完全犯罪

著者:小林泰三

 本書には50頁程度の独立した短編が5作掲載されている。タイトルから想像するとミステリー小説のように感じるのだが、ミステリーのほか、SFありホラーあり怪奇ありと、そのポケットの多さに感心してしまうだろう。

 さてではその5話に分類して、それぞれのレヴューを簡潔にまとめてみようか。
1.『完全・犯罪』
 本編を読むために本書を購入したのだが、なんとこの作品はミステリーではなく、SF小説なのである。つまりタイムマシンを使って過去に行き、憎いある人物を殺せば、その人物は現代には存在しないことになる訳であり、完璧な完全犯罪を実行できると言うのである。
 ところがなかなか思ったようには事が進展しないのである。そこで焦った主人公が過去の過ちを修正しに過去に戻るたびに、何人もの自分と遭遇してアタフタする。
 そして「過去は変わらないが未来は変わる」という論理の渦に巻き込まれて、SFなのかギャグなのか意味不明となってしまうのだ。なんとなく前半は広瀬正で後半のドタバタは筒井康隆を思わせる一遍である。

2.『ロイス殺し』
 海外が舞台で、作風もまさに外国の小説のようだが、作者は間違いなく小林泰三である。またロイスというと女性のように感じるのだが、実は主人公が少年時代に苛められた悪い男の名である。さらにロイスは主人公が好きだった美しく優しい少女のことも弄んで殺害しているのだった。
 だから主人公は大人になっても、ずっと彼を追い求めて復讐の牙を研いでいた。そしてついに密室でロイスは殺されるのだが、その手口がいやにまどろっこしいのだ。
 むしろ誰もいない砂漠にでも行って、後ろから撃ったり刺したりしたほうが余程簡単で足が付きにくいのに、なぜ人が大勢集まるホテルで面倒なトリックを使って殺害したのだろうか。つまりこの密室ミステリーを創るために、無理矢理創ったストーリーだからさ、ということなのだろうか・・・。

3.『双生児』
 一卵性双生児で親も見分けが付かない姉妹がいた。だから二人が時々入れ替わっても二人以外は誰も気付かない。では自分とは何か、果たしてアイデンティティーは存在するのか。それが犬の場合は単なる記号の読み違いで済まされるのに、人の場合は許されないのだろうか。
 ではもし彼氏が自分と間違えて妹と付き合ったらどうなるのだろうか。などなどネチネチとした双子の悩みを執拗に綴ってゆく。なんとなく江戸川乱歩を髣髴させる作風ではないか。

4.『隠れ鬼』
 前半、河川敷で偶然目が合ったホームレスにしつこく追いかけられる恐ろしい展開は、まさにホラーそのものである。だがその謎が少しずつ解明されるにつれ、だんだん不条理であり得ない世界に嵌まってゆく。ラストの展開がちょっぴり投げやりではなてかと感じたのは私だけであろうか・・・。

5.『ドッキリチューブ』
 いわゆるネット版の「ドッキリカメラ」なのだが、「ドッキリ」の看板を免罪符に果てしなくエスカレートする番組制作者の暴走を描いた狂作?である。本編にもなんとなく筒井康隆の世界観が臭ってくる気がするのは、果たして私の考え過ぎだろうか・・・。
 また本編はフジテレビの『世にも奇妙な物語』の一遍として放映されたようである。まあまさに奇妙な話そのものだね。

評:蔵研人

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2020年3月24日 (火)

テセウスの船

★★☆

 日曜の夜10回に亘って放映された『セテウスの船』がやっと最終回を迎えた。東元俊哉による原作マンガは未読だが、その結末についてはネットで拡散しているため殆どの人が承知しているはずである。だから原作とTVドラマには最終犯人をはじめとして、いろいろと相違点が多いことも周知の事実であろう。
 そこで原作からのネタバレを恐れ過ぎたのか、あるいはお茶の間ドラマの雰囲気に拘り過ぎたのか、余りにも辻褄が合わない脚本に失望してしまった。そしてうたい文句のSFミステリーを逸脱して、なんと家族愛に溢れたホームドラマに落ち着いてしまったのである。またタイムトラベルものとしても、ラストの結末がパラレルワールドだということ以外は、ほとんど体をなしていないし、あの『JIN仁』の足元にも全く及ばない。

 ただ最終回に至るまで、かなりの高視聴率を稼いだことだけが、TV局としての大成功と言って良いだろう。確かに5話くらいまでは、次回はどうなるのだろうかと、視聴者たちが期待に胸を膨らませる展開だった。しかしその手法が余りにも単調でしつこ過ぎて、だんだんイライラが募ってきたことも否めないはずである。

 きっとこいつが真犯人だろう、と思わせぶりな展開が何度も繰り返されていくうちに、だから逆にこいつは犯人ではないだろうと推測してしまう。ところがギッチョン。最終回では、まさかこんな奴がこんな動機で、あれだけの犯罪を犯すのだろうか、という結末に遭遇してしまう。これには驚くより呆れてものも言えなかった。
 これはアッと驚く結末でもどんでん返しでもない。散々犯人らしき人々をバラまき散らした上に、全てお見通しで先回りする頭脳抜群の犯人を臭わしておきながら、実はこんなオトボケ男が犯人だというのだ。
 これではさんざん好き勝手な展開を繰り返しておいて、実は夢でしたという「夢オチ同様の反則技」であり、無理矢理ザ・エンドにしてしまった感も拭えない。さらに生意気で大人顔負けのワルだったみきおが、急に誠実な子供に逆戻りというのも全く納得できない。

 バカにするのもいい加減にしてくれ!10週間もの間さんざん引っ張り続けて、多くの視聴者の貴重な時間を無駄に使わせやがって、と怒涛の如く怒りをぶちまけたくなる。そしてあっという間に家族全員が幸せいっぱいのハッピーエンドとは、視聴者全員がコケにされたようなものではないか。

 とにかくハラハラドキドキではなく、イライラダラダラの蔓延したドラマだった。また主人公が勿体ぶってなかなか真実を語らないため、状況は増々悪化してゆくばかり。さらに主人公と一緒に過去に戻ったと思われる大人のみきおは、その後一切登場しない。それなら彼は何のため登場したのだろうか。いずれにせよ、不要なものが延々と登場し、必要なものが歯抜けになっているという超ムカつく展開に終始していたドラマだった。

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2020年3月20日 (金)

時をかけたいオジさん

★★★
著者:板橋雅弘

 タイトルやカバーイラストを見れば、誰でもあの名作『時をかける少女』を髣髴してしまうだろう。そして少女がオジさんに代わったパロディ版の『時かけ』なのだろうと想像するはずである。
 ところがぎっちょん、主人公のオジさん西東彰比古自身がタイムリープする訳ではないのだ。タイムリープするのは、彼の初恋の人で高校時代に同級生だった時岡留子なのである。
 
 その留子は謎の転校生として突然16歳の彰比古の前に現れ、ある事件を解決するといつの間にか消えてしまう。そして次は16歳のまま突如46歳の彰比古の前に現れるのである。
 年を取らない彼女は一体何者なのか、そしてどこからどんな目的をもって現れたのであろうか。それをバラせばこの小説の旨味は半減してしまうので、ここでは秘密にしておこう。

