君のためのタイムリープ

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★★★
製作:2017年 台湾 上映時間:104分 監督:シェ・チュンイー

 高校時代に『月球組』というバンドを結成していた5人組のボーカル・恩佩(エンペイ)は、その才能を認められて日本で活躍するのだが、落ちぶれてしまった挙句に若くして自殺してしまう。彼女の葬儀の後、5人組の一人だったジョンシャンは、路上で不思議な老婆から「一輪一晩」と言われて、三輪の玉蘭をもらう。そしてジョンシャンがその玉蘭の匂いをかぐと、なんと彼は高校時代にタイムリープしていたのである。
 高校時代なので当然だが、エンペイはまだ生きていて、必死でオーディションの練習をしていた。ジョンシャンはエンペイに死んで欲しくなくて、必死に彼女がデビューしない方法を考え邪魔をするのだが……。

 1997年の台湾が舞台なのだが、日本の風景も織り込まれており、安室奈美恵や小室哲哉や飯島愛に憧れている台湾の青年たちを観て、「そんな時代もあったなあ」と懐かしさがこみあげてきた。さらには『たまごっち』、『プリクラ』、『将太の寿司』などの日本カルチャーが満載なのだ。当時の台湾では、まだ日本が憧れの国だったのだろうか。
 決してつまらない映画ではないのだが、脚本が単純すぎるし、主人公とヒロインが余り魅力的ではなかったためか、中だるみ感を禁じえなかった。ただラスト前の15分間は、スクリーン全体に優しさが漂っていたよね。それにしてもその15分間のために、約100分間も我慢しなければならないのは辛過ぎるじゃないの……。

 
評:蔵研人

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2024年2月17日 (土)

傲慢と善良

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著者:辻村深月

 なんとなく学術書的なタイトルだが、実はミステリアスな恋愛小説なのだ。もしかするとジェイン・オースティンの長編小説『高慢と偏見』のコンセプトが下敷きになっているのかもしれない。また何の連絡もなく恋人が姿を消してしまい、警察に届けても相手にしてもらえず、仕方なく自分が探偵になって彼女の過去を探っゆくと言う展開は佐藤正午の『ジャンプ』から学んだのかもしれない。

 本作の前半では、ストーカーに怯える坂庭真実の突然の失踪と、彼女を探し回る婚約者・西澤架の探偵ゴッコを緻密に描いている。警察に捜査依頼するところからはじまり、真実の実家や姉、昔真実がお世話になっていた結婚相談所、そこで紹介された男たち、真実の友人、などなどとの、のめり込んだ会話の数々、そこにはまさにミステリー風味が延々と漂う。一体彼女はなぜ失踪してしまったのか、まだ生きているのだろうか、だったらどこにいるのか……。

 さらにその探偵ゴッコの中で繰り広げられる会話には、現代婚活の詳しいしくみや、若者たちの恋愛観などが解りやすくかつ興味深く綴られてゆくのである。もうそれだけでも、我々年配者には勉強になってしまうのだ。

 さて本書のテーマである傲慢とは「プライド」とも相通ずるのだが、「狭い経験と認識」と置き換えることもできるだろう。従って他人のことは欠点ばかりを誇張して厳しく評価するのだが、自分自身に対しては自己愛が強く良い面だけしか認めない、ということになるのかもしれない。一方の善良とは、単に良い子と言う意味ではなく、鈍感とか無知とか世間知らずという毒も含んでいるのであろうか。

 後半はどんでん返しのあとに復活・修正的なボランティア話に終始し、知識的には得るものがあったものの、前半の粘っこさに比べるとかなりトーンダウンした感があった。そこにやや物足りなさを感じたのは私だけであろうか。
 それにしても『冷たい校舎の時は止まる』など著者の若かりし頃の作品しか読んでいなかった自分にとっては、これホントに辻村深月の作品なの?と疑問を感じるほど「大人の作品」であった。そりゃあ彼女も母になり40代だものね……かく言う私も「善良」なヒトなのかもしれないな、ははは。

評:蔵研人

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2024年2月14日 (水)

ハーメルン

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★★★☆
製作:2013年 日本 上映時間:138分 監督:坪川拓史

 福島県のある村にある廃校に、元校長が一人で暮らしている。彼はこの古びた校舎をコツコツと修理しながら、まるで愛おしむような日々を送っているのである。なぜそんなことをしていて、なぜそんなことが許可されているのかなどの野暮な説明は一切ない。
 ただ翌春には解体することが決定されており、イチョウの葉が全て落ちるまでには退去しなくてはならない。そんな折、校舎に保管されている遺跡品の整理をするために、博物館の職員である野田がやってくる。
 彼は本校の卒業生で、恩師だった綾子先生の娘・リツコが営む居酒屋を訪れ、綾子が認知症で老人施設に入所していることを知る。子供のころから暗いイメージがつきまとう野田であるが、今も何かを隠しているような、後ろめたい雰囲気が漂っている。

 超美麗な風景を映し出す映像と、懐かしい歌の数々。その歌を綺麗な声で唄う初老のリツコを、70代の倍賞千恵子が淡々と演じている。まさに彼女にピッタリの配役である。寡黙な博物館職員・野田は西島秀俊、元校長に坂本長利といずれも役柄にはまりきっていた。
 ただ格調高いと言うのか、説明がなさすぎるというのか、ストーリーが掴みにくいし、何をテーマにしたいのかも見えてこないのが残念である。それはそれとしても、季節の移り変わりを美麗な映像と自然音で、巧みに絡めた抒情的で味わい深い名品であることは否めないだろう。

 タイトルの「ハーメルン」とは、「ハーメルンの笛吹き」をモチーフにしたからくり時計が本作のキーポイントになっているからである。なお本作のロケ地で取り壊される予定だった築80年の旧喰丸小学校は、本作上映以降に昭和原風景を懐かしむファンが足繁く訪れ、観光用の建物として再生されているらしい。
 
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2024年2月 8日 (木)

ループ・ループ・ループ

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著者:桐山徹也

 桐山徹也のことは本作を読むまで全く知らなかったのだが、それもそのはず本作以外には『愚者のスプーンは曲がる』という作品しか発表していないようだ。
 本作はタイムループもので、毎日が何度も繰り返されるという学園小説である。最近似たような小説を時々読むのだが、事故に遭いそうな人がその事故を回避した場合には、その人も時間が繰り返していることに気づくという設定が斬新であった。

 ただストーリー自体には深みもなければ捻りも見つけられなかった。ただ最後まで興味を惹かれたのは、なぜこのようなループ現象が生じてしまったのかという一念のお陰であろう。ただしその結末も余り説得力がなかったが、平易な文体で読み易かったことも間違いない。まさにジュニア向けの作品なのであろうか。

