・・そして今は生きていらっしゃるのでしょうか・・
それが知りたいです。
こちらからもトラバ頂きますね。
投稿: 夢子 | 2006年1月22日 (日) 23時30分
ケントさん、こんばんは。
TBさせていただきました。
いやはや本作は期待以上の出来で大大大満足なのでした☆
やっぱり「ニキ・カーロ」監督はイイっす!
これからにも期待大ってなとこですかね!!
では、またです♪
投稿: purple in sato | 2006年1月22日 (日) 23時14分