 文字が大きくてストーリー展開がテキパキしているので読み易く、あっという間に読了してしまった。また過去と現在を行ったり来たりするので、なかなか興味深かったのだが、途中から急に荒唐無稽でマンガチックな展開に染まってしまったのは筆不足かも・・・。ただラストのまとめ方だけは、そこそこ味わい深かったよね。

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2020年3月17日 (火)

アラジン

★★★★☆

製作:2019年 米国 上映時間:128分 監督:ガイ・リッチー
 
 アラジンが主役ということは間違いないのだが、エンディングクレジットに最初に記されているのは、ランプの精を演じたウィル・スミス であるところが面白い。そう言えば、オープニングでなんとなく想像できるのだが、このランプの精こそ裏の主人公なのかもしれない。

 また本作はアニメではなく、CGをふんだんに交えた実写映画であり、アニメのほうを観ていない私的にはかなり満足の出来る素晴らしい仕上がりだと感じられた。ただ一部のアニメファンからは、「残念ながらアニメを超えられなかった」という声がいくつか聞こえた。ふ~ん、そんなに凄いアニメだと言うのなら、近いうちにレンタルしてみようじゃないか・・・。

 まあいずれにせよ、笑いと涙にまみれ、歌あり踊りあり、悪役と正義の対立、さらにゴージャスで楽しさ満杯と、ディズニー映画の王道は全てクリアしている。だから子供たちと一緒に観るには最高の映画ではないだろうか。

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2020年3月14日 (土)

ライオン・キング

★★★☆

製作:2019年 米国 上映時間:119分 監督:ジョン・ファヴロー

 実写映画化という触れ込みだが、正確には『より実写に近いCGアニメ』と言えば良いだろう。それにしても良くできたCGである。動物たちが人語を喋ったり、歌ったり、ドラマを演じていなければ、まさに『アース』のようなネイチャー・ドキュメンタリーそのものではないか。
 もちろんこの映画の最大の見どころも、この実写のようなCGの完成度にある。そして実写に限りなく近づくことによって、前作のアニメ版をしのぐ威厳と説得力がもたらされていると言えよう。

 アフリカのサバンナには、偉大なる王であるライオンのムファサが君臨していた。妃のサラビとの間に生まれた長男シンバのお披露目に、さまざまな動物たちが誕生の儀式に集まってくる。そして動物たちが、ヒヒの祈祷師ラフィキがささげる将来の王シンバに深くこうべを垂れるところからはじまる。

 だが平和なサバンナにも、暗雲が立ち込める。王になれないことに不満を持つムファサの弟スカーが、シンバの誕生を苦々しく感じハイエナたちを使って王位略奪を企むのである。そしてある日陰謀が実行されるのだった。
 まあ大体この後の展開は誰にでも想像できるであろう。そう父を殺されて、王位を略奪され追放されたシンバが成長し、見事父の仇を討ってサバンナの王になるまでが描かれるのである。

 それにしても今更だが、本作は手塚治虫の『ジャングル大帝』にそっくりではないか。たぶん手塚自身が生きていたとしても、ディズニーファンだった彼は、ニヤリとするだけで文句は付けないような気がするのだが・・・。
 ディズニー側はあくまでもオリジナリティーを主張し、我々は『ジャングル大帝』も手塚治虫も知らないと言っているらしい。だが過去に米国でも『ジャングル大帝』が放映されているし、アストロボーイ(鉄腕アトム)の手塚を知らないアニメーターがいること自体が信じ難い。

 もちろんパクリとは言わないが、本作が『ジャングル大帝』を参考にしたことは想像に難くない。少なくとも手塚治虫に対する「オマージュ作品」として製作して欲しかったのだが、それはディズニー側のプライドが許さなかったのだろうか。
 ところで本作には人間が全く登場しない。実はそのストーリー構成こそが、ディズニー側がオリジナルだと言い張るための、『ジャングル大帝』との棲み分け手法だったのかもしれない・・・。

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2020年3月10日 (火)

ふりだしに戻る

★★★☆
著者:ジャック・フィニイ 翻訳:福島 正実

 イラストレーターのサイモン・モーリーは、ニューヨーク暮らしにうんざりしはじめていた。そんなある日に、政府の秘密プロジェクトの一員を名乗る男が訪ねてくる。このプロジェクトの目的は、選ばれた現代人を、過去のある時代に送り込むことだった。そしてサイモンは、『青い手紙』の謎を解くために過去に旅立つことになる。

 ここまで書くとなんとなくSF小説のようだが、だが過去に跳ぶ方法はタイムマシンではない。実は過去そっくりに創られたセットの中で、過去の服装をして、自己催眠をかけるようにして過去に行くのである。
 この方法はリチャード・マシスンの『ある日どこかで』と全く同じ方法である。もちろん本作のほうが少し早く出版されているので、『ある日どこかで』のほうが真似たのかもしれない。いずれにせよ『ある日どこかで』同様、SFというよりはラブファンタジーとして分類したほうが適切だろう。
 
 本書が古典的な名作であることは間違いないのだが、1880年代のニューヨーク風景が延々と綴られるので、ニューヨークをよく知らない者や興味のない者にとってはかなりの苦痛となるはずである。かくいう私も、途中何度もこの本を投げたくなったものだ。
 広瀬正の書いた『マイナス・ゼロ』というSF小説がある。こちらはタイムマシンで昭和初期に跳び、古き良き東京の風景と人情を描いているのだが、昔の東京を知っているためか、懐かしくてなかなか味わい深かい作品であった。おそらく本書の風景描写も、古きニューヨーカー達にとっては、同様の気分を味合わせてくれる嬉しい描写なのかもしれない。

 さて本書は、上下巻それぞれ350頁程度ある長編小説なのだが、上巻は先に述べた通り古き良きニューヨーク風景描写に終始していて、ニューヨーカーでない我々日本人には、かなりの忍耐力が要求されるだろう。だが下巻になると、やっと登場人物間の会話や心理描写が介入しはじめて、俄然ストーリーもメリハリを帯びてくる。そして下巻の135頁頃からは、火災脱出や逃亡劇などのアクションシーンの応酬で息つく間もなく、やっと面白さが暴発するのだ。そしてそこからは、ホップ・ステップ・ジャンプで、一気にラストまで読み込んでしまうはずである。

 と言いながらも、相変わらず執拗に古きニューヨークの描写は途切れない。ほんとうにこの著者は、古きニューヨークにのめり込んでいるのだと、感心したり呆れてしまうのだが・・・。ただ写真やスケッチ、あるいは当時の新聞記事などを巧みに利用してマンネリ化を防止している。これは実に見事な創作手法ではないか!。ただあの傷んだ写真や絵は、一体誰がどこで手に入れたのかが気になるところである。

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2020年3月 6日 (金)

時の添乗員

★★★☆
作者:岡崎二郎

 一話完結型のショートストーリーなので、毎回登場するのは狂言回しを務める『時の添乗員』だけである。2000年から約1年間にわたりビッグコミック増刊号で掲載されている。その後コミックスとして発売されたのだが、「第1巻」の表記があるものの、なぜか第2巻以降は発売されていないのが残念である。