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2024年2月 4日 (日)

ウィンズ・オブ・ゴッド

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★★★☆
製作:1995年 日本 上映時間:97分 監督:奈良橋陽子

 売れない漫才師コンビ田代と金太は、交通事故のショックで、太平洋戦争中にタイムスリップし、なんとあの「神風特攻隊員」になっていたのである。ただしタイムスリップというよりは、魂が過去の人物と入れ替わったのだから、映画の中でも語られているように、「輪廻転生」の変形と考えたほうがよいのかもしれない。
 この過去の世界で、田代は戦争批判を繰り返し、独房に叩き込まれるのだが、純な金太のほうはだんだん過去の世界に馴染んでゆく。仲間の特攻隊員たちは、田代の説得にも応じず、家族や国を守るため次々に敵艦めがけて自爆してゆくのだった。そしてしまいには金太までが……。

 そもそも本作は1988年に今井雅之が舞台用に書き上げた戯曲なのだが、これが大好評を得て1995年に小説化・映画化されたものである。映画ではその今井雅之が田代役で主役を演じているのだが、残念ながら2015年に大腸がんのため54歳の若さで死亡している。
 
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2024年1月28日 (日)

通りゃんせ

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著者:宇江佐真理

 25歳の若手サラリーマンである大森連は、失恋の傷を癒すために休日になるとマウンテン・バイクで走りまくっていた。ところが小仏峠周辺で道に迷い、滝の裏に墜落してしまう。目が覚めると、なんとそこは天明6年の武蔵国中郡青畑村であった。
 連は時次郎とさな兄妹に助けてもらいながら、連吉と名を変えて時次郎の百姓仕事を手伝うことになる。さらに忙しい時次郎に変わって、領主である江戸の松平伝八郎のもとを訪れるのだった。

 宇江佐真理と言えば、吉川英治文学新人賞を受賞したり、何度ともなく直木賞候補に挙がっている時代小説の旗手である。ところがなんと本書は、現代っ子の若者が江戸時代にタイムスリップして、川の氾濫や天明の大飢饉で苦しむ村人たちを助けるというSF絡みの時代小説だったのだ。
 ただしSF時代劇と言っても『戦国自衛隊』や『戦国スナイパー』などのように未来人が未来の知識や武器を使ってヒーローになるような大それた話ではない。せいぜい汚れた井戸水の簡易ろ過装置を創ったり、整体やストレッチの知識を生かして感謝される程度の活躍をするだけである。それより何と言っても、主人公・連の優しさと誠実さが脈々と流れてくるような清々しく凛としたストーリーに心を奪われるだろう。

 またさすが本格時代小説家だと感じさせる的確な時代考証を土台にした、現代と江戸時代の風俗や社会構成の比較描写は実に見事であった。それに加えてワームホールなどのタイムスリップ理論や、過去の改変によって引き起こされるタイムパラドックスについても言及しているところに著者の真摯な勉強熱心さを感じた。
 ただ高校時代の友人坂本賢介の存在や行動が、説明不足かつ中途半端だったところだけが唯一気に入らない部分だったような気がする。またラストでの早苗との遭遇はよくある映画のパターンで、ほぼ私の予想通りであったのだが、ずっと暗く苦しかった連にそのくらいのご褒美はあげてもいいかな……。


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2024年1月25日 (木)

ぼくが処刑される未来

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★★☆
製作:2012年 日本 上映時間:87分 監督:小中和哉

 自分の意見をはっきり言えず、ただ漠然と毎日を過ごしていた大学生の浅尾幸雄は、橋の上で酔っ払いが寝転んでいるのを見ていた時、突然まばゆい光に包まれてしまう。気が付くとそこは25年後の未来で、なんと警察の取調室で身柄を拘束されているではないか。
 彼は未来に罪を犯したという理由で未来にタイムワープさせられたのだが、未来の罪を償うため過去の彼が処刑されると言う奇妙な理屈なのだった。それを決めたのは、未来に開発された量子コンピューターで、その計算能力は神がかりで絶対に間違いがないと言うのである。

 テーマ的には興味深いし、福士蒼汰と吉沢亮が主演だと言うことで、本作を観る気になったのだが、余りにもチープ過ぎてがっかりしてしまった。低予算と言うこともあるが、脚本も悪いしタイムトラベルものの設定や展開などのルールも全く無視状態なのだ。そもそもドラマとしても失格なのに、これではタイムトラベルファンの心さえも掴めないよな。
 
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2024年1月21日 (日)

すばらしきかな人生

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★★★★
原作:北原雅紀 作画:若狭星

 『素晴らしき哉、人生!』は1946年に製作された米国の名作映画であるが、本作はその名作映画のオマージュ版コミックといったところだろうか。
 もしもあの時に戻ることができたら、今の自分はこんな不幸にはならないはずだ……。と誰もが一度は考えたことがあるだろう。それを実現してくれるのが、バ-『ボレロ』のマスター・坂巻友郎である。
 ただしその代償は10年の寿命と引き換えだというのだ。仏のような顔付をしているマスターだが、果たして彼は天使か悪魔か死神なのだろうか……。

 本作はこのマスター・坂巻友郎が、藤子不二雄Aの『笑ゥせぇるすまん』のような狂言回しを務めるオムニバス方式を採用している。第一巻には『あの日に帰りたい』ほか9作が収められており全3巻の構成になっているのだ。全ての話がなかなか良くできているのだが、どうしても似たような話になり、オチが読めてしまうところが弱点かもしれないが、読み応え十分なことは間違いないので安心して欲しい。

 いずれにせよ、絵は綺麗だし、原作ものなので一つ一つの話は分かり易くしっかりしているし、全三巻という手ごろな構成なので誰にでも楽しめるだろう。ましてやタイムトラベルファンは必読かもしれないね。

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2024年1月16日 (火)

リピート TVドラマ

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★★★

 乾くるみの長編小説をドラマ化したものだが、原作とはかなり異なっているので、原作既読者にも楽しめるはずだと思う。かくいう私も原作を読んでから本作を観たクチなのだ。さて原作と異なっていた部分とは次の通りである。

 最大の相違点は、原作の主人公が毛利圭介だったのに、ドラマでは篠崎鮎美に変わっていることだ。もしかすると大物俳優が少ない中で、貫地谷しほりが篠崎鮎美を演じたからかもしれないし、TVドラマということで女性受けを狙ったからかもしれない。いずれにせよそれによって、ストーリー展開自体にも大幅な修正が必要になってしまったのだろう。

