スーパーマン (2025年版)
★★★☆
製作:2025年 米国 上映時間:129分 監督:ジェームズ・ガン
半年ものあいだ心待ちにしていたスーパーマンの新作が、ついに公開された。スーパーマン命のファンとしては見逃すわけにはいかず、胸を躍らせて劇場へと足を運んだ。
本作は、クリストファー・リーヴ版から数えて実に9作目にあたる。今回スーパーマン役に抜擢されたデヴィッド・コレンスウェットは、193cmの長身に加え、その風貌もスーパーマン像に実にふさわしい。加えて、ザック・スナイダー版では姿を消していた“赤のパンツ”やお馴染みのテーマ曲も復活。スーパーワンちゃん、召使いロボット、新たな超人まで登場し、ファンにはたまらない演出が目白押しだ。
だが、惜しむらくは物語の芯に深みがない。シリーズ物ゆえ、スーパーマンの誕生やロイスとの出会いを省略するのは理解できるが、レックス・ルーサーの新技術や戦略の描写が乏しく、敵役や新超人たちの登場にも伏線がない。そしてテーマとなるべく「あの戦争」についての描写や説明が殆どないのは一体なぜであろうか。
また、何よりクラーク・ケントの存在が希薄なのがとても寂しい。スーパーマンは、クラーク・ケントという仮面を通してこそ人間性を帯びる存在であり、ロイス・レインとの関係もその中でもっと輝くはずだ。
それにしても、キャストたちの演技は素晴らしかった。スーパーマン、ロイス、ルーサーはいずれも的確な配役と、安定感ある演技で魅了した。ただ、クラークの育ての両親にもう少し存在感があれば、ドラマの輪郭はより鮮明になっただろう。
米国では大ヒットとのことだが、観終えた後には何とも言えぬ物足りなさが残る。スーパーマンはあまりに強大であるがゆえに、敵となりうる存在が限られている。結果としてクリプトナイトや彼自身のクローンも含め、毎度クリプトン星由来の脅威ばかりが繰り返され、物語は徐々に閉塞感を帯びる。
マンネリ打破のために、新たな超人やロボット、怪獣などを投入するのも無理はないが、そうした試みは時として物語の本質を見失わせ、単なるアクションの羅列に堕しかねない。
思えば、心を震わせるスーパーマン映画は、1978年の『スーパーマン』と1980年の『スーパーマンII/冒険篇』で頂点を迎えていたのかもしれない。もしこれらを凌ぐ作品を創るとすれば、続編ではなく、スーパーマンという神話をゼロから見つめ直し、時代に応じた再構築と新技術による革新が求められるだろう。
評:蔵研人
下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓
↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪
最近のコメント