 内容はつぎの短編で構成されている。
第1話/あの日への旅立ち 初恋の人を訪ねて
第2話/消えた証拠     犯人の正体を捜して
第3話/交換日記      日記の隠し場所は
第4話/藤子像        裸婦像の真実は
第5話/結婚指輪      消えた指輪を探して
第6話/恩人         本当の恩人とは
第7話/赤富士の赤     父親の優しさとは
第8話/時を旅する者    時の添乗員の正体は

 どのお話も『時の添乗員』が300万円で、「行ってみたい、戻ってみたい過去」に、タイムマシンで連れて行ってくれるという展開なのだが、その全てが心温まる優しさに溢れている。時の添乗員はどこで「雇い人」と遭遇したのか。そして彼にタイムマシンを与えた「雇い人」とはいったい何者なのか。謎が解かれないままで終わっているのは、良いのか悪いのか・・・。

 全般的に柔らかいタッチの絵が、ストーリーの優しさに共鳴していて、ほんわりとした雰囲気を醸し出している。ただ登場人物のどの顔も同じような絵柄なのは、ちょっぴり残念かもしれない。また今更絶対に無理な注文だと思うが、第2巻以降の発売を期待したいものである。

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2020年3月 3日 (火)

大相撲の経済学

著者:中島隆信

 大相撲について記された書籍は山ほどあるが、経済学的な見地から綴られた書籍は本書が初めてではないだろうか。著者の中島隆信氏は、慶應義塾大学の商学部教授で商学博士である。だからと言って決して堅苦しい書籍ではなく、誰が読んでも分かり易く平易な文章で綴られている。また若かりし頃に大の相撲ファンだったこともあり、大相撲に対するひたむきな愛情がひしひしと感じられたのも清々しい。

 その内容については、12項目に整理され次のような構成となっている。
第1章 力士は会社人間
第2章 力士は能力給か
第3章 年寄株は年金証書
第4章 力士をやめたら何になる?
第5章 相撲部屋の経済学
第6章 いわゆる「八百長」について
第7章 一代年寄は損か得か
第8章 外国人力士の問題
第9章 横綱審議委員会の謎
第10章 特殊なチケット販売制度
第11章 角界の構造改革
終 章 大相撲から見る日本経済

 まず著者は大相撲を純粋なスポーツとは切り離して、どちらかと言えば歌舞伎などの「伝統芸能」と同列にみなしている。従って伝統的文化を維持するためには、大胆な改革をしたり全てをオープンにすべきではない、さらに場合によっては八百長も必要悪であると考えているようだ。
 そう考えれば、かつて大相撲改革を唱えていた貴乃花親方が、協会内部で支持されなかった理由も理解できる。また最近は八百長全面撤退の見返りで、毎場所怪我人が多発し休場者頻発の現状をみると、八百長とは言わないが、ある程度の馴れ合いは必要悪なのかもしれない。

 さて力士たちは、厳しい鍛錬を続けなくてはならない割に、他のスポーツと比べて報酬が少ないようである。これは横綱から十両までの報酬が他のスポーツほど極端に差別化されておらず、引退後も年寄株を取得することにより生活の保障が担保されている、などのサラリーマン的システムとして保護されているからだという。

 ただ厳しい修行を押し付けられる割には、アメリカンドリームのような一攫千金的な夢がない。従って運動能力のある日本人は、別のスポーツに吸収されてしまうようだ。
 ところがモンゴルなどの開発途上国の所得水準は日本に比べて遥かに低いため、大相撲の報酬でも自国で運用すれば、天文学的な金額となる。だから有能な人材が続々と日本の大相撲に流れ込んでくるのだ。
 
 と言うようなことを、分かり易くかつ論理的に説明してくれるので、なるほどと感心してしまうし、読み物としても実に面白いのである。少しでも大相撲に興味のあるサラリーマンなら決して損がないので、是非一読してみようではないか。

作:蔵研人

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2020年2月27日 (木)

カイジ2 人生奪回ゲーム

★★★

製作:2011年日本 上映時間:133分 監督:佐藤東弥
 
 第一作はいくつかのゲームと地下での生活など、そこそこ変化があった。ところが本続編に関してはは、大型パチンコゲームだけに特化し過ぎて、退屈感とくどさに塗られてしまったようだ。
 それにしてもカイジのお人好し的な甘さは、「アリエネー!」と叫びたくなるほどイライラするのだが、原作のマンガでも同様なのだろうか。いずれにせよ、いかにもマンガチックな展開が鼻につく。まあ「それが売りなのだ!」と言い返されれば、それまでなのだが・・・。

 まあ決してつまらない映画ではなく、そこそこ面白いので時間つぶしに観るには問題ないだろう。それにしても藤原竜也君は、香取慎吾や大野智同様、マンガチックな作品が素晴らしく似合う俳優だよね。

評:蔵研人

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2020年2月23日 (日)

時の扉とシンデレラ

★★★☆
著者:ヴィクトリア・アレクサンダー

 なんともくすぐったい様なロマンチックなタイトルではないか。それもそのはず、本書はハーレクイン文庫エロティック・コンテンツであり、著者はこれまでに20作以上のヒストリカル・ロマンスを世に送りだしている売れっ子女性作家なのである。
 さてハーレクインには、次のお約束があることはご存じだろうか。
1.どんな作品も必ずハッピーエンドで結ぶ
2.ヒロインは基本的に前向きで、美しさと強さを兼ね備えた女性であること
3.ヒーローは当然ハンサムで、財力・権力・知力のいずれも申し分のない男性であること
 つまり王道のラブストーリーだからこそ、女性読者たちは安心してその世界に没頭し、疑似恋愛を楽しめるのであろう。だが男性たちには非現実でばかばかしい小説に映るかもしれない。ただタイムトラベルファンにとっては、ハーレクインにはそこそこ没頭できるタイムトラベルロマンスが多いので馬鹿にすることは出来ないのだ。もちろん本書も大いに楽しめるはずである。

 本作は1995年の米国で暮らし、恋に縁遠かった26歳のヒロイン・マギーが英国旅行中に、1818年の英国にタイムスリップしてしまうお話である。そしてそこで出会ったハンサムな伯爵と恋に落ちるという、よくありそうなお話なのだ。
 このお話でタイムマシンの役割を果たしたのは、霧のロンドンに現れたアンティークで魔訶不思議な雰囲気の馬車である。だがこの馬車がタイムスリップしたのは、1995年からピッタリ177年前ではなく、そこから1か月間前のロンドンだった。と言うことは、1か月後にまた同じ場所に馬車が現れて、マギーはまた元の世界に戻るという理屈になるのだろうか・・・。

 主な登場人物はヒロイン・マギーのほか、アダムこと第七代リッジフィールド伯爵とその妹リディアであり、バックグラウンドもほぼアダムの屋敷の中という構成になっている。もちろん舞踏会やそこで知り合った数人の男女との絡みもあるのだが、それらを全て加えても約10名程度の配役に過ぎない。まるで舞台劇のようなこじんまりした世界なのであるが、そのお陰で登場人物の名前が覚えやすかった。

 なにせエロティック・コンテンツと銘打っているのだから、エログロに落ちない程度の子細な性描写と、燃えるような恋心とドロドロした猜疑心の心理描写が延々と続いて行く。また「マギーは未来に戻るのか否か」もだんだん気になってくる。
 そしてラストの大団円では、きちっとタイムトラベルもののお約束を守ってくれたではないか。だから男性読者たちでも、たまにこんな恋愛小説を読んでも決して損はしないだろう。さらにもしリディアがヒロインとなる続編が創られれば、是非とも読んでみたいものである。