 また原作では、リピートした10人のうち女性は篠崎鮎美だけなのに、ドラマでは9人のリピート中3人の女性が含まれているのだ。さらに鮎美は圭介と同年代だったのに、ドラマではかなり年上になってしまった。これらも全て貫地谷しほりが篠崎鮎美を演じた副作用に違いない。
 次にリピート場所がかなり異なっていた。原作では上空で、ヘリコプターを使って移動するのだが、撮影費用の増加やヘリの運転にかかわる諸事情から、徒歩で行ける洞窟に鞍替えされてしまったのだろう。

 それからリピート仲間が次々に死亡するのだが、その順番も異なっている。これは前述した主人公の変更に伴うドラマの構成上、やむを得なかったのかもしれないね。このほかにも細かい変更はいろいろあるのだが、何と言ってもエンディングが全く違っていた。これについてはネタバレになるので、ここに記すことは出来ないが、原作よりは多少救われるかもしれない。やはりTVドラマだね。

評:蔵研人

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2024年1月13日 (土)

終わりに見た街

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著者:山田太一

 多摩川を見下ろす東京近郊の住宅地に住む家族が、ある朝目覚めたら突然、家ごと太平洋戦争末期の昭和19年にタイムスリップしてしまうというお話である。家ごとタイムスリップするという展開は珍しい。だが戦時下で家族全員が生きていくためには、未来の珍しい品物を売って食をつなぐしか方法がないため、こうした設定を考えたのであろう。従って家自体は目立つため無用の長物に過ぎず、すぐに炎上してしまい、家財道具だけを持って各地を転々と移動することになる。
 また物語に変化をつけるために、旧友の敏夫さんも息子と一緒にタイムスリップしてくるのだった。この敏夫さんがなかなか逞しい人で、頼りない主人公に変わって、戦時下という苦境の中でも生き抜く術を教えてくれるのだ。

 戦時下へタイムスリップする話は幾つか知っているが、本作のように恐ろしい話は初めてである。何が恐ろしいのか、敵の米軍よりもっと怖いのが、なんと味方であるはずの隣人たちや日本兵たちなのだ。隣人たちは自分の保全のため、変わった風体や言動のある者を見つけると、直ちにお上にタレコミするからである。
 また憲兵や軍人たちは、有無を言わさず「お国のために働け!」と威張り腐って跋扈するばかり。ああーこんな時代に生まれなかっただけでも幸せなのだなと、つくづく現在を生きていることに感謝してしまうのだ。いずれにせよ戦前生まれの著者だからこそ、救いようのない戦争の恐ろしさを表現できたのであろう。

 さてタイムトラベルものの楽しみの一つは、ラストはどのような形で締めくくるのか、またどんなどんでん返しが待っているのだろうかということである。果たして驚くべきどんでん返しが用意されていたのだが、いまひとつ状況が把握できないまま終わってしまった。まさしくタイトル通り『終わりに見た街』なのだが、パラレルワールドなのか、夢落ちなのか、もしかすると辻褄が合わない部分もあるが、実は『猿の惑星』だったのだろうか。

評:蔵研人

 

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2024年1月10日 (水)

ナイト&デイ

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★★★☆
製作:2010年 米国 上映時間:109分 監督:ジェームズ・マンゴールド

 平凡な女性ジューンは、ある日空港でイケメンだがミステリアスな男と運命的な出会いをする。だが男の正体は、重要な任務を帯びたスパイであり、彼女は大騒動に巻き込まれて何度も危険な目なあってしまうのだった。

 ミステリアスな男・ロイにトム・クルーズ、ジューンにキャメロン・ディアスと、人気2大スターが共演するアクションコメディーである。とにかくドンパチ・ドタバタの連続で休む暇がない。そしてピンチが訪れても、いつの間にか場面が変わって脱出しているといったテキトーで雑な展開が続く。だがなんとなくお洒落で爽快な気分にさせてくれるのだ。これもトムとキャメロンのオーラのお陰なのだろうか。

 旅客機の中の死闘から不時着に始まり、絶対に不可能なカーチェイス、敵の弾は全く当たらない不死身男が、走る走る走る、とまるでミッションインポッシブルのコメディ版だ。いずれにせよ、ストーリーはハチャメチャでないに等しいのだが、結局ラストは急にラブラブコメディーに収まってしまった。ははは、ただ面白いだけだったね。それにしても、一体この映画は何だったのだろうか。

評:蔵研人

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2024年1月 7日 (日)

ハウンター

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★★★
製作:2013年 カナダ 上映時間:97分 監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ

 主人公はリサという高校生の少女なのだが、この話は彼女の誕生日前日がずっとループしているところから始まる。だからタイムループ作品なのかと勘違いしてしまったのだが、実は彼女は既に少女殺人鬼エドガーによって殺されていたというホラー作品なのであった。
 ただ余りにも同じことの繰り返しが多く、外には出られず家の中のシーンばかりなので中だるみしてしまうのだ。それに両親や兄弟が入れ替わったりと、なんだか異次元を彷徨うような展開にも、正直言って戸惑いうんざりしてしまった。

 ヴィンチェンゾ・ナタリ監督と言えば、「CUBE」が有名だが、本作もその流れを汲んで、なかなか家の外に出られないというシチュエーションなのであろうか。ただ同じ日が何度も繰り返したり、父親の性格が変貌したり、家族が入れ替わったり、といった謎についての丁寧な解説がなかっため、観賞後もなんとなくすっきりしなかった。私の読みが浅かったのかもしれないが、万人向けではなく不親切な作品であったような気がしたのは私だけであろうか……。
 
 
評:蔵研人

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2024年1月 4日 (木)

時間島

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原作:椙元孝思 作画:松枝尚嗣

 本作の舞台になっている『時間島』と呼ばれる『矢郷島』は、三重県の無人島という設定になっている。なんだか本当に存在するのかとグーグルマップで調べたら、似たような形をしている『大築海島』が見つかった。
 ただしその大築海島は、昔からずっと無人島であり、かつての鉱山や廃墟などは全く存在しない。むしろ鉱山や集団ビルの廃墟なら、先ごろ世界遺産に登録された長崎県の『軍艦島』そのものであろう。まあ実在の島を舞台にはし難いので、島の形は『大築海島』で廃墟は『軍艦島』をモデルにしたのであろう。

