僕が殺された未来
著者:春畑 行成
ある日のことである。僕こと大学生の高木のアパートに、60年後の未来から、大塚ハナという名の中学生がやってくる。彼女がはるばる未来からやってきたのは、3日後に高木が何者かに腹を刺されて殺されると言うことを伝えて、それを回避させるためだと言うのだ。そしてその犯人は、数日前に高木の片想い彼女である小田三沙希を誘拐した犯人と同一人物ではないかと言う。だからもうこれ以上小田三沙希誘拐事件には関わらないでくれと頼むのであった。だが高木は言うことを聞かないで、小田三沙希探しに奔走するのである。
それにしてもなぜ小田三沙希が誘拐され、関係のない高木までが殺されなければならないのだろうか。登場人物は余り多くないのだが、そのほとんど全員が犯人候補である。まずは小田三沙希の父親、実姉、婚約者、ストーカー、さらにはなぜか高木の親友・健太郎までが含まれているのだ。
とにかく軽いノリで読み易く、遅読派のぼくでもあっという間に読破してしまった。だからと言って凄く面白かったわけでもない。つまりストーリーが余りにも陳腐で、片想いの彼女に命を懸ける高木の行動にも全く共感できないし、テーマも犯人探しとその目的、そして大塚ハナの正体の三点だけに絞られているだけで、余りにも薄味過ぎて物足りないからだ。まあいずれにせよ、子供向けの作品なのだと承知すれば、腹も立たないかもしれないね。
評:蔵研人
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