評:蔵研人

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2020年2月20日 (木)

羅生門

★★★★

製作:1950年日本 上映時間:88分 監督:黒澤明

 本作の脚本は、芥川龍之介の短編小説『羅生門』と『藪の中』を組み合わせて創られている。序盤とラストが『羅生門』で、その他は『藪の中』で構成されていると言って間違いないだろう。
 それにしても古びた羅生門が印象的であり、製作費の大半がこの門の製作費に充てられたとも言われている。また墨汁を混ぜたような黒い雨は、この作品を観る者の心の中にまで降り込んでくるようだった。

 登場人物は強盗の多襄丸(三船敏郎)、武士(森雅之)、その妻・真砂(京マチ子)、杣売り(志村喬)、旅法師(千秋実)、下人(上田吉二郎)、放免(加東大介)、巫女(本間文子)のたった8人なのだが、いずれも黒澤好みの個性的だったり芸達者な俳優ばかりで退屈しないのだ。
 この作品の主眼は、戦に明け暮れて荒れまくった平安京で生きる人々の荒んだ生き様と、当てにならない人の心の変遷を描いている。従って娯楽映画ではなく、どちらかと言うと芸術的な作品として分類できるだろう。そしてその証として、ブルーリボン賞脚本賞をはじめとして、ヴェネツィア国際映画祭やアカデミー賞など国際的にもかなり評価されているのだ。

 さて前振りが長くなったが、ざっとあらすじを述べてみようか・・・。
 強盗の多襄丸が森の中で縛りつけた夫の眼前で、その妻・真砂を犯し、挙句の果てに殺す必要のなかった夫を殺害してしまうという話なのである。ところが検非違使の前での多襄丸、真砂、殺された夫(巫女が再現)の証言が三者三様なのだ。これは法廷における当事者間で生じている利害関係の相反による供述の食い違いと考えればよいかもしれない。
 
 芥川龍之介の『藪の中』は、読者に結末を想像させるリドルストーリーだったが、この映画中では志村喬が演じる杣売りが、木陰で事件の全貌を覗き見ていたことになっている。つまりお白州での三者三様の証言は全てが嘘で、ラスト近くに杣売りによって真実の結末が語られるという構成になっているのだ。
 ただ杣売り自身もある罪を犯しており、その証言が真実かどうかが、また観客のほうに投げ返されている感がないでもない。そして本当のラストになって、それまでずっと暗くて陰湿だった展開にやっと終止符が打たれる。
 土砂降りだった雨も止み羅生門に光が射して、杣売りが赤子を抱えるラストシーンに、やっと観客も救われるはずである。・・・と善意に考えたいのだが、黒澤監督がどんな気持ちでこのラストシーンを挿入したのかは、最早誰にも分からない謎なのかもしれない・・・。

評:蔵研人

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2020年2月16日 (日)

さよならアリアドネ

★★★☆
著者:宮地昌幸

 ある日のことである。未来からやって来た中年女の”アリアドネ邦子”に、「このままだと最愛の妻に見捨てられて不幸のどん底に落ち込みますよ」と忠告される。また「それを阻止するためには、15年後の未来に跳んで、同じ8月23日を72回繰り返して、未来を変える方法を見つけるしかありません」とも断言される主人公の服部政志33歳であった。

 著者はあの『千と千尋の神隠し』の助手を皮切りに、数々のアニメを手掛けている宮地昌幸である。そして本作の主人公・服部政志もアニメーターという設定であり業界人も登場するので、もしかすると半分は自分自身の心境を描いた疑似私小説なのかもしれないね。

 前半は政志が四苦八苦して、同じ日を72回繰り返してなんとかハッピーエンドを迎える。そして邦子が2050年の未来に戻り、時空興信所長に「業務報告書」を提出する。かなり長い報告書なのだが、少し分かり難かったストーリー全体をまとめてくれたので助かった。ところがここまでで、まだこの小説の半分を消化しただけなのである。

 この後一体何があるのかと思っていたら、また過去に戻ってきた邦子が、政志の前でとめどなく泣き崩れてしまうのである。おいおい一体どうしちゃったの?と首をひねっていたら、今度は邦子の不幸な物語の幕開けであった。そしてその不幸を少しでも緩和するために、二人はタイムマシンで過去(邦子にとっては過去だが、政志には未来)へ跳んでゆくのであった。

 結局のところ本作は、政志と邦子の二人の不幸を阻止するためのタイムトラベル小説だったのだ。ただ前半の政志のタイムループ話は少し退屈であり、後半の邦子の過去改変のストーリーのほうが面白かった。ただ改変した過去とのタイムパラドックスについては、やんわりとパスしているのでかなり物足りないのが残念であった。

評:蔵研人

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2020年2月11日 (火)

淪落の人

Rinraku

★★★★
製作:2018年 香港 上映時間:112分 監督:オリヴァー・チャン

 アクション中心の香港映画としては珍しいヒューマンドラマである。それもあってか香港中を涙と感動で包み大ヒットを記録したという。もちろん日本でも、かなり評価は高いのだが、地味な創り方をしているせいか、今のところ上映が極端に少ないのが残念である。

 事故で下半身が動かせなくなったリョン・チョンウィンは、離婚することになり一人息子は妻と暮らしている。それで彼は公営住宅で、独り淋しく不自由な人生を送っていた。そんな彼の唯一の希望は、ネットで連絡を取り合っている息子の成長だけであった。
 また手助けしてれる友人のファイが時々訪ねて来てくれるものの、下の世話や食事の支度をしてくれる家政婦なしでは生活できない。だがこんな状況下では、なかなか長続きする家政婦がみつからないのだ。

 そんなある日、フィリピン人の住み込み家政婦エヴリンがやって来る。ただ彼女は広東語が喋れず、片言の英語でコミュニケーションを図るしかなかった。
 こんな状況下で、障害者と家政婦のギクシャクした生活が始まるのである。だが見かけは神経質で厳しいリョンだが、根は優しくて包容力があるので、エヴリンも少しづつ心を開いて行くのであった。だからと言って恋愛関係に発展するわけではなく、あくまでも人間同士の心温まる触れ合いに終始するところが心地よい。

 思わぬ事故で障害者となり、妻子と別れ、金持ちでもなく、希望もない主人公なのだが、絶望的な展開もなく、ストーリーも退屈しない。また香港に出稼ぎにやって来るフィリピン女性たちの生活実態を垣間見ることも出来る。決して楽しい映画でも痛快な映画でもないのだが、なんとなく心温まる不思議な肌触りを感じる作品であることは間違いないだろう。

評:蔵研人

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2020年2月 7日 (金)

人魚の眠る家

★★★★
製作:2018年日本 上映時間:120分 監督:堤幸彦

  原作は東野圭吾の小説であり、ミステリー含みの社会派ドラマといったところだろうか・・・。と言うのも、脳死判定と臓器提供の選択に、母親の狂気が絡んでくる、という実に重くて複雑なテーマに挑んでいるからである。