 本作のオープニングは、この時間島にある地底湖に落ちると、一瞬にして5年間が跳び去り、戻ったときはまるで「浦島太郎現象」を引き起こすという話から始まる。それで断然ボルテージがアップするのだが、残念ながらこの地底湖に絡むのは、主人公の佐倉準がそこに公用のケータイを落としてしまうという絡みだけなのだ。
 その後落としたケータイから佐倉が持っている私用のケータイにメールが着信し、そのメールには謎のミイラ男からの動画が添付されていた。そして彼は5年後の未来からメールを発信しているのだと言い、まもなく大地震が起こり、全員が殺されてしまうと警告するのだった。

 タイムトラベル絡みと言えばこのあたりの展開だけで、あとは殺しの犯人探しとミイラ男の正体に興味が集中するのだが、いまひとつ殺人の理由が納得できない。さらにミイラ男の正体と最後のどんでん返しにも、それほど説得力がなかったのが残念である。決して駄作ではないのだが、ストーリー展開にもう少し味付けが欲しかったね。まあ一巻完結なのでやむを得ないのかもしれない。

 
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2023年12月31日 (日)

ゴジラvsコング

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★★★
製作:2021年 米国 上映時間:114分 監督:アダム・ウィンガード

 前作の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で宇宙怪獣・キングギドラを撃退し、地球の救世主になったはずのゴジラが突然目覚め、怒りを露わにしてしながら破壊活動をはじめるのだった。ゴジラが怒り狂った原因を掴めぬまま、人間たちはゴジラに対抗すべくコングを連れ出すのだが……。
 いつもながらハリウッドのVFX技術は凄まじいのだが、本作においても前作同様ストーリーは取って付けただけで、破壊と怪獣同士のプロレスごっこだけを売りにしている感がある。前作では、キングギドラ・モスラ・ラドンなど怪獣総進撃を描いてみせたが、今度は『キングコング対ゴジラ』の焼き直しかいな。さらに「メカゴジラ」のおまけまでついてきた。

 これらゴジラ対怪獣のプロレス映画は、日本ではもう完全に終わっている。ましてや2016年の『シン・ゴジラ』では政治とゴジラを描き、2023年の『ゴジラ-1.0』では、終戦直後の人間模様とゴジラ出現を重ね合わせて描いている。さらにゴジラ自体もパワーアップし、より凶悪な人類の敵として設定されているのである。もうハリウッド製のゴジラは時代遅れで、なんとなく今更観と虚しさが漂っている感があった。
 
 2024年には本作の続編として『ゴジラxコング 新たなる帝国』が上映される予定であるが、正直言って余り興味は惹かれない。それよりも日本製の『ゴジラ-1.0』の続編のほうを是非観てみたいね。
 

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2023年12月27日 (水)

月の満ち欠け

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著者:佐藤正午

 佐藤正午の作品を読むのは今回で二回目である。初めて読んだのは『Y』という小説なのだが、その妙な『Y』というタイトルの意味は、人生の分岐点と考えるらしい。あの日あのとき、もし別の選択をしていたら、現状とは全く異なる人生を歩んだかもしれない……。つまり「あの時に戻ってやり直しをしたい」という、人間の永遠のテーマを描いたファンタジックなストーリーであった。

 一方本作のほうは、輪廻転生のスピリチュアル・ラブ・ストーリーで、三人の男性と月の満ち欠けのように何度も生まれ変わるヒロイン瑠璃が紡ぐ30余年におよぶ時の流れと、さまよい続ける魂の物語といえるだろう。なお本作は第157回直木賞受賞作品であり、2022年に大泉洋、有村架純などのキャススィンクで映画化されている。映画のほうは本作を読んでから気付いたため、残念ながら今のところは未鑑賞であるが、できればすぐにでもDVDで観賞したいものである。

 とにかく本作はパズルのような時間の繋ぎ方をしながら進行してゆくため、じっくり読んでゆかないと登場人物たちの関連性を把握できない。できれば登場人物の相関図を創って欲しかったよね。ただ結末が気になって気になって、終盤は猛スピードで読み切ってしまった。その割りにはややあっけない結末だと感じたのは、私の読解力が不足しているためであろうか。もしかすると、二度読みする必要があるのかもしれない……。


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2023年12月24日 (日)

ザ・コア

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★★★☆
製作:2003年 米国 上映時間:134分 監督:ジョン・アミエル

 午前10時30分、ボストンでペースメーカーを身に付けていた32名の人々が一斉に突然死を遂げた。なんとその翌日の英国ロンドンのトラファルガー広場では、鳩の大群が突然方向感覚を失って暴れ始めたのである。さらにその2日後には、地球へ帰還途中のスペースシャトル・エンデバー号が、突如として制御不能に陥って河の中に緊急着陸するのだった。
 この一連の不可解な異常現象は、地球のコアの回転が停止していることが原因であり、磁場のなくなった地球は太陽光線をまともに受けて、1年以内に焼き尽くされることを意味していたのである。人類にはこれらを防ぐ手立てはないと思われたが、難しいがたったひとつだけ手段が残っていた。それは各部門の専門家6人が、棒状の探索機で海底を潜り続けて地殻を突き破り、マグマの中を突き進んで核弾頭をぶち込むという超荒業であった。

 SFなので荒唐無稽で超奇抜な発想なのは許せるとしても、探索機はどうしてマリアナ海溝最深部で水圧で押しつぶされないのか、さらにマグマの中でも溶けないのだろうか。嘘でもこじつけでもいいから、なんとなく納得できそうな科学的な根拠を示して欲しかったね。それが大人の観るSF映画だと思うのだが……。
 まあその辺りは大おまけで目をつぶるとして、ラストは主人公だけが生き残るというパニック映画お決まりのシーンなのだが、実に清々しく気分良く締めくくられていたのが救いであった。

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2023年12月17日 (日)

この嘘がばれないうちに

著者:川口俊和

 2017年に本屋大賞にノミネートされ翌年映画化された『コーヒーが冷めないうちに』のシリーズ2作目の作品である。今回も第1作同様、登場人物が過去に戻り、家族や友人恋人に伝えたい願いや想いを綴ってゆく。『親友』、『親子』、『恋人』、『夫婦』の4話で構成されているのだが、『恋人』だけは過去ではなく未来に跳んでゆくお話であった。

 やはりシリーズ化してしまうと、初回作のときのような驚きがないため、いささかマンネリ感が漂ってしまうようだ。また読み易くてほのぼのとした優しさは感じるものの、反面大きな刺激や躍動感のようなものが足りないし、びっくりするようなどんでん返しも用意されていない。だから面白くて次々と頁をめくって行くと言うよりは、なんとなく義務感にせっつかされて読んだ感があった。

 このシリーズは、本作以降に『思い出が消えないうちに』、『さよならも言えないうちに』、『やさしさを忘れぬうちに』と似たようなタイトルが3作続く。ただ本作を読んだ限りでは、何となくその内容が想像がつくので、もう本作で打ち止めにしようかと考えている。