 幼い娘がプールで溺れて意識不明になり、医師に脳死を宣告されるのだが、ベッドで一瞬娘の手が動いたのを見てしまった母親が、延命治療を望むことになる。そして家庭で眠ったままの娘を介護する生活が始まるのだった。さらに父親が経営するIT企業で研究しているロボット開発の技術を利用し、電子操作で娘の体の一部を動かすことに挑戦する。果たして娘は回復するのだろうか・・・。

 と言った展開で、誰もが奇跡の回復を祈り願うのだが、いつの間にか母親のほうが眠り続ける娘に没頭し過ぎて、異常心理に陥ってしまうのである。このあたりの心理描写を、主演の篠原涼子が巧みに演じているところが、実に印象的であった。普段余り彼女の演技を観たことがなかったので、こんなに演技達者だったのかと感心してしまった次第である。 


評:蔵研人

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2020年2月 3日 (月)

七つの会議

★★★☆
製作:2018年日本 上映時間:119分 監督:福澤克雄

 結論から言えば、日本のサラリーマンたちを皮肉たっぷりに揶揄している作品である。なるほど銀行員であることに嫌気がさして、退職後見事小説家を勝ち取った池井戸潤の気分がぶちまかれている作品じゃないの。
 まあ実力はともかくとして、サラリーマンを廃業し売れっ子小説家になれて良かったね、と言うより幸せだよね・・・。ただ同じような気分でいても、毎日イライラしながら我慢と惨めに染まり、サラリーマンを続けざるを得ない気の毒な人々も大勢存在しているということも理解してあげてね・・・。

 さて本作は序盤こそ主人公・八角自身の謎と彼に絡んだ者達が左遷されてしまうという謎を追ってゆくのだが、本命は企業の不正隠しの根幹に迫ってゆくことである。ただタイトルの『七つの会議』が意味するものは一体何なのだろうか。

 映画の中での会議らしい会議は3~4回程度しか行われず、タイトルが意味するところと食い違っているではないか。実は原作は映画と違って、8篇の短編小説の集合体で構成されている。そして最終編はエピローグであり、その他7つの短編にそれぞれ主要人物が一人ずつ合計7人登場する群像劇だと言うことが一つ。

 もう一つはやはり原作では、「定例会議」「環境会議」「計数会議」「連絡会議」「営業会議」「役員会議」「御前会議」の7つの会議が存在するということらしい。また映画の中では、面談や屋上での立ち話程度の会話も、一応会議としてとらえていて7つの会議が行われたとのことである。またもっと深読みすれば、『七つの大罪』と呼ばれている傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、暴食、色欲、怠惰の7つの欲求・感情を示唆している作品とも言えるかもしれない。

 いずれにせよ原作はともかく、映画のほうはなんとなくコメディめいた雰囲気が蔓延していて、テーマの持つシリアスさや重さが感じられなかった。これは主人公・八角を演じた野村萬斎の狂言的なセリフ回しと、営業課長とOLの素人探偵ゴッコの影響なのだろうか。これを面白いと考えるか、もっと真面目にやれと冷やかすかは好みの問題かもしれないね。


評:蔵研人

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2020年1月29日 (水)

最強のふたり

★★★★
製作:2011年 フランス 上映時間:113分 監督:エリック・トレダノ

 だいぶ以前から気になっていた作品だが、最近ハリウッド製のリメイク版が上映されたのを機会に、フランス製のオリジナル版をレンタルしてみた。結論から先に言えば、映像が美しく、音楽センスもよく、俳優たちの個性と演技力も光っていた出来の良い映画だと言えよう。
 ただ一つ残念だったのは、終わり方がいやにあっさりとしていたということである。実話だから仕方がないかもしれないが、脚色しても良いので、もう少し感動的なシーンを挿入してもらいたかったな。まあこのあたりの感じ方は、人によって異なるので、あくまでも私の個人的な嗜好に過ぎないのだが・・・。

 この作品は一見、気まぐれな大富豪の障害者と、スラム街出身の黒人介護者との友情物語として語られてしまいそうだ。だが実はその裏に、貧困、麻薬、移民、病気、死別、養子、障害者のセクシュアリティ等々、さまざまな社会問題が鏤められているのである。
 そしてその結果として、第24回東京国際映画祭コンペティション部門で上映、最高賞の東京サクラグランプリを受賞している。また主演の2人は最優秀男優賞を受賞した。さらに第37回セザール賞では作品・監督・撮影・脚本・編集・音響賞・主演男優・助演女優にノミネート、介護者役のオマール・シーが主演男優賞を受賞している。

 実は私が一番気に入ったのは、オープニングからいきなり始まるカーチェイスから、過去への回想を経て終盤にリターンしてゆくシーンである。そしてここであーそう言うことだったのかと納得してしまうのだ。まあ映画にはよくあるパターンなのだが、本作ではなかなか洒落ている回帰シーンであった。
 さてハリウッドのリメイク版のほうは、まだ未鑑賞なのだが、ネットの評価は圧倒的にオリジナル版のほうに軍配をあげている。・・・ということなので、暫くは静観してみたいと考えている。ただしオリジナル版を観ていなければ、先にリメイク版を観たほうが良いかもしれない。

評:蔵研人

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2020年1月25日 (土)

九月の恋と出会うまで

★★★★
製作:2019年日本 上映時間:106分 監督:山本透

  原作である松尾由美の同名小説を読んだのは、もう5年前のことであり、細かいストーリー展開と結末は余り覚えていない。それで新鮮な眼で本作を観ることが出来た。また登場人物が4人しか登場しないアイデア一辺倒の原作より、映画のほうが恋愛色に染まっていてストーリーも面白いし、スケールも広がっている。それに美しい映像と効果的な音楽が加わるから、珍しく原作を超えた映画と言ってよいだろう。
 ただタイムパラドックスとの因果関係については、やや解り辛いのであとで原作を読むと良いかもしれない。とは言っても、過去改変の影響については、原作でもいま一歩深みにはまり切っていないところが、かなり物足りないので念のため・・・。

 北村志織は、入居したばかりのマンションで、不思議な現象に遭遇する。なんと隣室に住んでいるが、ほとんど話をしたことのない平野という男性の声が、エアコンの穴から聞こえてきたのだった。それも一年後の未来から話していると言うのである。
 はじめは信じられない志織だったが、翌日の天候に始まり一週間分のニュースを言い当てられ、未来からの声だということを信じざるを得なくなってしまう。そのうえ現在の平野を尾行してくれという、奇妙な依頼を未来の平野から受けてしまうのである。だがなぜ尾行するのかという理由は教えてくれない。

 序盤は平野を尾行する理由の謎を追い、中盤はタイムパラドックスを避ける活動、そして後半に完全なラブストーリーへと変換してゆく流れは、「なかなか見事な脚本に仕上がっている」と褒めてもよいだろう。思わず一昔前に、こんな感性の韓国映画をよく観たことを思い出してしまった。
 また主演の高橋一生と川口春奈の演技力と存在感もなかなかであり、二人ともしっかりとこの役柄にはまっていた。まあどちらかと言えば、タイムトラベルよりも恋愛ものとして若い人たちにお勧めの作品かもしれないね。

評:蔵研人

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2020年1月20日 (月)

バイス

★★★☆
製作:2018年 米国 上映時間:132分 監督:アダム・マッケイ
 
 タイトルの『vice』とは、「vice president(副大統領)」のように役職の前に付く場合は「副;代理」を意味するのだが、単独の名詞としては「悪徳;悪玉;欠陥」といったネガティブな意味も持っている。たぶん本作は、その双方の意味を含んでいるのであろう。
 
 本作は実話を下敷きにして、ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領に就任したディック・チェイニーの半生を皮肉を込めて描いているようだ。通常副大統領とはほぼ飾り物で、大統領に何かがあった場合の非常口的な役割しかない。ところが彼の場合は、史上最強の副大統領、あるいは影の大統領と呼ばれたくらい権力を掌握していたという。そして少々おつむの弱そうなブッシュを巧みに洗脳して、あの悲惨な湾岸戦争へと導いた張本人とも言われているのである。

 本作は第91回(2019年)アカデミー賞8部門にノミネートされ、最終的にはメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している。それもそのはず、まず主演のクリスチャン・ベールが、なんと20キロ近く増量したり老け顔に変身しているではないか。
 さらにラムズフェルド役のスティーブ・カレル、ブッシュ役のサム・ロックウェル、パウエル国務長官役のタイラー・ペリーなども、まさに本物そっくりの再現度を実現しているのである。

 またこの映画を観ていると、1960年代から現代までの米国政界の内幕や権力構造をパラパラと垣間見ることが出来る。まさにこれこそ「社会派政治ドラマ」だと思い込んでジャンルを調べたら、なんと「コメディ」と記載されているではないか。
 実ははこの『バイス』という映画は、悪徳政治家たちの権力ゲームを笑い飛ばすという趣向の、過激なブラック・コメディということらしい。それにしても現存している大物たちを、これだけ皮肉たっぷりに批判できる米国という国の懐の広さには感心してしまうよな・・・。

評:蔵研人

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2020年1月17日 (金)

ブラック・クランズマン

★★★☆
製作:2018年 米国 上映時間:128分 監督:スパイク・リー
 
 第91回アカデミー脚色賞及び第71回カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた実録ドラマである。オープニング映像に『國民の創生』と『風と共に去りぬ』の名作映画が流れるのだが、はじめはその意図するところが分からない・・・。
 実はこの二作は米国の奴隷制度を肯定し、当時を美化していることで成り立っている作品ということになる。そしてそれを観て気勢を上げ熱狂しているKKK(白人分離主義者グループ)の集会批判に繋がってゆくのだ。

 さらには米国ファーストを唱えるトランプ大統領と、その支持者たちに異を唱えるメッセージも込められているのであろう。もっと言えば、この時期にこんな映画を創ったスパイク・リー監督の心情とは、トランプ大統領の台頭により、南北戦争の惨劇と70年代の黒人対白人の壮絶な争いの歴史が繰り返されることを強く危惧しているのではないだろうか。

 さて人種問題をテーマにしてアカデミー賞を受賞した作品と聞けば、いかにも重くて堅苦しい映画を想像してしまうのだが、本作は不思議なくらいかなり軽いノリで楽しめる映画に仕上がっている。これは主人公ロンのポップで明るい性格と同僚刑事フリップのちょっぴり頼りない様子なども描かれているため、シリアスとコメディが絶妙に組み合わさったストーリーになっているからであろう。
 この主人公ロンを演じたジョン・デヴィッド・ワシントンは、なんとあのデンゼル・ワシントンの長男で、元プロアメリカンフットボール選手として活躍したこともある俳優なのだと知ってまたびっくりしてしまった。

 また本作と同時期に製作された『グリーンブック』も、本作同様黒人差別がテーマであり、実話が元ネタで黒人と白人のコンビで話が展開し、差別している白人たちが馬鹿や悪人らしく描かれているという共通点がある。ただ大きく異なるところは『グリーンブック』のほうは、黒人と白人の友情を描いてハッピーエンドで楽観的にしめくっているのだが、本作は現実的で悲観的な観点で描かれているのだ。

 そしてこの2作は同時期にアカデミー賞を競ったのだが、『グリーンブック』が作品賞で、本作が脚色賞という結果で終わってしまった。結局のところ、やはりエンターテインメント性と分かり易さで『グリーンブック』に軍配があがったということなのだろうか。
 ただいずれにせよ、本作が優れた映画であることは認めるとしても、米国の歴史や国内事情に染まっていない私には、いまひとつ本気で共感するスピリットが燃え上がらなかったことも確かである。


評:蔵研人

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2020年1月14日 (火)

アリータ:バトルエンジェル

★★★★

製作:2019年 米国 上映時間:122分 監督:ロバート・ロドリゲス
 
 『銃夢』という木城ゆきとのコミックを、ジェームズ・キャメロンが脚本と製作を手掛けて実写化したSFアクション映画である。原作は日本のマンガなのだが、ハリウッドの圧倒的な製作予算によって実現した作品と言えよう。
 いずれにせよ、ビジュアル・スピード感・アクションのどれをとっても不満のない作品に仕上がっているのだが、続編含みのラストがスッキリせず、カタルシスを得られないところが非常に残念であった。そしてアリータは一体何者だったのか、という謎の解明も続編に持ち越されてしまったのである。

 今のところ続編がいつ頃製作開始される、と断言できるはっきりした情報は流されていないようだ。また同時製作でない限り続編製作にもかなりの時間が必要と思われる。だから既に製作を開始している状況でなければ、1~2年以内に上映されることはまず不可能であろう。それに続編が完成する頃には、多くの人がどうでも良くなってしまうかもしれない。
 まあこのあたりが、大長編作品製作の難しさと言えるのだろう。だったら続編を待つよりも、原作のコミックを全巻読み切ってしまったほうが手っ取り早いかもしれないね・・・。

評:蔵研人

 

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2020年1月11日 (土)

A.I.ライジング

★★

製作:2018年 セルビア 上映時間:86分 監督:ラザル・ボドローザ

 珍しいセルビア発のSF映画である。宇宙飛行士とアンドロイドの恋愛というキャッチコピーであの『エクス・マキナ』を連想してしまった。またベオグラード国際映画祭5部門受賞するなど、世界中の映画祭で絶賛されたというのだ。
 それにミステリアスで壮大な宇宙をバックに描いた美しいポスター。それで思わずレンタルDVDショップの店頭で、衝動レンタルをしてしまったのである。

 借りてから自宅でネットの口コミを読んだら、余りにも酷い評価のオンパレード。だが実際に自分の目で確かめてみないことには、うかつに信じられない。と一縷の希望にすがってDVDを回してみたのだが・・・。

 2148年、宇宙飛行士・ミルーティンは、ケンタウルス座アルファ星の調査を、世界最大の宇宙開発社であるエデルレジ社から依頼される。ただ彼は過去の任務中に、何度も女性関係でもめごとがあったことから、今回は女性型のアンドロイドが同伴者に選ばれることになる。このアンドロイドはニマニと呼ばれ、500通りの性格を選べて、ミルーティン好みの外見にカスタマイズされていた。

 ここまでのオープニング設定では、これから何が起きるのか、人とアンドロイドがどのように愛し合うのかと期待を持たせるのだが、実はこの映画の観どころはここまでで、あとはいきなりセックスシーンに突入。宇宙船の中でいろいろ仕事があると思うのだが、その後もやることと言えば、ただただセックスばかり。
 全くストーリーの片鱗もなく、今度は単調なセックスに飽きたミルーティンが、アンドロイドに人間の心を埋め込もうと画策するというだけのお話である。