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2023年12月13日 (水)

シークレットウィンドウ

★★★
製作:2004年 米国 上映時間:96分 監督:デヴィッド・コープ

 ある日突然、売れっ子小説家のモート・レイニーの住む小屋に、シューターと名乗る謎の男が現れて、「自分の書いた小説がお前に盗作された」といちゃもんをつけてくる。モートには全く覚えがないのだが、男は執拗にモートの前に訪れる。そしてモートに関わっている者たちを、次々に殺害し始めるのだ。一体シューターとは何者で、真の狙いは何なのかさっぱり分からないまま、モートは精神を病み追い詰められてゆくのだった。

 本作はスティーブン・キングの原作で、かなり恐ろしいストーリーなのだが、モートを演じているジョニーデップが、なんとなくおバカに見えてしまい怖さが半減してしまうのだ。どうもジョニーデップには、パイレーツのイメージがまとわりついていて、何を演じてもギャグ臭くなってしまうのだろうか。そういう意味では演技が上手い下手ではなく、役柄がマッチしていなかったのかもしれないね。

 いずれにせよ終盤に、謎の男シューターの正体がバレた時点でかなり失望してしまった。中盤まで散々振り回された挙句、このどんでん返しでは納得できない。つまりこの結末方法は、夢落ち同様の反則技だからである。
 

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2023年12月 6日 (水)

龍は眠る

著者:宮部みゆき

 古い本であるが、久々に宮部みゆきの本を読んだ。やはり読み易いし、細部にわたって調査が行き届いており、筆運びも達者なのでどんどん引き込まれてゆくのだ。本書はミステリー風味を漂わせているのだが、実は超能力者二人の苦悩を描いた社会ドラマと言ってもよいかもしれない。逆に言えば、派手な超能力合戦を期待すると裏切られることになるだろう。超能力と言っても、テレパシーとか予知とかいった類なのだが、一人のほうだけはテレポートもできるらしい。

 従って真の主人公は超能力青少年の二人なのだが、それにしては登場時間が短い。その代わり高坂昭吾というちょっぴり偏屈だが真面目で心優しい雑誌記者が、狂言回しとしてあたかも主人公のように立ち振る舞っているのである。彼が偏屈になったのは「子種がない」ということが原因らしい。だがその割には意外に女性にもてるところが羨ましいね。

 ストーリーは台風の夜に車を走らせていた高坂が、路上でパンクした自転車を引きずっている少年を、車に乗せて助けるところから始まる。少年は超能力者で近くのマンホールに子供が落ちたこと、さらにはマンホールの蓋を開けっ放しにした二人の男がいたことも知っていた。
 その二人の男は、悪気があって蓋を開けたのではなかったが、少年に責められてノイローゼになる。そしてこれを苦にした一人が自殺してしまうのだ。このあたりから摩訶不思議な手紙が、高坂のもとに届くようになるのである。
 
 一体謎の手紙は誰が書いたのか、さらにはこの手紙と関連したかのような拉致事件が勃発するのだが……。と著者はなかなか手綱を緩めず、少しづつ難問を振り撒いて行く。もうこうなったら、最後まで一気読みするしかなかろう。さすが宮部みゆきだね。ただ途中で犯人が想像できてしまったことと、その動機がいま一つ手垢がつき過ぎていたことだけが、ちょっぴり残念であった。

 この古い本を読んだ直後、奇しくも本作をTVドラマとして再放映していたので、さっそく録画して鑑賞してみた。前半はほぼ原作通りであったが、後半はやや端折って脚本を書いたようで、少し話の辻褄が合わなかった。唯一良かったのは聾唖者の女性だけだったかな。


評:蔵研人

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2023年12月 2日 (土)

夢工場ラムレス

著者:川邉徹

 著者の川邉徹は、WEAVERというロックバンドのドラマーで、ほぼ全ての楽曲の作詞も担当していた。その作詞の才能をさらに生かして、2018年に本作を書き上げて小説家デビューを果たしたという。また本作のほかにも『流星コーリング』など6作の小説を書き、漫画や写真集も上梓し、多彩な才能を披露している。

 夢の中で夢を夢だと認識したとき、もし青色の小さな扉を見つけたら、そこは夢をコントロールできる夢工場の入口なのだという。そしてそこで夢を修正することによって、現実も変えられるというファンタジックなお話集なのである。

 その中身は『未来の夢』、『過去の夢』、『理想の夢』、『他人の夢』、『管理人の夢』の5つのショートストーリを、オムニバス方式で繋ぎ合わせた構成になっている。また最終章では4つのストーリーを括りながら、夢工場の管理人の正体も明かされることになる。なかなかよくまとまった作風で、まさにデビュー作に相応しい堅実な出来栄えと言えよう。

 なお本作はタイムトラベルとは直接関係ないが、「夢の世界は過去も未来も思うが儘」ということになるので、あえてタイムトラベル系列の中に含ませてもらった次第である。

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2023年11月28日 (火)

ゴジラ-1.0

10

★★★★
製作:2023年 日本 上映時間:125分 監督:山崎貴

 本作はゴジラ映画の原点に立ち戻り、巨大化した本格的なゴジラ登場は、戦後まもない東京を舞台にしている。それにしても本作は、過去の全ゴジラシリーズの中でも、圧倒的な恐怖と迫力と完成度を誇っているではないか。また今回のゴジラは完璧なVFXだけではなく、涙を誘う人間ドラマとしても十分堪能できてしまうのだ。子役の女の子もいじらしいし、自らが犠牲になり、戦後の日本を若者たちに託してゆく男たちの生きざまにも感動してしまうだろう。
 さらに試作ながらも『震電』と呼ばれた当時世界最速の戦闘機が、ゴジラに向かってゆく姿が初々しくて堪らない。この震電の開発がもっと早ければ、もしかすると米国に勝利したかもしれないと言われたほど優れた新鋭機で、私たちは子供の頃に、プラモデルの震電の雄姿に打ち震えたものである。
 
 ところで本作は『シン・ゴジラ』と比べると、キャスト陣がやや小粒であり、政治家は介入してこないし、登場人物の数も圧倒的に少数である。だが少人数だからこそ人間ドラマが描けたのだと言えばその通りだし、時代背景も異なるので仕方がないのかもしれない。
 またシン・ゴジラは、優秀な官僚と日本独自の技術をしてゴジラに立ち向かうという、日本的思考で塗り固めた作品だったのに対して、本作は個人優先のハリウッド的思考を前面に押し出しているところが興味深い。ただ在日米軍が、ソ連対策のため全く動けないという設定だけはよく理解できなかった。