 それでもラスト近くになって、やっとこの映画最大の観どころが描かれるのだが、時すでに遅しそれでザ・エンドとなってしまうのである。期待感が大きかったせいか、かなり拍子抜けしてしまった。
 だが神秘的な雰囲気を醸し出す映像とスピリチュアルな音楽、そしてアンドロイドを演じた女優のスレンダーな肉体と無表情な演技が、ベオグラード国際映画祭での高評価に貢献したのだろうか。

評:蔵研人

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2020年1月 7日 (火)

黄昏のカーニバル

著者:清水義範

 本作は1990年前後に、今は途絶されてしまった『SFアドベンチャー』誌に掲載された清水義範の短編小説をまとめた文庫本である。その中味は次の7篇のSF作品で構成されている。

1.外人のハロランさん・・・子供の頃に出会った外人はどこから来たの?
2.黄昏のカーニバル・・・某国が発射した核による世界終末の空しい話
3.唯我独存・・・世界の全ては僕が創成したもの
4.嘉七郎の交信・・・宇宙人とコンタクトする爺さんの話
5.デストラーデとデステファーノ・・・時間が逆流する世界
6.21人いる・・・未来の自分が20人登場する話
7.消去すべき・・・全てを消去する自分とは何者

 いずれも懐かしき良き時代の読み易い短編SF小説で嬉しくて堪らない。また現役でこのようなアイデア重視で、わくわくするノスタルジックSFが書ける人は、本作著者の清水義範氏や梶尾真治氏ぐらいだろうか。

 さてこの中で一番興味深く読んだのは、「この世の全ては自分自身の想像力で創成されている」という唯我論をテーマとした『唯我独存』である。まあ唯我論について解説すると長くなるので後日に譲るとして、タイムトラベルファンとしては、プロ野球と時間逆転の『デストラーデとデステファーノ』と、押し入れから出てきた20人の未来の自分の謎を探る『21人いる』も、見逃せない短編であることは間違いないだろう。

評:蔵研人

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2020年1月 4日 (土)

キングダム

★★★☆
製作:2019年 日本 上映時間:134分 監督:佐藤信介
 
 原作は原泰久のコミックで、第17回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞している。さらに単行本の発行部数は、56巻発売時点で累計4700万部を突破しているという怪物コミックの実写版映画なのである。

 私自身はコミックの存在さえ知らずに本作を観たため、コミックとの比較は全く出来ないのだが、原作にかなり忠実だったと言うことで、かなりの高評価を得ているようだ。まあ原作に拘る人々が多いのは分かるが、そんなことは無視して観てもなかなか面白い作品であることは間違いないだろう。
 ことに古代中国の風景、壮大な王城と圧倒的な兵士たちなど、実物とCGを巧みに組み合わせた見事なVFX技術とアクションシーンには度肝を抜かれてしまった。これならハリウッド映画にも決して引けを取らないであろう。

 是非この技術を生かして、従来は不可能と言われていた壮大な時代劇を製作して欲しいものである。個人的にはかなり古くなってしまったが、白土三平原作の『忍者武芸帳』の実写映画を是非観てみたいと切に願っている。
 本作は原作コミックの1~5巻をまとめただけの序章に過ぎず、続編を創ればさらにあと10作は出来ることになる。また興行収入も、公開後40日で50億円を超え、まずまずの大ヒットを記録している。従って少なくとも、あと1~3作の続編が製作されるのは間違いないであろう。

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2019年12月30日 (月)

ミリオンダラーべイビー

★★★★☆
製作:2004年 米国 上映時間:133分 監督:クリント・イーストウッド

 ご存知、クリント・イーストウッド監督・主演で、2005年のアカデミー作品賞を受賞した映画である。
 クリント・イーストウッドの作品は、いつも素晴しいけれど、もうそろそろ主演は降りたほうがよろしい。彼の名声をこれ以上下げたくないので、今後は監督か脚本家に専念して欲しいと思うのだが・・・。

 一方、2度目のアカデミー主演女優賞を獲得した、ヒラリー・スワンクの演技力とパワーは絶賛に値するだろう。役作りのボクシングの練習中、足に出来たマメが潰れて命にかかわる程悪化し、ドクターストップがかかったらしい。たがそれを振りきって、文字通り『命をかけて撮影に臨んだ』という話が伝説になっている。まさしく役者魂発揮!、プロ中のプロといってもよいだろう。

 ストーリーのほうだが、途中迄は女性版ロッキーという感じで、どんどん登りつめてチャンピオンに挑戦する迄は、爽快感が一杯の楽しい映画なのである。ところが、この映画が本領発揮するのは、チャンピオン戦が終ってからなのであった。そのあとは、映画のテンポもトーンも、全く違った作品のように変貌してしまうのである。

 そしてラストシーンには、いろいろ考えさせられたのだが、自分ならどうしていたかの回答が出せないまま、やるせない気分で映画館を後にした記憶が残っている。あの『ミステリック・リバー』のような後味の悪さこそ湧かなかったが、なぜか『不公平感』を拭いきれなかった。

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2019年12月26日 (木)

バタフライ・エフェクト

★★★★☆
製作:2004年 米国 上映時間:114分 監督:エリック・ブレス

 タイトルの『バタフライ・エフェクト』とは、一羽の蝶が羽ばたいただけで、地球の裏側で、竜巻が起こるという「カオス理論」のひとつである。つまり、何でもないことを変えたために、大きな変化が起こる場合のたとえなのだ。

 繊細でlQの高い美青年が、少年時代の日記を読むことによって、少年時代の意識に介入出来る能力を発見する。そして自分のせいで不幸になり、自殺してしまう幼な馴染みの少女を救うために、過去の自分の行動を何度も変えてみるのだが・・・。

 この作品は、タイムテーマとミステリーを上手に組み合わせて、そこにスタンド・バイ・ミー風味をブレンドしたような間口の広い秀作なのである。また何度過去を変えても、事態はなかなか好転せず、イライラさせながらも、ラストでは「一番大切なもの」を切り捨てることによって、全員が救われるという皮肉なハッピーエンドを用意している。

 余り製作費はかけていないのだが、本作を観た当時は久々に「本物の映画」を観た気がしたものである。ただのんびりと観ていると、何が何だかよく判らなくなるので、じっと真剣に観る必要があるだろう。
 またよく判らなかった人には、映像写真付きの文庫本が発行されているので、プログラム代わりに読んでみてはいかが。内容は映画と全く変わらないので、複雑なストーリー展開が良く理解出来るはずだ。但しラストの一行?だけは、映画と大きく異なっているので要注意!。

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2019年12月22日 (日)

Ray(レイ)

★★★★☆

製作:2004年 米国 上映時間:152分 監督:テイラー・ハックフォード

 ご存知盲目のピアノシンガーであるレイ・チャールズの半生を描いた作品で、主役のレイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスがアカデミー主演男優賞を受賞している。彼は『コラテラル』でも、タクシーの運転手役を演じて大好評だったが、本作において完全に演技派の一流俳優として認められたことになる。

 3時間近い長編であるが、ストーリーの面白さにレイ・チャールズの名曲が加わり、全く退屈することなく時間が過ぎてゆく雰囲気である。
 それにしても、完全にレイ・チャールズになり切っていた、ジェイミー・フォックスの鬼気迫る見事な演技には圧倒されっぱなしであった。またレイ・チャールズの天才振りにも、改めて驚かされてしまった。本作を観終わった人たちは、きっとレイ・チャールズのCDを買いに走ることになるだろう。

評:蔵研人

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2019年12月17日 (火)

カツベン!