 さてネタバレになるので詳しくは書けないのだが、ラストの奇跡的なハッピーエンドはいかがなものであろうか。「自己犠牲をする必要はない」という現代流のメッセージは理解できるとしても、少なくともどちらか一人が死ななければ余りにも嘘臭いし、真の感動も生まれ得ないことは、山崎監督なら百も承知のはずだが……。
 また典子の首に残っていた黒いアザが、一体何を意味しているのかが不明であり、その理由如何ではアンハッピーに繋がる恐れがあるのかもしれない。まあ裏の意図はともかく、表向きはハッピーエンドで収め、本作を米国へ輸出し易くするための妥協なのだろうか。

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2023年11月23日 (木)

時の行者 全三巻

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作者:横山光輝

 戦国時代末期から江戸時代中期にかけて、10年ごとに変らない風貌で現れる謎の少年。この少年は未来からのタイムトラベラーで、その目的はなかなか明かされないのだが、ラスト間近になってやっと明確にされる。
 少年は高熱線銃やバリヤー発生装置を身に着けているため刀や鉄砲などが通じず、昔の人々にはまるで超能力を駆使する行者に見えてしまう。ただ反撃を行う際には、一時的にバリアーを解除しなくてはならないし、長時間バリアーを張っていると窒息するという弱点がある。そのため二度不覚を取ってしまい、捕まって拷問にかけられてしまう。

 主な登場人物は、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、後藤又兵衛、徳川家康、本多正純、徳川忠長、天草四郎、由井正雪、堀田正信、徳川吉宗、天英院、徳川吉通、大岡越前、紀伊国屋文左衛門、徳川宗春、徳川家重など錚々たる歴史上の人物が多い。また関ヶ原の戦い、大坂の役、宇都宮釣り天井事件、島原の乱、生類憐みの令、享保の改革、天一坊事件、宝暦の一揆などなど歴史上の重大事件を扱っているので、歴史入門書としても役に立つかもしれない。
 ただタイムトラベルものとしては、タイムパラドックスも発生せず、タイムトラベル手法についても今一つはっきりしないため、時間系のSFとしては少々物足りなさを感じてしまうだろう。まあ忍者を未来人に置き換えた『伊賀の影丸』だと思って読めば、かなりのめり込めるかもしれないね。

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2023年11月19日 (日)

スリープ

著者:乾くるみ

 主人公は中学生ながらTVの人気レポーター役として活躍する頭脳明晰な美少女・亜里沙である。彼女は取材で『未来科学研究所』を訪れるのだが、そこで立入禁止区域に迷い込んでしまい、見てはいけないものを見てしまう。
 ここまで到達するまで、亜里沙の紹介や未来科学研究所の説明などに全体の約1/3である100頁も要して、かなり退屈感が募ってくるのだが、ここから先は30年後の世界となり、俄然面白くなるので安心して欲しい。

 亜里沙は30年後の世界で目覚めるのだが、本書ではその30年後の世界について詳しく描写されているところが素晴らしい。ただしSF映画のように空飛ぶ車が跋扈している派手な世界に変貌しているわけではない。本作では、生活の中の細かな仕様や、政治経済などの分野が急激に進化しているのである。
 例えば風呂場と洗濯機を一体化して、服のままで風呂に入っても一瞬にして消毒・乾燥できるシステムが普及していたり、駅のホームが透明の壁で完全に囲まれていることとか、経済的には1ドル40円前後の円高が続き物価が下がっていたり、政治の世界では大統領制が確立し道州制が導入されているのである。このほかにもいろいろな未来描写がなされているのだが、どれも将来現実に起こりそうな事象が多く、著者の慧眼に思わず膝を叩いてしまうことだろう。

 ただストーリー的には、亜里沙が目覚めてからの時間が短すぎて、ことさら大きな進展がないのである。……と思っていたら、九章『胡蝶の夢』から謎の急展開が始まるのだった。もしかしてパラレルワールドなのだろうか、タイトル通りの単なる夢なのだろうか、と考えているうちに最終章に突入して、いきなり「序盤のあの時」と繋がってしまうのだ。なるほど、実に見事な予測不能のドンデン返しではないか。


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2023年11月16日 (木)

ファイナル・スコア

★★★
製作:2018年 英国 上映時間:105分 監督:スコット・マン

 元米国海軍特殊部隊の精鋭だったマイケル・ノックスは、戦死した戦友の故郷・ロンドンを訪れていた。そして実の伯父のように慕ってくれる戦友の愛娘ダニーを誘いサッカーの試合を観戦に出かけるのだが……。そこで待っていたのは、超満員の観客35,000人を巻き込もうとしている恐るべきテロリストたちであった。

 果たしてノックスは、テロリストから観客たちを守れるのだろうか。さらにノックスの弱点であるダニーがテロリストにつかまってしまう、といったハラハラアクション映画である。それにしてもラスト直前まで、ずっとサッカーの試合は続いているし、観客たちは誰もテロの存在を知らない。そんな中で刻々と大量の爆弾が爆発する時刻が迫ってくるのである。

 ノックスは体格もよく米国海軍特殊部隊の精鋭だったので、スーパーマン的に強いのかと思っていたのだが、残念ながら悪人たちと一対一で必死に戦ってやっと勝つ程度の強さなのだ。もっとも現実的にはそれが当たり前なのだが、映画なのでなんとなく物足りない。
 それにいつも一発で球場関係者たちを殺していた女殺人鬼が、ノックスの味方の球場関係者だけは殺さないのだ。またバイクシーンでも敵の弾が全くノックスに当たらないし、人質交換の時も光だけで誤魔化せたのも無理がある。などなどかなりご都合主義的で、突っ込みどころが満載であった。ただハラハラドキドキで面白かったので許してあげようか……。

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2023年11月12日 (日)

イニシエーション・ラブ

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著者:乾くるみ

 イニシエーションとは「通過儀礼」のことである。従ってタイトルの『イニシエーション・ラブ』とは永遠の恋ではなく、大人になる前の一時の恋ということになるのだろうか。また本書はバリバリの恋愛小説だと思っていたのだが、実は「必ず二回読みしたくなる」と絶賛された傑作ミステリーであった。
 本書の裏表紙にある内容紹介文には、「甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説----と思いきや、最後から二行目(絶対先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。」と綴られているのである。

 これは一体何を意味しているのだろうか、ネタバレになるのでここでは解説は避けることにするが、いくつかのヒントだけ紹介しよう。第一のヒントはこの小説のタイトルである。そして第一章、第二章という区分ではなく、かつてのカセットテープのようなside-Aとside-Bという区分も意味深ではないか。さらにside-Aではしつこいくらい細かくじっくりと丁寧な描写に終始しているのだが、side-Bではテンポの速い展開に変化しているのだ。また本作はタイムトラベル系の小説ではないのだが、時系列をゆがめて描いているため、二度読みが必要だということ……。まだほかにも矛盾することがいろいろあるのだが、これ以上記すとネタバレになってしまう恐れがあるのでこのへんで止めておこう。

 なお本作はなかなか映像化し難い部分があるのだが、なんとそれを巧みに凌ぎながら2015年に映画化されているようである。ちなみに監督は堤幸彦で、主演は松田翔太と前田敦子になっている。機会があったら是非観てみたいものである。

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2023年11月 9日 (木)

リピート

著者:乾くるみ

 主人公は、一人暮らしの大学4年生・毛利圭介で、夜は歌舞伎町のスナックでバイトをしている。ある日、風間という見知らぬ男から電話がかかってくる。なんと要件は、過去に戻るリピートツアーに参加しないかということだった。余りにも荒唐無稽な話なのだが、その信ぴょう性を証明するために告げた地震予知が的中し驚いてしまう。その後にまたもや、再度正確な地震予知が大当たりし、このリピートツアーは本物かもしれないし信じ始めるのだ。

 このリピートとは、タイムマシンなどに搭乗するのではなく、ある一定の日に現れる黒いオーロラに突入すると、記憶だけが10か月前の自分の中に上書きされるというものだった。そこで人生のやり直しをするのだが、もちろんそこでは未来の記憶を利用して、競馬や株で儲けることも自由自在だ。
 リピートツアー参加者は風間を含めて10人、その中には一人だけ若い女性が参加していた。この女性の存在が、毛利にいろいろなプレッシャーを与える原因になるのだが、とにかく彼は女性にモテモテなのである。ただこのモテモテが最大の災いを生むことになるのだが……。

 このような記憶だけのタイムトラベルといえば、すぐに思いつくのがケン・グリムウッドの長編小説『リプレイ』である。ただ本作が僅か10か月前の自分に戻るだけなのに対して、『リプレイ』の主人公は25年前の18歳の青年に戻れるのである。さらに43歳になると自動的に心臓発作を起こしてまたまた18歳に戻れるのだ。
 そしてそれが何回も続くのである。それに比べると本作では、もう一度リピートするためには、ある一定の日に現れる黒いオーロラに再突入しなければならないという点が異なっている。
 また『リプレイ』では主人公が、未来の記憶を利用して大儲けしたり、つきあう女性たちを変えてみたりと、「もしもあの時こうしていれば良かった」を次々と実現させてゆく。だが本作ではそんな『リプレイ』のような痛快さは余り楽しめない。どちらかといえば、リピートしたために起こった記憶にない数々の嫌な事件に翻弄されてしまうのだ。そしてなぜそんな事件が起きるのか、犯人は一体何者で何のための犯行なのか、ということがメインテーマとなってくるのである。

 それにしても著者の巧みなブラックパズルのような悪魔的展開にはいつも脱帽せざるを得ない。中盤からはなんとあの『罪と罰』のラスコーリニコフのような心情に堕ち込んでしまったではないか。まさに乾くるみは天才としか言いようがないね、と思い込み続けてどんどんページをめくっていったのだが、ラストが余りにもあっけなく、無理やり感が残ってしまったのが非常に残念であった。

評:蔵研人

 

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2023年11月 4日 (土)

セブン

★★★☆
著者:乾くるみ

 著者は女のような名前だが、れっきとした59歳のおじさんである。また別名の市川尚吾名義では評論活動を行っている。1998年に『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し、34歳で作家デビューしているが、主な著作には本書のほか『イニシエーション・ラブ』、『スリープ』、『リピート』などのファンタジック系のミステリー作品が多い。なお本書は、2014年に単行本として角川春樹事務所より刊行されたものである。

 本書はそのタイトル通り「7」という数字絡みの作品が7作収録されている。
1.ラッキーセブン
2.小諸-新鶴343キロの殺意
3.TLP49
4.一男去って……
5.殺人テレパス七対子
6.木曜の女
7.ユニーク・ゲーム

 7作全てが楽しめたのだが、特に面白かったのは『ラッキーセブン』と『ユニーク・ゲーム』である。前者はA~7までの7枚のトランプを使ったカード対戦を7人の女子高生で争い、負けたほうは首を切られるという恐ろしいゲームであり、後者は捕虜になった7人の多国籍兵に課せられた0~7の数字絡みの生き残りゲームである。
 どちらも似たような数字を使ったシンプルなゲームなのだが、その勝利方法の思考過程がくどいほど綿密に解説されている。一体この著者の頭の中には、どれほど複雑な歯車が絡み合っているのだろうかと唸ってしまうことだろう。ことにミステリーファン、SFファンにはのめり込める一冊である。

評:蔵研人

 

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2023年10月31日 (火)

オルカ

★★☆
製作:1977年 米国、伊国 上映時間:92分 監督:マイケル・アンダーソン

 あの大ヒットした『ジョーズ』のシャチ版といったところだろうか。簡単に言えば、メスと胎児を人間に殺された「オスシャチの復讐劇」である。そして乗組員たちが次々にシャチに襲われて殺されてしまうのだが、なんとも人間たちの無気力さにはついて行けない。

 とにかく燃料がなくなることを承知の上で、いつまでもシャチの言いなりに北極まで船を走らせて行くのは、納得できないどころか不愉快であった。もし船長がメスシャチを殺したことを悔いて死ぬ覚悟で出航したのなら、他の乗組員を連れて行くのは不可解だからである。そのうえその乗組員たち全員が、理解不能で不要な人物ばかり。彼らはただ殺され役として存在しただけで、乗船する必然性も全く感じられない。まさにB級ホラーの常套手段と言っても過言ではないだろう。

 またいくらシャチが利巧と言っても余りにも賢すぎるよね。その執拗な復讐行為もまるで人間と変わらないし、何と言ってもゴジラ並の不死身さも苦笑するしかない。
 前半は恐怖感を煽られ、これからどうなるのかと、ドキドキワクワクしたものだが、残念ながら後半になって、人間たちの無能さとシャチの無敵ぶりに呆れ果ててしまった。またシャチとの戦いは別として、せめて人間ドラマとしての面白さがあればもう少し評価できるのだが……。
 
評:蔵研人

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2023年10月26日 (木)