Katuben  

★★★☆
製作:2019年 日本 上映時間:127分 監督:周防正行

 タイトルの『カツベン』とは、無声映画(サイレントムービー)の上映中に、傍らでその内容を解説する専任の解説者、つまり活動弁士を略した呼び名である。決して『とんかつ弁当』の略ではないのでご注意を(笑)・・・。

 そのカツベンは日本にしかないシステムで、米国のサイレントムービーなどでは、途中で画面が切り替わって説明文が表示される方式をとっている。ではなぜ日本にだけカツベンが存在したのだろうか。多分はじめは国産映画が存在せず、米国などからの輸入映画に頼っていたため、英文で表示される説明文では誰も理解出来なかったからかもしれない。また解説だけでなく舞台脇の音楽演奏なども含めて、歌舞伎や村芝居など伝統芸能の影響を受けたことも否めないだろう。

 さて本作はあの名作『Shall We ダンス?』で一世を風靡した周防正行監督が、『舞妓はレディ』以来5年ぶりにメガホンを握った待望のオリジナル映画作品である。
 また主人公・俊太郎役には、最近話題作に立て続けに出演しているものの本作が映画初主演となる成田凌が、共演のベテラン俳優たちを凌いで見事にその役柄を演じ切っていた。さらにヒロイン役を黒島結菜が演じるほか、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊ら周防組初参加のメンバー、そして竹中直人、渡辺えり、小日向文世、草刈民代らの周防組常連陣が脇を固めている。

 そのストーリーの中身は、少年時代からカツベンに憧れていた染谷俊太郎が、泥棒グループに利用された偽弁士を経て本物の弁士に成長してゆく過程を、ちょっぴりロマンスも絡めて描いたコメディードラマである。127分の上映時間があっという間に流れてしまったくらい面白かったことは確かだが、ラストの捕り物帳でのドタバタ臭さだけは気に入らない。もう少し質の高い笑いに期待していたのだが・・・。
 それはそれとして、周防流の『特化型ウンチク映画』の味は相変わらず冴えわたっていて、活動弁士の実態が分かり易く描かれていたよね。いい加減な弁士や人気弁士、そしてかなりアドリブの混じった会話力などなど、いつもながら社会勉強をさせてもらった。

 さてその昔、徳川夢声、牧野周一などの人気弁士がいたが、映画が無声映画からトーキーに変貌したことに伴って、漫談家などに転業したようである。それだけカツベンは話術に秀でていたのである。さてとっくの昔に絶滅したと思っていたカツベンだが、なんと現代にも10人程度が存在しているらしい。もっともそれだけで飯を食えるのは、その中の一人だけらしいのだが・・・。

評:蔵研人

 

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2019年12月13日 (金)

風の前奏曲

★★★★☆
製作:2004年 タイ 上映時間:106分 監督:イッティスーントーン・ウィチャイラック

 タイの伝統的楽器といわれる、ラナートの名手であるソーン師の半世をモデルにしたフィクションであるという。ラナートとは、木琴をハンモック状に吊したような楽器で、まるで電子木琴のような美しい音を奏でる楽器だった。
 タイの映画と言えば、お馬鹿で不潔な映画が多かったのだが、この映画は美しい映像とシリアスな展開に終始し、従来のタイ映画のイメージを一新してしまった。

 またシャム王朝時代の青年ソーンと、第二次大戦時の老年ソーンをパラレルに描いているため最初は少し戸惑うものの、変化があって退屈させない仕組みになっている。
 そして青年ソーンには、ライバルとの過激な演奏バトルを、老年ソーンには、風にそよぐ椰子の葉のような神秘的で、心に染み渡る演奏シーンが用意されていた。バトルシーンでは壮快感を味わい、またラストの神に癒されるような演奏シーンには、誰もが思わず大粒の涙をこぼしてしてしまうだろう。

 さらにエンディングでは、アゲハ蝶によって過去と現在が見事に繋がってゆく。またキャストについても、それぞれが個性を発揮した素晴らしい演技を見せてくれたと思う。まさに完璧に近い映画だったが、ラストの終わり方がちょっと唐突だったことだけが惜しまれる。

評:蔵研人

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2019年12月 6日 (金)

EXIT

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★★★☆

製作:2019年 韓国 上映時間:104分 監督:イ・サングン

 毒ガスが蔓延した都市を舞台に、高層ビル群の中を跳び渡りながら、迫りくる毒ガスから逃げ抜く男女の奮闘を描いたパニック映画である。毒ガスを怪獣に例えれば、一種のモンスターパニックかもしれない。しかし毒ガスは生物ではないので武器で死ぬことはない。
 ところがその正体が解明され、毒ガスを消滅させる方法が見つかるのだが、それはかなり終盤になってからある。だから全編にわたって、ただただ毒ガスから逃げるのみ。とにかく高層階を逃げて逃げて逃げまくって、救助隊のヘリに助けを求めるより方法がないのだ。

 なにしろスピード感とパワーに満ちていて、笑いあり涙ありドキドキ感も満載で、かつ家族愛とちょっぴり甘酸っぱいロマンスも鏤められている。とにかくいろいろな要素が織り込まれた欲張りな映画であることは間違いない。
 さらにヒロインの美しいだけではなく、しゃきっとしてかつ清々しくいじらしい心情がとても素敵である。またパニック映画であるにも拘らず、ほとんど死人の描写がなかったのは珍しいね。

 いずれにせよ、面白くて楽しくて家族揃って観れる映画だということは保証しても良いだろう。だがかなり展開が単調で、収束もほぼ予測の範囲内であったことは否めない。個人的には同じ韓国パニック映画なら、2017年に上映されたゾンビパニック映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』のほうが、予測不可能な展開だった分だけ面白かったと思うのだが・・・。

 ところがこの映画は、韓国では5人に1人とも言える約940万人もの観客動員を記録する超ヒット作となったのである。ただ不思議なことに、なぜか日本では首都圏のマイナーな映画館を中心に、全国13館程度で上映されているだけなのだ。まさか韓国とヒビの入ってしまった現状の政治状況を反映している訳ではないと思うのだが・・・。

評:蔵研人

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2019年11月28日 (木)

カンフー・ハッスル

★★★★
製作:2004年 中国、米国 上映時間:103分 監督:チャウ・シンチー
 
 少林サッカーを遥かに超えた『香港映画』という触れこみなのだが、確かに期待通りアクションの荒唐無稽さ加減は、少林サッカー以上どころか『マトリックス3』をも超えていた。ただストーリー展開は、よくあるカンフー映画そのもので、少林サッカーのような斬新さは見当たらない。

 それでも、笑いあり涙ありで、超面白い事は保証する。それと弱そうなおじさんやおばさん達が、実は「カンフーの達人」という設定は、非常に面白かった。
 またラストバトルは、特に超々ど派手、荒唐無稽指数500%で、マンガの『ドラゴンボール』を髣髴させられる。DVD化されてから既に3回以上観たのだが、何度見ても楽しい映画である。

評:蔵研人

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