死は存在しない

著者:田坂広志

 著者は東京大学卒業後に同大学院を修了し、工学博士(原子力工学)号を取得。その後三菱金属株式会社原子力事業部での勤務を経て、株式会社日本総合研究所取締役、多摩大学経営情報学部教授、多摩大学大学院経営情報学研究科教授、内閣官房参与などを歴任している。さらに現在は、多摩大学名誉教授・大学院経営情報学研究科特任教授、グロービス経営大学院大学特別顧問・経営研究科特任教授、株式会社日本総合研究所フェロー、シンクタンク「ソフィアバンク」代表、田坂塾塾長、社会起業家フォーラム代表、社会起業大学株式会社「名誉学長」を歴任するという、実業界・学界において大活躍している人物である。

 そんな唯物主義の塊のような著者が、なんと死後の世界観を科学的に分析し、SF映画や小説なども交えて分かり易く解説してくれるのが本書なのだ。従ってサブタイトルは、ちょいと気取って「最先端量子科学が示す新たな仮説」となっているのであろうか。
 書店の店頭で本書を見かけたとき、もうそのタイトル・サブタイトルだけで、どうしても本書を読みたくなってしまったのだ。さらに細かく分離した小見出しや、ゆったりとした文章間スペースなど巧みな編集の妙も加わって、実に読み易い環境を創りあげているではないか。従って350頁以上の新書本であるにも拘わらず、遅読の私でも、僅か3日間であっという間に読破してしまったのである。

 ただし本書の中身は、タイトルから想像していたような「死後の世界」の在り様などを解説したものではなく、どちらかと言えば宇宙論と死をドッキングさせたような仮説を展開しているのだ。その中でも著者が執拗に語る『ゼロ・ポイント・フィールド』とは、直訳すると零点エネルギーということであり、量子力学における最も低いエネルギーで、基底状態のエネルギーと言いかえることもできる。つまり宇宙が誕生する前から存在する量子空間の中に存在している『場』のことであり、「何もないところに全てがある」という禅問答のような場所らしい。

 そしてこのゼロ・ポイント・フィールドには、宇宙が誕生してから、現在、さらには未来の情報までもが波動として記憶され、時間と空間を遥かに超越した情報の保持が可能になるというのである。ちなみに宗教の世界でも、不思議なことにこのゼロ・ポイント・フィールドと酷似している思想が語られている。
 仏教の「唯識思想」における「阿頼耶識」と呼ばれる意識の次元では、この世界の過去の出来事全てや未来の原因となる種子が眠っているという。また古代インド哲学の思想においても、「アーカーシャ」と呼ばれる場のなかに宇宙誕生以来の全ての存在について、あらゆる情報が記録されているというのだ。

 さらに著者は、ゼロ・ポイント・フィールドに蓄積される全ての情報は、「波動情報」として記録されていると付け加えている。つまり量子物理学的に見るなら、世界いや宇宙の全ては「波動」であり、情報は「波動干渉」を利用した「ホログラム原理」で記録されているというのだ。別の言葉で説明すれば、波動の干渉を使って波動情報を記録するということになるのだろうか。

 この解説を読みながら、私の脳裏をかすめたのが、最近話題になっているチャットGPTである。チャットGPTとはインターネット上にある全ての情報を収集し、AIがそれを学習して様々な仕事をこなしてゆくシステムである。ところでこのインターネット上の全ての情報という部分が、なんとなくゼロ・ポイント・フィールドと似ていないだろうか。チャットGPTが有形のデジタル仕様なのに対して、ゼロ・ポイント・フィールドは無形で無限大のアナログ仕様という感覚がある。

 さてゼロ・ポイント・フィールドの話にばかり終始し過ぎたが、それではタイトルである『死は存在しない』とはどういうことなのだろうか。現実社会での死とは、肉体が滅びることであり、心臓の停止やら脳死によって判断される。また意識とか想念については、脳とともに消滅していると考えられているようだ。ところがもし意識や想念の存在が、脳とは別物だと考えると「死の定義」そのものが覆ることになる。

 本書では死によって私という『自我意識』が、ゼロ・ポイント・フィールドに移動し一体化すると、徐々に消滅してゆきエゴから解放された『超自我意識』に変貌してゆく。その後国境を越えた『人類意識』へ拡大し、やがては地球自体も巨大な生命体と考え、地球上の全ての意識である『地球意識』へと変貌してゆくのだ。そしてさらに究極の意識である『宇宙意識』へと昇華してゆくというのである。
 つまりは宗教的に表現すると、「神の領域」に到達するということなのだろうか。またゼロ・ポイント・フィールドとの一体化ということは、ある意味で唯我論にも通じる思考ではないだろうか。だからこそ「死は存在しない」と言い切れるのかもしれない。まだ100%理解できないのだが、なんとなく生と死の意味が、朧げに見え始めてきた気がする。「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
 

評:蔵研人

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2023年10月22日 (日)

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

製作:2017年 米国 上映時間:116分 監督:スティーヴン・スピルバーグ

 監督がスティーヴン・スピルバーグ、主演がメリル・ストリープとトム・ハンクスという超豪華なキャストであり、しかも実話をもとにした作品だというのだ。そしてテーマは、戦争と政治というかなり重いストーリーであり、当然アカデミー賞に輝くと思っていたのだが、残念ながらノミネートに留まってしまった。

 ペンタゴン・ペーパーズとは、ベトナム戦争時にアメリカ政府が作成した極秘文書のことである。そこには歴代政権がベトナム戦争を行うために不正を繰り返してきたこと、またアメリカがベトナムに勝てないなどの分析が記載されていたのだ。だがそれは政府にとって不都合な事実として隠蔽され、多くの若者がベトナムで命を失ってしまったのである。本作ではこの事実を報道するまでの経緯と、関係者たちの葛藤などを見事に描いている。

 新聞社の中にも、正義を貫き報道の自由を主張する者、反逆罪に問われ経営の破綻を心配する者と意見が分かれるのだが、最終決断するのがメリル・ストリープ扮するところの社主ケイ・グラハムであった。彼女は自殺した夫の後を継ぎ、ワシントンポストの経営を司っているのだが、それまでは子育てに専念していた主婦であり、全くのド素人で取締役会でも疎外感に襲われていた。

 そんな彼女が国家を揺るがすほどの大決断を迫られるのだから、気の毒を通り越して残酷とも言えよう。だが本作は終盤の約30分間で、彼女がその大決断を下してから最高裁の判決が発表されるまでの過程が一番の見所なのである。さらに最後の最後に、あのニクソン大統領が辞任にまで至った「ウォーター・ゲート事件」の幕開けシーンが皮肉のように付け加えられていたのには苦笑してしまった。


評:蔵研人

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